恩田陸『蜜蜂と遠雷』(そのタイトルの意味)

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タイトルはその作品の看板です。たまに「無題」というタイトルの作品もあるけれど、「無題」という看板だということです。

とすると、『蜜蜂と遠雷』の意味するところは何なのでしょうか?

3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。

「芳ヶ江を制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」ジンクスがあり近年、覇者である新たな才能の出現は音楽界の事件となっていた——。

自宅にピアノを持たない少年、風間塵16歳。

天才少女としてCDデビューもしながらも、母の突然の死去以ピアノが弾けなくなった栄伝亜夜20歳。

音大出身だが今は楽器店勤務のサラリーマン、高島明石28歳。

完璧な優勝候補と目される名門ジュリアード音楽院のマサル・C・レヴィ=アナトール19歳。

 彼ら4人をはじめとする数多の天才たちが繰り広げる競争という名の自らとの闘い。

第1次から3次予選そして本選を勝ち抜き優勝するのは誰なのか?

 第1次予選から本選まで、おおよそ2週間くらいに渡るピアノ・コンクールを500ページにまとめたのが『蜜蜂と遠雷』です。

 読んでいる間、タイトルの意味するところを考えていましたが、読み終った時もタイトルの意味が腑に落ちませんでした。

「蜜蜂」が養蜂家の息子である風間塵のことであるのはすぐにわかりましたが、「遠雷」は何のメタファーであるのかが分からなかったのです。

 「蜜蜂と遠雷」ということは、「蜜蜂&遠雷」であり、風間塵と対になる何かのことではないのか。

考えた末、自分自身で納得できる結論に至りました。

蜜蜂と遠雷」は、「風間塵とホフマン」のことであると。

ユウジ・フォン=ホフマンとはコンテストの数か月前に亡くなったピアノ界の大物です。

マサルの師事するナサニエル・シルヴァーバーグ。ナサニエルは数少ないホフマンの弟子であり、週に1度飛行機でホフマンの家に通って教えを請う間柄であっても推薦状を書いてもらえることはありませんでした。前例のないホフマンの推薦状を持って現れた風間塵についての扱いがわからず、気持ちをかき乱されたのはナサニエルや嵯峨美枝子だけでなく、他の審査員も同じであったはずです。

 風間塵がトリックスターとして物語を推し進める一方で、風間塵を送り込んだホフマンの意図を審査員はつかもうとします。

 ホフマン本人はコンクール前に亡くなっているにも関わらず、審査員である美枝子や   の意識の片隅にはホフマンの存在があり、風間塵を通してホフマンの姿を探していました。

それはまるで、目の前に落ちた雷ではなく、遠くで光る雷、「遠雷」のようです。

 コンテスト参加者、審査員にとって定例になっているであろうコンクールに「蜜蜂と遠雷」という異物が入り込むことによって、コンテスタントの短期間での成長がもたらされました。

 「音楽を連れ出せ」というホフマンからの宿題に悩み、風間塵は三次予選を控えてホールの外を歩きます。

塵は空を見上げる。

風邪はなく、雨は静かに降り注いでいた。

遠いところで、低く雷が鳴っている。

冬の雷。何かが胸の奥で泡立つ感じがした。

稲光は見えない

コンクール会場に戻り、天まで届くように、ホフマン先生に聞こえるような調律をしてほしいと願います。

華道家である富樫からの教えがきっかけとなり、ホフマンの考えが風間塵に伝わった瞬間に重なる遠雷のシーン。

音楽を扱った漫画を読むと「音楽が聴こえてきた」と錯覚することがあります。しかし、『蜜蜂と遠雷』を読みながら、音楽が聴こえてくることはありませんでした。そこには、ただただ小説を読むことの楽しさが満ち溢れていました。

1月9日に購入して、1月10日から読み始め、2月26日に読了しました。

いつまでも作品に浸っていたいと思わせてくれる作品だったからこそ、読んでいる期間が長くなってしまいました。

 

あと、読みはじめたときのエントリで「ピアノの森」っぽいなと思ってしまい、すみませんでした!想像を超えてきました!

小説の技法についても、恩田陸は凄いと今もまた思っています。

小説の技法の例を1つ書いて終わります。

主要4名以外のコンテスタントのうち、本選前に名前が判明したのはマサルの学友であるジェニファ・チャンとアレクセイ・ザカーエフくらい。

本選に残った2名は名前が出て来ましたが、それ以外のコンテスタントは「フランス人の男の子」「中国の、スラリとした長身の男の子」程度の説明です。

これは、具体的な名前を出さないことで、主要4名を際立たせ、外国人の名前が多いゆえの余計な混乱を避ける目的もあると感じました。

 

 

浜田雅功の音楽をコンパイルしてくれ

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浜田雅功が音楽活動をはじめた動機は何なのか?

 

「HEY! HEY! HEY!」に出演した小室哲哉に自分にも曲を書いて欲しいと軽い気持ちで言ったのを小室が真に受けたのが「H Jungle with t」のはじまりです。

95年2月20日放送の「HEY! HEY! HEY!」では曲作りの進行状況について小室哲哉が話しているので、依頼したのは95年1月16日放送回でのことと思われます。

相方である松本人志『遺書』の刊行が94年9月。ベストセラーになっていく状況と、CDの売り上げが増え続けているなかで音楽番組の司会をつとめているから売れっ子たちと毎週会える状況。この2つが混ざり、笑いを取るためとガードしつつ声を掛けたのは本心であったろうと予測できます。

小室に声を掛けたのち、Mr.Children桜井和寿にも「曲作ってくれ」と持ちかけています。

浜田雅功の歌手活動は今に至るまで定期的に続いています。ですが、その時その時で買い逃すと入手は困難です。入手していても初期は短冊形のCDであり、iTunesに取り込むこともできません。

なので、浜田雅功のベスト・アルバムのリリースを希望します。

定期的とはいえ、単発のリリースが繰り返され、レコード会社は毎回異なり数社に渡るためコンパイルするのは困難かと思われますが、ご検討をお願いします。

 

GEISHA GIRLS「Grandma Is Still Alive」

(94年7月)

H Jungle with tWOW WAR TONIGHT ~時には起こせよムーヴメント」

(95年3月/作詞・作曲:小室哲哉

GEISHA GIRLS「少年」

(95年5月/作詞:売野雅勇、作曲・編曲:坂本龍一

 『佐橋佳幸の仕事(1983-2015)~Time Passes On~』(15年11月)にも収録されているように佐橋佳幸も参加。

H Jungle with tGOING GOING HOME

(95年7月/作詞・作曲:小室哲哉

H Jungle with t「FRIENDSHIP」

(96年4月/作詞・作曲:小室哲哉

エキセントリック少年ボウイオールスターズ「エキセントリック少年ボウイのテーマ/あぁエキセントリック少年ボウイ」

(97年9月/作詞:松本人志/作曲・編曲:増田俊郎

 「あぁエキセントリック少年ボウイ」は03年12月27日に実施された松本人志高須光聖のラジオ番組「放送室」のイベント「放送室in武道館」にて高須がカラオケで歌ったり、奥田民生が「ひとり股旅」でカバーした楽曲。

浜田雅功「春はまだか」

(97年12月/作詞・作曲・編曲:奥田民生

日影の忍者勝彦オールスターズ「日影の忍者勝彦」

(98年5月/作詞:松本人志/作曲・編曲:増田俊郎

Re:Japan明日があるさ

(01年3月)

Re:Japan「bittersweet samba~ニッポンの夜明け前~」

(02年3月)

浜田雅功と槇原敬之「チキンライス」

(04年11月/作詞:松本人志、作曲・プロデュース・コーラス:槇原敬之

浜田雅功「ラブレター」

(12年11月/作詞:高須光聖、作曲・プロデュース:奥田民生

 雑誌「SWITCH」2012年12月号(Vol.30 No.12)の付録。

 楽器演奏はベース以外は全て奥田が演奏しているが、ベースは「人の息子」とクレジットされており、ハマ・オカモトが演奏している。

浜田ばみゅばみゅなんでやねんねん

(15年12月/作詞・作曲・編曲:中田ヤスタカCAPSULE))

「みずず」2017年1・2月合併号「読書アンケート特集」

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年末に各誌で発表される「年間ベスト」。

その末尾を締めるのは、みすず書房が発行するPR誌「みすず」の「読書アンケート特集号」。今号では146名の方が5冊以内という規定の中で選んでいます。

本の雑誌」や「ダ・ヴィンチ」などの直木賞っぽいエンタメ小説はほとんど紹介されておらず、学術系の書籍が中心になるのが「みずす」の特徴です。

(年間ベストといえば、マガジンハウスが発行していた雑誌「ダカーポ」で発表していたBook Of The Year。休刊後はWebで発表していたけれど、14年を最後に発表されてないので、ぜひとも復活して欲しい)

私の行動範囲に置いている書店がないので、みすず書房に410円分の切手を送って入手した「みすず」

やはり、ずっと鞄に入れたままだった「みすず」読書アンケート号もパラパラ。結局、いつもここに挙げられる7割ぐらいは(自分にとって)難しい興味外の本で、どうしても興味のある人や、やわらかめの本ばかりに目が向いてしまう。武藤康史吉野朔実の本を挙げていて、ヒャハッとなったり、上野千鶴子は『おばちゃんたちのいるところ』よりも『ワイルドフラワーの見えない一年』のほうがお気に召したのかと思ったり。毎年、この特集号を待ち遠しく感じるわりには、心から楽しめていない気がするが、なにはともあれ一年の締めくくりはこれ。

と、yomunelさんも2月9日付の日記に書いていますが、私にとっても興味外の本ばかりでした。

宇野維正さんが「宇野さんのツイッターで「いい」と評されていた音楽を聴いてみると、あまり好きじゃなかった……ということがあります。「これがいい」と言われている音楽は多少ガマンしてでも聞いたほうがいいのでしょうか?」という質問にたいして以下のように回答しています。

誰かが「いい」と言っているのを耳にして、「はたして本当にいいんだろうか?」と疑いつつ、それでも少ないお小遣いから買った以上「よくなるまで聞く」。

するとその向こうに大きな世界が待っていた、ってことがちゃんと起こっていたんです。よくわからないながらもちょっと無理して聴き続けることで、いやらしい言葉だけど、リテラシーが上がっていくんだよね。もちろん、最終的に好きになれないこともあるよ。

でも、なぜ好きじゃないのかを考えることで、逆に好きなものが見えてきたりもするでしょう? 最近ね、みんな「好き/嫌い」をすぐに判断しすぎなんです。

自分の世界を広げてくれるのは「本の雑誌」や「ダ・ヴィンチ」が紹介する本ではなく、「みすず」なのかもしれないです。

世界が広がるのは先のことですが、今の時点で気になったことを挙げてみます。

 

服部文祥(登山家・作家)が石塚真一『BLUE GIANT』を選んでいました。

寄せられたコメントは「ジャズマンガ。ユキノリの境遇はあんまりです」。

コメントで触れられた「ユキノリの境遇」とは、17年3月に刊行される10巻に収録されるエピソードのことだと思いますので、このことから服部文祥さんは「ビッグコミック」本誌で『BLUE GIANT』を読んでいることが分かります。

杉田英明比較文学比較文化)が『木佐木勝日記』を選んでいました。

しかし、書籍の説明には、木佐木勝『木佐木日記―滝田樗陰とその時代』図書新聞社、1,965年12月刊、続編『木佐木日記』第2巻、第3巻、1975年8-12月刊、、、とありました。

杉田先生は、16年11月に中央公論新社から『木佐木日記』が上下巻で発行されたことをご存じないのでしょうか。

栩木伸明(アイルランド文学)が『村上隆スーパーフラットコレクション―蕭白魯山人からキーファーまで』を選んでいました。

「美術家村上隆の膨大なコレクションから1,300点あまりを選び、横浜美術館でおこなわれた展覧会のカタログ」とのことで、横浜美術館のオンラインショップで購入することができます。税込、10,800円。

村上隆といえばパクリでのしあがったのに、神戸のアニメストリートが目玉を模したロゴを作ったら、俺の作品のパクリだと難癖をつけたことで知られています。とはいえ、08年に作品が16億円で落札されたのを筆頭に、各オークションでの高額落札が続いており、そのお金の使い方に下世話な興味があったのですが、作品購入に使っていたらしいことが分かりました。

資産を増やしている実業家としての面が全く好きになれないのですが、何を買っていたのか興味があります。とはいえ、10,800円、、、。

村上隆といえば、KANIE WEST「GRADUATION」のアートワークを手掛けてもいるのですが、その頃のKANIE WESTはNIGOのやってたTERIYAKI BOYZにも参加してMステ出たりしたようだから、恐らく色々迷っていた時期だったんじゃないですかね?知らないですけど。

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最近の『テレビブロス』から

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雑誌の売り上げが下がっているようですね。でも、雑誌、読んだほうがいいと思います。

最近ローンチされた『文春オンライン』は「週刊文春のスクープ記事が読める」ことを売りのひとつにしていますけれど、文春オンラインに転載されない記事は連載を中心にたくさんあるから「週刊文春」本誌も適当な周期で買えばいいと思います。

週刊文春」に限らず、雑誌に載った原稿がもれなく単行本化するなら雑誌を買う必要はないけれど、単行本化されず雑誌に載って終わりということは頻繁にあります。

たとえば、ロッキング・オン社の『ロッキング・オン・ジャパン』や『BUZZ』などに載った宇野維正さん、兵庫慎司さんらの原稿。山崎洋一郎さんの「激刊!山崎」は2冊の単行本にまとまりましたが、コラムやレビューの原稿を読むにはブックオフやネットからサルベージする必要があります。

ということもあるし、雑誌の面白さが語られなさすぎるんじゃないかと思う面もあるので、興味深かった雑誌の記事を紹介します。サブカル中年なので、「テレビブロス」から。

  

< 狩野有里「タトゥーにして彫りたい」(1/14号)>

 狩野有里さんのことは存じ上げないのですが、ミュージシャンへのインタビューページの隣、新譜レビューの下に載っていた枠に目が留まりました。

完熟食べごろ魅惑の28歳なのに結婚しそうな気配は皆無です。「ラッパーの彼氏がいるじゃん!」って声が「タトゥ彫り」マニアから聞こえてきそうだけど、最近登場してないことからお察しのとおり、自然的にお付き合いを解消いたしました。

(中略)

そもそも何万回も言っていますが付き合い始めて3年後に突然ラッパーに転身した彼氏をどう扱えってんですか。

そしてラッパーの彼氏の情報が小出しにされていきます。

・ラッパーの彼氏が組んでいるラップグループが最初のCDを出したときに、彼らのインタビューとこの連載が奇跡的にブロスの紙面で隣り合わせになった

・ラッパーの彼氏は乃木坂46とも仕事したとかしないとかレベルの映像ディレクターでもある

「青春ゾンビ」読んでるのだから何となく察せればいいんだけど、なんにもなれなくて、検索ばかりうまくなってしまったのは私も同じで、EMCの人だったのか!と辿り着けました。

その後、2月11日号でも以下のように書いていました。売れると掃蕩の妻(彼女)を切り離すのは世の常です。

鬱々とした気持ちを抱えていると、とんでもないニュースが飛び込んできた。バカリズム原案の面白げなドラマ『住住』の主題歌決定の報。歌っているのが本連載おなじみ“ラッパーの彼氏”改め“ラッパーの元彼”のグループだというのだ。前号であれだけ恨み、妬みを書き連ねた罰か。

 

< てれびのスキマ/「てれび30年のスキマ あのころのテレビ’02年」(1/14号)>

またW杯の真っ最中、テレビ(誌)界は巨星を失った。ナンシー関が39歳の若さで亡くなったのだ。創刊期に彼女の連載を掲載していた本誌でも急遽、7月6日号で追悼特集を組み、豊崎由美は「ナンシー関に書かれて、人は初めてテレビの住民になれる」とコラムを寄せている。ナンシー関の登場以前と以後でテレビの見方は劇的に変化したと言われるし、いまだに「もしナンシーがいたらなんと言っただろう」と常套句のように使われる。もちろん、それは彼女の偉大さの証だが、僕らのようなテレビのことを書いているライターの不甲斐なさもあらわしている。もういい加減、彼女の言葉に頼るのはやめようと思うのだが、追悼特集で抜粋された彼女の批評はいまなお鮮烈で鋭く響き続けている。

こういう振り返り企画でなければ、てれびのスキマさんが自分の不甲斐なさについて書くことはなかったように思う。てれびのスキマさんが製作者のインタビューを重ねているのは、ナンシー関をとは違う立ち位置を考えた末の行動だと思っています。

 

< 清水富美加「いざ‼おにぎりの中へ‼」(2/11号)>

「吉夢を見ました。マジ地球‼」「そして私は悟りを開くのです。夢の中で。自分は常に受け手であるのだ、と。すべてを地球から受け取っているだけの存在に過ぎないのだ、と」という文章を2月11日の夜に読んだ時は窪塚洋介の「ピースな愛のバイブスでポジティブな感じでお願いしますよ」とか中尾明慶仲里依紗の「BIG LOVE」のようなことかと思っていたけれど、翌日の朝には全く違う読み方をされるようになってしまったことが悲しくて寂しい。

出演作リストを見てもいまいちパッとせず、これからだと思っていました。いや、思っています。

「仕事を綺麗にしてから引退すればいいのに」とか「迷惑をこうむる人が大勢いるのに」と和田アキ子カンニング竹山やLilicoが偉そうに言ってるようですけど、逃げたいときは逃げるしかないし、逃げればいいんですよ。23歳だし、いくらでもやり直しがききます。元気になったら謝って、復活すればいいんですよ。

安倍首相だって、お腹痛いとかそんな理由で総理大臣を辞めて、今また総理を務めているわけだし。平気平気。

 

< 大根仁「中春スケッチブック」(2/11号)>

『群像』17年3月号に寄稿した「私のベスト3 映画史上ベストカップル」というコラム。

ベスト3に挙げられた3作品はライアン・ゴズリングエマ・ストーンの『ラブ・アゲイン』(2011)、『L.A.ギャングストーリー』(2013)、『ラ・ラ・ランド』(2016)。

2月11日号でも映画『ラ・ラ・ランド』が取り上げられ、『ラブ・アゲイン』『L.A.ギャングストーリー』にも触れられていました。「群像」はランキングという枠がありましたが、ブロスのほうでは時系列でつづられているところに、コラムニストとしての大根仁さんの技術を見ました。

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こだま『夫のちんぽが入らない』

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明るい場所へ続く道が

明るいとは限らないんだ

出口はどこだ 入口ばっか

深い森を走った

 

足がちぎれても

義足でも

どこまでも

走れメロス

――  宇多田ヒカル「忘却ft.KOHH」

 

悩んだ末に出た答えなら15点でも正しい

――  Mr.Children「CENTER OF UNIVERSE」

 

読みかけのまま別のことをしている時、読み終わった時に浮かんだ2曲の歌詞を引用して私の感想とさせていただきたい。

、、、いただきたいが、2017年を象徴していく作品の感想を引用に頼るわけにはいきませんので、少し。

 

ceroが14年12月にリリースしたEP『Orphans/夜去』。

収録されている「Orphans」は同人誌に掲載された「夫のちんぽが入らない」がモチーフになっているということがインタビューで語られていました。

 高城 オレが好きなブロガーの方が、ミニコミに寄稿した「夫のちんぽが入らない」っていうエッセイがあるのね。彼女は不思議なめぐり合わせで男性と結婚したんだけど、その夫のチンポがどうしても入らない。そして、一時期、自棄になって出会い系サイトで知り合ったひととやりまくって、どうでもいいやつのチンポは入るのに、運命的に出会った夫のチンポだけは入らないのはどういうこと? みたいに悩む話で、そのエッセイの締めが「私たちが本当は血の繋がった兄妹で、間違いを起こさないように神様が細工したとしか思えないのです」っていう文章なの。オレはそれにガッツーンときて、泣けて泣けて。そのブロガーの方に「僕はこれを歌にします!」っていう熱いDMを送ったりして。

 

――では、やはり、そのエッセイもモチーフのひとつではあるんだね。

 

高城 はい。「Orphans」に関してはニュースではなく、そういう、個人的体験を書いたエッセイがいちばんの源になっていますね。

 (16年2月にリニューアルされた『Quick Japan』124号から、こだま「Orphans」という連載がはじまっています)

読み終えて、印象に残る場面は、大学進学のためアパートに入居する日の出来事です。

 私は入居した日に最初に声を掛けてくれた青年と、のちに結婚することになる。

その人は同じアパートの住人だった。

入居した日にカラーボックス作りを手伝ってくれて、教科書を何冊も譲ってくれた青年は、その日23時をすぎても主人公の部屋でくつろいでいました。

まるで太田光代の家にもぐりこんだ太田光のようです。

印象に残る言葉は、夫が主人公について語る言葉、主人公はどういう人間であるのかを夫が評している言葉です。2ヶ所出てきますが、その引用は避けます。主人公がとても大切にしていると思わせる言葉です。

 

妊娠できるのは当たり前のことではないのに、子どもがいないことは気の毒に思われてしまいます。

「子どもがいないことが気の毒なこと」という空気が漂う中で、子どもを持たない事を選んでいる夫婦があります。この空気が自分のなかにもあることに気づいてドキッとします。

結婚していない理由は巡りあわせが悪い、という理由に収束されるけれど、結婚している夫婦に子供がいない理由はいくらだってあります。夫婦関係がギクシャクしてるなら離婚してるでしょうし。

自分以外の夫婦が子どもを持つかどうかについては、何をどう思おうと、立ち入ってはいけないことです。

結婚すると「子どもはまだか?」と聞かれます。私個人が言われる分には社交辞令として受け止められたので苦痛ではなかったけれど、夫婦のなかで決断をくだした後でも言われることがあります。

ジャネット・ジャクソンが50歳で妊娠したそうだから、恐らく50歳までは出産しないのか?と聞かれることを覚悟しなければいけない世の中になっています。

 

この本の軸は2本あります。

ひとつは題名にあるとおり、ちんぽが入らない夫との関係であり、もうひとつは他者との関係。

夫婦は教職についており、2人とも真剣に目の前のこどもたちと向き合おうとします。

妻はこどもと関係を築けず心を崩し、夫は同僚のなかで浮いてしまい心を崩します。心を崩してなお、向き合い方が足りなかったと妻は嘆きます。

2本の軸に共通して、理想通りの、教科書通りの生き方をできないため、自分に欠陥があると主人公は悲観にくれます。その悲観は解消していないけれど、欠陥を受け止めるまでの物語でした。

「戦いにこだわって 敗れ行く定めだとしても 移ろうこの世間にゃあ ズレてる方がいい」と励ますには壮絶な物語でしたが、この物語が世に出てきてくれたことは励みになります。

壮絶な経験がなければ本を書けないのか?と思うことはありますが、壮絶な経験をした人にとって、最後の砦としての「文学」を取り戻した作品だと思います。

 

16年末に毎日新聞松尾スズキによる書評が発売に先行して掲載され、発売後に多くの人が感想を綴っているのを見ました。2017年を代表する1冊になるのは間違いないでしょうが、世の中を変える一冊になっていくことを信じています。

ここ3年間の環ROY

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2013年4月3日に4枚目の『ラッキー』をリリースして以降、環ROYの単独名義としてのリリースが途絶えています。

「途絶える=沈黙」である場合がほとんどですが、環ROYの場合はCDアルバムという形式で音源の発表をしてないだけで、活動そのものは活発になっています。活発になっているだけでなく、YOU TUBEに音源を挙げたり、現代アートのようなライブをしたり、鎮座DOPENESSとのユニットKAKATO名義のライブを行ったりと表現の幅が広くなっています。iTunesにあげてない音源も多く、コンパイルしてまとめて聴くこともできません。

作品をリリースしない、というとChance The Rapperを想起します。

フリースタイルダンジョン」から遠く離れたところに現在の環ROYはいます。

音源のリリースがないので批評の対象になりにくく、表現が軽やかなのでHIP HOPシーンからも距離を置かれているような印象があるのがもどかしくあります。

遠く離れているとはいえ、審査員やればいいのにと思ったり、やっぱやらなくていいやと思ったり。

16年9月の「りんご音楽祭」でKAKATO名義のライブを見ましたが、大勢の観客がおり、リリースしなくてもファンが途絶えないんだなと実感しました。ライブの内容は鎮座DOPENESSとのフリースタイルがメインで、KAKATO名義の2枚のフリーダウンロードアルバムの楽曲から何曲か披露という構成でした。延々フリースタイルが終わらなかったのが思い出です。

 

以下に近年の活動をまとめました。

 14年1月 蓮沼執太フィル『時が奏でる』に参加

 14年9月YUKI『FLY』に参加(「波乗り500マイル~reat.KAKATO」)

 14年10月U-zhaan『Tabla Rock Mountain』に参加(KAKATO×U-zhaan「Tabla'n'Rap」)

 

 15年10月 ソフトバンクロボティクス 人型ロボット「Pepper」の広告動画「ペパリズム」へ後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)と共に出演

 15年12月 NHKラジオ「すっぴん」にKAKAATOとして出演

 「環ROY × 蓮沼執太 × U-zhaan」名義での 即興ライブを行う

 16年6月~

KAKATO名義で『デザインあ』#105からコーナー「めでたい」に「うた」を提供。

「めでたい」とは、祝福、祈り、寿ぎといった「気持ち」が、どのように「物」に込められ、形に表されているのかを、ラップとアニメーションで紹介するコーナー。

過去の放送は「おせち」、「晴れ着」、「水引」、「だるま」。

 16年6月 環ROY×Taquwami×OBKR名義で「ゆめのあと」をYOU TUBEで公開

 16年7月 NISSIN SAMURAI NOODLES "THE ORIGINATOR”の動画にラップで参加

 16年7月 鎮座DOPENESS×環ROY×U-zhaan名義で「サマージャム'95」をYOU TUBEで公開

 16年12月公開『アズミ・ハルコは行方不明』(監督:松居大悟)の劇判音楽を担当

ライブは 「ありか (島地保武×環ROY)」を含めた29本。

他に「ラッパーのための三つのプラクティス」という言葉の説明だけでは想像できない意欲的な取り組みを行っている。

 

17年1月 U-zhaan×環ROY×鎮座DOPENESS名義で「七曜日」をYOU TUBEで公開

17年1月 「そうそうきょく」ライブ映像公開

2016年に買って良かったもの

< MERCH BEST 5 >

宇野維正さんが「2016年の音楽シーンを一言であらわすと?」という質問に「”MERCH”」と答えていました(『WOWOWぷらすと」特集「2016年の音楽界を振り返り!~WOWOWぷらすと2016年総決算SP~」

「MERCH」といいうのは「merchandise」の略で、グッズのことです。

所有するTシャツの8割が音楽関係のものという程度に、ミュージシャンや映画のグッズを買うのが好きなので、16年も色々購入しました。

購入した中から良かったものを挙げます。

大半が売り切れになっていますが、アフィが入ってくるわけでもないし、このブログを読む奇特な方のことを気遣うつもりはありません。

  

Coloring Book Hoodie (Navy) $50

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Chance the RapperのHoodieです。Chance the Rapperのサイトで注文しました。

11月下旬に購入した「AIR JAM×TOWER RECORDS KEEP GOING パーカー GRAY(XL 6,264円)は186cm/100kgの私にはピッタリすぎるサイズでしたが、Chanceのはゆったりと着用できました。

今週届いたYOUNG THUGのHOODIEもゆったり感があり、可能なら交互に着続けたいくらいです。

ChanceのHoodieの他に買ってよかったもの、愛用しているのは以下の4つです。

 

「1TIME4EVER BOMBER JACKET」(15,000円/KANDYTOWNのブルゾン)

AIR JAM×TOWER RECORDS KEEP GOING コーチJK NAVY (6,912円)

「AF Double Poket Tote」(3,200円/アナログフィッシュのトートバッグ)

「Chance 3 snapback」(35$/『Coloring Book』ジャケットの帽子)

 

服装が自由な職場なのでKANDYTOWNのブルゾンは外に出る際や通勤の時に着ていて、AIR JAMのコーチは職場内で着ていて、アナログフィッシュのトートは毎日持ち歩いています。

なのでChance the Rapperの帽子以外はほぼ毎日使用しています。Chanceのキャップは、最近になってNEW ERA製で多色展開されているのが売られるようになったから、そのうち買います。

フジロックcero×VIDEOTAPEMUSIC、Suchmos、D.A.N.のTシャツを買ったり、りんご音楽祭でOTOGIBANSHI’Sのキャップやタオル、やけのはらの栓抜きキーホルダーを買ったり、ROSE RECORDSの通販で「お土産DANCE TO YOU」を注文するついでにサニーデイ・サービスのノートを買ったり、OBKRが主宰する「Tokyo Recordings」のキャップを買ったりしました。

音楽関係ではないですが、イラストレーターであるノリタケのノートやペン、長場雄のペンやカレンダーも買いました。

買いすぎたかもと思うくらい買ってますが、The Weekndのポップアップショップに出かけられなかったのが心残りです。

あと、「Coloring Book」のポスター、注文を間違えたのか10枚届いてしまったのも良い思い出。

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< 布団乾燥機 >

アイリスオーヤマ ふとん乾燥機 【マット不要】 カラリエ パールホワイト FK-C1-WP

 

一昨年、2015年の夏から同居することになった妻は、寒くなったころから湯たんぽを使っていました。

年末に大山卓也さんのブログ『TAKUYA ONLINE』、12月28日付「毎日がぬくもり天国!布団乾燥機ニュージェネレーション」を読んで購入しました。

takuyaonline.hateblo.jp

Amazonで注文したので履歴を確認すると16年1月26日に発送されていました。

 

家に届いたのち、湯たんぽは覇権を失いました。15-16シーズン、そして16-17シーズンと、毎日乾燥機のスイッチを押しています。

買ってから1年たちますが、6ヶ月、180日くらい使っていることになってて驚いています。

大山さんは60分コース(「冬」)のようですが、妻は20分コース(「あたため」)を利用しています。

私自身は入浴後すぐに就寝するので平日は使っていないのですが、休日の日中に60分コースを使っています。

 

ありがとう、TAKUYA ONLINE!

 

布団乾燥機のエントリとあわせて、コーヒーメーカーとコーヒーミル、珪藻土バスマットも紹介していました。

どちらも買いたいと思いつつ、置き場所や必要性の高まりが見込めず、買うまでには至りませんでした。ずるずると買わずにいたら、コーヒーミル「ナイスカットミル」は16年4月に生産が終了していました。

とはいえ、コーヒーを淹れてもらえる職場環境が変更になったらコーヒーメーカーV60を買おうと思う。