「フリースタイル・ダンジョン」2018年7月31日

初代モンスターと2代目モンスターが対戦する「フリースタイル・ダンジョン」シーズン5、rec3。

7月31日放送回は注目点の多い回だったので、まとめました。

いつもは「エキレビ」でのうっすい書き起こしとレペゼン社会不適合者さんのまとめを見て済ませるんですが、レペゼンさん今回は熱が入りすぎてふわっとしたことしか書いてなかったので、、、。


バトル以外でも言えることをバトルで言っているのか問題

「バトルで言っていることを、バトル以外でも言えるのか?」というのは、MCバトルで論点になっていることの1つです。

つまり、「バトル以外では言えないことをバトルで言う=リアルじゃない」という図式です。MCバトルに出場する人には、リアルであることが求められるので成立する論法です。

MCバトルが増えて、ラッパー同士が現場で顔を合わせる機会が増え顔見知りが増えている昨今では以前より有効なディスになっています。

a.k.a.GAMIと対戦した呂布カルマ、FORKと対戦したR-指定がこの論法を砕く返答をしていました。

まずは、呂布カルマ

a.k.a.GAMI

マイク持つとなんで豹変 
いやいや いらねんだよ 
そんな嘘臭い表現

呂布カルマ

そう いつものように続けるリアルなラップ 
あそこ(入場ゲート)をくぐる 
マイクを握る 
スイッチが入る俺は俺でなくなる 
ラッパーになる 
呂布カルマとしての仕事を全うする

続いて、R-指定

FORK

お前はステージに登ると急に生意気 
いきなり鼻息荒くしてるけど 
マジで世が世だったら 
無礼過ぎて腹切りして早死にしちまうような 
ハヤジニー発言だよ 
問題だ 荒れるぞインターネット 
今日はお前がターゲットだよ

※世が世なら … 2003年「FORK=般若」戦の後に判定を巡って揉めたことがあったようです
※ハヤジニー発言 … 椿が指摘したMCバトルでのミソジニー(女性蔑視)発言
※荒れるぞインターネット … 2014年3月31日「笑っていいとも!」最終回でとんねるず爆笑問題の乱入を受けて松本人志が「ネットが荒れる!」と繰り返した

R-指定 

俺がターゲット 
その荒い言葉使いに絶句する 
Checkする 切腹せずライムとsexする 
それが俺のやり方 
Zeebraの前だから鼻息荒くもなるわな

呂布カルマは、MCバトルだから現場の延長とはいえ、テレビのショーなんだから呂布カルマとして求められていることを発言するというスタンスを明らかにしました。

R-指定は、年代の違うFORKに向かって「お前」を連発し「バカ」とまで言っていたことを生意気と指摘されたわけですが、(FORK以上に)憧れていたZeebraが見ているんだから鼻息荒くなるし、格好悪いところは見せられないという、再び「フリースタイル・ダンジョン」に呼ばれたことへの意義を明らかにしました。

 

FORKの進化

第3ラウンド

やり方が全然入ってこないぜ
限界超えてやる 常に全開だよ 
まるでシェイクスピアも驚きの展開 
まるで宇多田ヒカルの歌詞 
疑いなく俺の方がヤバいと言わす 
Automaticにこの勝負は決まる 
お前のTravelingもここまでだ 
煙草のFlavorが残ってるうちに終わらす 
2時間もかかんねぇバカンスだったな

「人生最高の日(シェイクスピアだって驚きの展開)」、「Automatic」、「Traveling」、「First Love(煙草のflavor)」「二時間だけのバカンス」と宇多田ヒカルの引用で畳みかけたFORK。
R-指定とのバトルが最終までもつれ込み、最後自分で締めるという意識から奥の手を使ったんだろうと思う。
一人の歌手の、ここまで多くの作品を、これだけわかりやすく出してきたことはなかったから、観客がFORKに感じているマンネリをFORK自身も意識していて、それを打開しに行ったんだろう。

バトル前にR-指定が「(FORKは)カッとならない。冷静に淡々と上手い言い回しを続けていく。(それはスタイル何だろうが)チャレンジャーが熱くなった時に、チャレンジャーの方にお客さんが持っていかれる(原因になっている)」と指摘していましたが、熱くなったFORKを見ることができました。

第1ラウンドでR-指定が「FORK、ストレートで来いよ」と言っていました。

野球のフォークボールとかけているのはそうなんですが、それ以上に、「いつもはチャレンジャー相手に上からライムについて説教してるけど、俺には必要ないから説教抜きでバトルしよう」という意味があったんだろうなと思いました。

 

引用でいうと「R-指定=FORK」戦の前、サイプレス上野戦の呂布カルマも意外な引用をしていました。

ぶっちゃけ 初代弱ぇな 嘘じゃねぇよ 嘘じゃねぇよ
BAD HOP Benjazzyみたいなフロウでもかませるぜ 

 BAD HOPのT-Pablowがいるからでしょうか?

BAD HOPの「2018 (feat. Vingo & Benjazzy)」からBenjazzyのverse「嘘じゃねぇ 嘘じゃねぇ」をサンプリングしていました。

行き場の無いHaterの妬み
俺等がサボったらパクられたって
勘繰って喜んでるお前の事
皮肉だろじっとしてるお前らの
嫉妬のおかげで俺らまた一歩づつ
理想に近づいてくきっと
嘘じゃねぇ 嘘じゃねえ
手に入れる欲のまま
描いた理想の上を行く俺の路上の夢
まためちゃくちゃ
美人なBitchと仲間がしけこむ

「2018 (feat. Vingo & Benjazzy)」BAD HOP

 

「R-指定=FORK」戦の判定について

1対1で迎えた3ラウンド目。

R-指定は「リアルじゃない問題」への返答をし、FORKは宇多田ヒカルの引用を重ねたのが第3ラウンド。

今まで見せてこなかった落とし方をしたFORKの勝ちだと思ったのですが、まさかのクリティカルでR-指定の勝ち、、、。審査員は宇多田ヒカルの引用を5か所理解できていたんでしょうか?


二代目モンスターの4人目は誰なのか問題

第2ラウンドでR-指定が「誰1人として4人目の器じゃないんだよ」と指摘していました。

「フリースタイル・ダンジョン」は5人勝ち抜き制をとっています。初代モンスターの時は、R-指定は4番目に登場し、チャレンジャーが般若に挑むのを何度も阻止していました(呂布カルマは阻止され、崇勲は突破しました)

4人目の器かどうかはおいておくとして、二代目モンスターでは誰が4人目なのかはっきりしません。裂固、崇勲、ACEはランクが一個落ちるから違うとして、FORK、呂布カルマ輪入道が4人目に当たるはずなのですが、二代目の場合は4人目に誰が出るのか固定されていません。

誰が出るのかわからないところが二代目モンスターの面白い一面です。ただ、「待ってましたR-指定!」「アール、止めてくれ!」と初代のときに思っていたけど、二代目になってからこういう気持ちになっていないことを思い出しました。

R-指定が「負けたとしても、片目奪う気持ちでやっていた」と言っていましたが、それはつまり、R-指定が登場することでチャレンジャーに傾きかけた流れをモンスター側に戻そうとした、ということです。
peko、MCニガリa.k.a.赤い稲妻、Lick-Gいずれの場合もスルスルっと般若までいった印象があり、2人が般若を倒しました。

4人目を誰が引き受けるのか。二代目のなかで遠慮しあっているのか、誰も覚悟を決めないのか、、。輪入道は鉄砲玉というかかき混ぜるイメージがあるので、呂布カルマが4人目で居座るのがいいと思うのですが、どうか?

R-指定勝ち抜いて呂布カルマとの再戦して、何らかの問答があり、呂布カルマのモンスターとしてのスタンスに変化が生まれることを期待しています。

津村記久子『ディス・イズ・ザ・デイ』(カングレーホ大林の不在を埋める『この世にたやすい仕事はない』)

「ディスイズザデイ」の画像検索結果

 

杜王町、仙醍キングス、EAST TOKYO UNITEDなど小説やマンガに出てくる架空の町やチーム。どこかのチームの熱狂的なサポーターでなければ、実在する町やチームに対してより親近感が持てるはずです。

2015年10月に刊行された『この世にたやすい仕事はない』には「カングレーホ大林」というサッカーチームが出てきました。

2017年1月から朝日新聞で連載がはじまったサッカー2部リーグを舞台とした小説『ディス・イズ・ザ・デイ』。

カングレーホ大林は最終話に登場しましたが、アウェイで、最終節前に1位で上位リーグへの昇格を決めていたためか、消化試合のような描き方がされていました。エンブレムのデザインについての記述もなく、話の中心が、同じチームのサポーターになっていた交流がなく離れて暮らす父と娘に寄っていたため、余計にその印象が強くなりました。

カングレーホ大林のことを思い出すために『この世にたやすい仕事はない』に収められた「大きな森の小屋での簡単なしごと」を読み直しました。

『この世にたやすい仕事はない』は、前の職場を退職した主人公が職を転々としていく短編集で、その5つめの職場が、大林大森林公園内にある小屋。

カートには、公園にホームスタジアムが隣接しているサッカークラブであるカングレーホ大林の、タカアシガニがあしらわれたエンブレムが塗装されている。(中略)スタジアム建設時に、タカアシガニの化石が大量に発掘されたので、カングレーホ大林のエンブレムにはタカアシガニが登場するらしい(後略)

 カングレーホ(cangrejo)はスペイン語で「蟹」という意味です。

カングレーホ大林が昨シーズンの終わりに2部への降格が決まり、それと同時にスペイン出身のバスク人、コルドビカ・イザギレは家庭の事情で帰国してしまいます。
降格と同時だったので降格したチームを見切ったと思われていたそうです。しかし、大病を乗り越えた父親の看病を終えイザギレは復帰します。

半年後に、イザギレは日本に戻ってきて、降格したカングレーホ大林と契約し直して、今も元気にプレーを続けているらしい。カングレーホ大林は、先週昇格を決めたとやはりネットのニュースで見かけた。

イザギレだけでなく、百合岡という選手も登場します。

センターバックの百合岡がね、U21の試合で頭から血を流しながらヘディングでゴールしたことがあって、それを見てファンになって、それが高三の秋のことで、そのままここに就職を決めました。

カングレーホ大林の、コルドビカ・イザギレ選手と百合岡純選手が駆けつけてくださいました!と司会者は言う。(中略)百合岡純は、イザギレとは逆に、思ったより大きかった。もしかしたら190センチはあるのではないか。

カングレーホ大林は1部リーグから降格後、1シーズンで2部リーグに昇格します。

つまり、『この世にたやすい仕事はない』で描かれた1年間は、『ディス・イズ・ザ・デイ』で描かれるシーズンと同じ1年間なのです。

『ディス・イズ・ザ・デイ』はWeb本の雑誌「今週はこれを読め」(評者:松井ゆかり)「一冊の本」6月号(評者:木村俊介)などネットでも読める書評だけでなく、各文芸誌に掲載されたものも読みましたが、カングレーホ大林や「この世にたやすい仕事はない」に触れている書評はなかったので、カングレーホについてを中心にまとめました。

『ディス・イズ・ザ・デイ』を補完するのが『この世にたやすい仕事はない』です。

「この世にたやすい仕事はない」の画像検索結果

 

最初に読んだときの感想。刊行から4年近くたつのにまだ文庫化されていない。

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アナログフィッシュ「Pinfu」

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アナログフィッシュ『Still Life』の最終曲であり、呂布カルマが客演した「Pinfu」。

「Pinfu」=麻雀の役「ピンフ」=「平和」のことです。

 

「作詞 下岡晃、呂布カルマ」とありますが、ブックレットには呂布カルマ部分の歌詞は掲載されていなかったので、書き起こしました。

呂布カルマは発音がこもっており、下線の箇所は聞き取りが甘いので、気づいた方は教えていただけるとありがたい。

9月12日にPVが公開されました。リリックビデオ?だったので、それを見ながら修正しました。

 


Pinfu

 

この街は平和に見える


事件性なし 単純明快 迷彩服着て 街で目立ちたい
全て正解で何でもあり 君の携帯に聞いてみなさい
綺麗 汚い 趣味の問題
ドンマイ ドンマイ 気にすることない
大人になっても毎月小遣い
どうぞお先に 僕は今はいい


この街は平和に見える


痴漢冤罪被害 ぼったくり被害
もういいかい まだ駄目みたい
眠剤人体実験中 笑いたいだけ 気持ち悪いセンス
No Thank You 年中セール中
Me &You 同じに見える
偏頭痛 えぐるテンプル
Mでドスケベ 助けて

くれたお礼に 君の奴隷に 
政治のせいにして 可能性に蓋をして笑う
大丈夫 元気
それでもあいつよりは全然良い
月曜日の朝に天変地異
カート・コベインかジミ・ヘンドリクス
チープ過ぎる 筋書きと演技
吐き気抱える洗面器
何も分かってないから良い
俺ら可愛い子にはめっちゃ優しい
またしたくなったら Call Please
逆にしたくないこと多過ぎ
Top Secret 酔っ払ってツイート
翌朝消しても拡散済み
とっくにもう次が控えてて
様子見みしてる間に また用済み

十人十色 混ぜると糞の色
出頭命令が俺のところにも
いくら悔やんだって もう元に戻ることは二度とない
ほとぼりの冷めた頃 ふざけたこと
また性懲りも無く繰り返してやれ
綺麗事でさえ手垢にまみれる それでも何か期待して街へ出る


この街は平和に見える

椿とAマッソ加納

2018年2月7日、10日に放送された番組についてです。「フリースタイルダンジョン」はAbema TVで、「ゴッドタン」はTVerで見て、直後に書き始めたのですが、まとめる前にゴッドタンの配信期間が終わり、地元のテレビ局での放送を待っているうちに時間が経ってしまいました。

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「フリースタイル・ダンジョン」と「ゴッドタン」で、椿とAマッソが問題提起をおこなっていました。

問題提起の内容は、女性ラッパー/女性芸人の立ち位置や求められること、取り巻く環境について。男性メインの場に乗り込んでいくことにはまだまだ苦労が伴うようです。

椿は2017年3月に3人組の「TEAM CINDERELLA MC's」として出演した際に、ミソジニー(女性蔑視)発言がばんばん向けられているのに会場が沸いていたことに対して怒りを持ったと紹介VTRで話していました。

女性ラッパーは、MARIA(SIMI LAB.)、Awitch、NENE(ゆるふわギャング)、chelmico、あっこゴリラ、ちゃんみなと増えてきていますが、「フリースタイル・ダンジョン」に出演したのは、椿とチームを組んだあっこゴリラ、FUZIKOくらいで、単独では椿のみです。

「シンデレラMCバトル」という女性のみの大会が開催され徐々に裾野が広がりつつあるようですが、メインのバトル大会や「フリースタイル・ダンジョン」には参加できていないのが現状です。

バトルに出場するフィメール・ラッパーが少ないため、相手をする側にフィメールを攻撃する引き出しがすくなく、ブサイク、貧乳、男好き、モテない、といったミソジニー寄りの発言が増えるのでしょう。観客側にも引き出しやジェンダーの目線がないのもあるし、単純にプロップスの高低差に沸いていたのかもしれないし、それは何ともわかりません。

肝心のバトルの内容は、何とも煮え切らないものでした。

ミソジニー批判を看板に出てきたのが、そもそも失敗です。いきなりそんな看板を掲げられたら田嶋陽子のようにフェミニストおばちゃんと受け取られてしまいます。ミソジニー批判に対する決意は最終ラウンドの「下とかじゃない上とかじゃない見せつけるジェンダーレス 大事なのは変化です/不可能と言われた青い薔薇だってできたように私はやってやる」という箇所のみ。

「モンスタールームに女がいない理由は?」という呂布カルマの問いかけに「OKかわいい担当は崇勲がいるからだろ だから女がいねぇんだ/セクシーはLilyに任せとけ かわいいは崇勲に任せとけ」と返していましたが、かわいいとかセクシー以前に、実力不足だからでしょ?と思ってしまいました。

MARIA、Awitchくらいプロップスのある人がフリースタイル・ラップ・バトルに興味を持っていない現状では、モンスターに見合う人材が見当たりません。

 

というようなことを思いながら過ごしていたら、「ゴッドタン」の「クサリ芸人セラピー」にAマッソが出演し、女性芸人はネタ以外のことが求められている。アンケートの内容は「彼氏の有無/経験人数」という女としてのリアルしか求められていないと訴えていました。

キャラで売っていくことはしないのかという問いに対して「嫌っすね」と答える加納。

そんな加納に向けて劇団ひとりが熱く語っていました。

ニュートラルに売れたいのはどの芸人も最初は思うことなんだけど、なんか1個(キャラや特技を)お土産で持って行ってそれを入り口にして隙間で「僕こういうことできます」と言っていくうちに自分の価値があがっていく。

 

(普通を装っていたら)番組に呼ぶ側は誰を呼んでるかわかんない(だからキャラを作ることで番組のキャスティング・ボードに乗せてもらいやすくなる)

Aマッソのことは、M-1グランプリ2017の敗者復活でしか見た事ありませんが、その時に感じたの「立ち姿が美しくない/サマになっていない」ということ。落ち着きがないように見えました。

M-1グランプリで決勝にもあがれていないのに、ネタ以外のことが求められていると嘆かれても、勘違いしてない?と言いたくなります。

そもそもネタ番組が週に何本放送されているのか調べたことがあるのでしょうか?

バナナマンはテレビでレギュラー番組を何本も抱えていますが、年1回のコントライブをやり続けています。

ネタだけやって売れたいってのは、現状を認識してませんと言っているようなものです。努力もせずに、理想だけで「腐り芸人」を気取ってんなよと。

 

< 番組放送から半年経って >

椿に続いて「フリースタイル・ダンジョン」に登場したフィメール・ラッパーはいません。そもそもここまでに名前を挙げた以外のフィメール・ラッパーにここ半年で出会えていません。フィメール・ラッパーは増えていないようです。

Aマッソ加納は5月からWebちくまで「何言うてんねん」というエッセイの連載をはじめました。

www.webchikuma.jp

コントで迷う事がある。医者を演じることはつまり、女医を演じることになってしまう。意味合いが大きく変わってくるのだが、女が演じるのだから当然だ。そんな当たり前を、うまく咀嚼できない。私はコントで、聴診器を使って遊びたかっただけだ。

(2018年6月27日更新  第2回「こいつの足くさいから洗ってんねんー!」)

悩みはまだ解決してないようですが、文章は抜群なので、このまま書き続けてほしい。

ソールドアウトしなかったフジロック2018

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今週末、7月27日(金)から3日間にわたって開催される「フジ・ロックフェスティバル2018」。私はチケット買うか迷っていましたが、結局行かないことにしました。

「3日間通し券」と「土日券」は売り切れたようですが、他の券種は売れ残り、当日券が売り出されるそうです。

「3日間通し券」「土日券」はフジロックが毎年の習慣になっている「フジロッカーズ」の皆さんが一定数いることの証左であり、これが売り切れなかったらフジロックは終了です。

毎年行くわけではないけれど、ラインナップ次第で考えるという人たちもいます。この浮動票の動きを判断する目安が「1日券」の売れ行きです。

フジロックが偉いのは、サマソニ、ロッキン、エゾロックをはじめとする9割くらいの音楽フェスと異なり、金曜日も開催するところです。週末とはいえ平日に休みを取れる人が多くないのもわかりますから、金曜日の1日券は(ビヨンセアリアナ・グランデ、ドレイク、ウィーケンド、フランク・オーシャンがラインナップされるとか)よほどのことがない限りソールドアウトしないでしょう。

なので、土曜日と日曜日は売り切れなかったのかがラインナップが魅力的であったかどうかの指標になっています。


ステージの大きさ、順番、告知から考えて今年の日別の売りは以下の3アクトです。

27日(金) N.E.R.D、サカナクション、ポスト・マローン

28日(土) ケンドリック・ラマー、スクリレックスブラフマン

29日(日) ボブ・ディラン、ヴァンパイア・ウィークエンド、チャーチズ


ポスト・マローン、ケンドリック・ラマー、ボブ・ディランは凄い、ただ、、、。

今年の傾向として、メインのグリーン・ステージ、セカンドのホワイト・ステージにラインナップされるのが、ロッキンジャパンやエゾロックなど国内フェスに出そうなバンドばかりで、フジロック感が薄いなと感じました。

サカナクションモンゴル800エレファントカシマシMy Hair Is BadThe BirthdayマキシマムザホルモンブラフマンユニコーンMISIAcero、、、、。

フジロックは海外アクトを招聘するフェスであるから、それぞれへの好みは抜きにして、国内ツアーを回り、大規模会場で単独公演を行うことのできるバンドの1時間程度の持ち時間では、参加のモチベーションにはなりません。

昨年のPUNPEE、一昨年のKOHHがホワイトステージに登場したような、大々的なフックアップが今年は欠けていました。5lack、D.A.N.、Superorganismあたりはホワイトを任せるべきだったんじゃないでしょうか。

これ以上のことはわからないので、自分に即して書きます。

私はケンドリック・ラマー目当てで土曜日に行くことを検討し始めましたが、他のスロット(slot/位置、場所)が悪くて断念しました。

土曜日に見たかったのは、D.A.N.、Superorganism、小袋成彬シャムキャッツ、5lack / PUNPEE(DJ SET) / Chaki Zulu(DJ SET)。

いずれもレッド・マーキーというテントの中で、後半3アクトはケンドリック終わったあとの真夜中の部。

せっかく「フジロック行ったのにテントの中で過ごすのはなぁ、、、」とか「単独参加だと駐車券買えないから駅に車停めても、ケンドリック終わったらシャトルも終わるしなぁ、、、」となり、これを乗り越えるモチベーションがなかったので、断念した次第。

アンダーソン・パークがケンドリックの前で、5lackが昨年のPUNPEE、一昨年のKOHHのようにホワイトステージ(第2ステージ)なら、、、というのは尽きません。


願わくば、ゲストのサプライズ招聘や熱演がYou Tube越しに伝わってくることを。

 

来年、2歳のあかりを連れて参加できればなと思う。イヤマフ着用で。

アジカンからのお願い 最近はライブ会場で未就学や小学生の児童を見かけることが増えました。...|Gotch / 後藤正文 / ASIAN KUNG-FU GENERATION / ゴッチ

中溝康隆「プロ野球死亡遊戯」

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文春オンライン「文春野球コラムペナントレース」は西澤千央ファンなので、読売ジャイアンツ推しの「プロ野球死亡遊戯」のコラムは読んでませんでした。


しかし、週刊文春「文庫本を狙え」に取り上げられていたので読むことにしました。

読み終わって思ったのは「面白かった。村田修一頑張れ。」。

コラムの1本1本はおもしろいけれど、何本も読み進めるうちに、しつこさを感じはじめました。

「しつこさ」の理由はえのきどいちろうの解説で腑に落ちました。

 死亡さんがプロ野球選手をサラリーマンに喩えたりするの「わかりやすいけど、ちょっと浅くなる」んですよね。肉体で特権的な物語を紡いでいるプレーヤーと、サラリーマンが同じわけがありません。比喩としてわかりやすいだけ。今後はそういう次元を突破していく必要がありますね。

各章のタイトルを引用します。「ライバルやトラブルとの戦い方」「一芸で生き残る方法」「伸び悩む中堅社員は子どもの頃のヒーローたちに学べ」「村田修一、37歳の生き様」「人生逆転ホームランをかっ飛ばしたいあなたへ」と野球の9回と同じく9つの章それぞれがサラリーマンに絡めたタイトルになっています。

えのきどさんの指摘のとおり、そのことは最近の巨人軍の選手のことを知らない読者にとってはわかりやすさの一助となっています。

でも、プロ野球選手は等身大の存在ではありません。年下であっても、スターです。距離感を見誤ってはいけないと感じました。

サラリーマン像も定型のサラリーマン像をなぞっているように思えて共感しませんでした。なので、サラリーマンで喩えず、エピソードの引用でまとめた回(落合博満クロマティ星野仙一)は毛色が異なり良かったけれど、引用を重ねるのは同じくブロガーあがりの「てれびのスキマ」こと戸部田誠さんの二番煎じになるから手法として使いたく無かったのかなとも思わせました。

物足りないとこばかり挙げましたが、本書の肝であり、最重要ポイントは、自分のことを書いた「プロ野球死亡遊戯が生まれた日」という回。

「プロのライターになる」という決意で2010年10月24日にはじめたブログ「プロ野球死亡遊戯」の初期が振り返られています。

 とにかく書く。言い訳をしないで書く。断り切れない飲み会があったら、帰宅すると熱いシャワーを浴びて酔いを醒ましてから書く。/書いて書いて書きまくる。書くことを、飯を食ったりナニったり風呂に入る生活習慣と同じレベルに組み込もうと思った。/ひたすら書く。/いつ何時も書き続ける。3年間そんな生活を続けたら、いつの間にか1日10万アクセス突破。プロ野球死亡遊戯はモンスターブログと呼ばれるようになっていた。

 18年1月31日をもって終了した。最終的なプロ野球死亡遊戯のブログの累計ページビューは7年3ヵ月で「71924756」だった。

ななせんまん、、、、。ちなみにこのブログのアクセス数は記事数145件で「173578」です。

帯コメントは「またかよ感」のある糸井重里

糸井重里自身が巨人ファンなので人選に不満はないのですが、「ほぼ日」は巨人戦を見に行く企画で2014年以降、毎年のようにワンデープログラムへの寄稿を依頼しています。ブログのアクセス数よりも糸井重里からのフックアップを感謝しているようでした。

www.1101.com

余談ですが、今まで「ヒットの崩壊」で知られる音楽ライター柴那典さんと「てれびのスキマ」こと戸部田誠さんの顔が似てると思っていましたが、「プロ野球死亡遊戯中溝康隆さんの顔も似ている。

BOOK OF THE 2018 - half -

2018年上半期に読んだ本のランキングです。

「順位、ランク、書名、作者」の順です。

 

Aランク ・・・ 捨てられない

Bランク ・・・ ブックオフ行き

Cランク ・・・ ブックオフ行きは当然として、ゲロ吐くくらい内容がひどい

 

1 A ディス・イズ・ザ・デイ 津村記久子

tabun-hayai.hatenablog.com
2 A 生きるとか死ぬとか父親とか ジェーン・スー

tabun-hayai.hatenablog.com
3 A ルポ川崎 磯部涼
4 A 観察の練習 菅俊一
5 A 煩悩ウォーク 岡宗秀吾

6 A 選んだ孤独はよい孤独 山内マリコ
7 A いちのすけのまくら 春風亭一之輔
8 A 全部やれ。 日本テレビ えげつない勝ち方 戸部田誠(てれびのスキマ)
9 A 誰が音楽をタダにした?──巨大産業をぶっ潰した男たち スティーヴン・ウィット
10 A 没頭力 「なんかつまらない」を解決する技術 吉田尚記

11 B 全米は、泣かない。 五明拓弥

tabun-hayai.hatenablog.com

12 B 春風亭一之輔の、いちのいちのいち 春風亭一之輔,キッチンミノル
13 B 探してるものはそう遠くはないのかもしれない 新井見枝香
14 B この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議 ブング・ジャム,古川耕
15 B みんなが書き手になる時代の あたらしい文章入門 古賀史健

16 B 人生にゆとりを生み出す 知の整理術 pha
17 B たった一人の熱狂-仕事と人生に効く51の言葉- 見城徹
18 B WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE. 〜現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ〜 佐渡島庸平
19 B グイグイ力 井上三太
20 B 苦汁200% 尾崎世界観

tabun-hayai.hatenablog.com
21 B 出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと 花田菜々子

tabun-hayai.hatenablog.com

22 B 考える力がつく本 ―本、新聞、ネットの読み方、情報整理の「超」入門 池上彰
23 C 理科系の読書術 - インプットからアウトプットまでの28のヒント 鎌田浩毅
24 C スクロール 橋爪駿輝