ジェーン・スー『生きるとか死ぬとか父親とか』

80歳手前の父と40代半ばの娘。2人という最少人数で構成される家族の日々を読み進めるうちに、読者自身の家族のことが頭の中をよぎり続けることでしょう。 著者はTBSラジオ「生活は踊る」のパーソナリティとしての肩書が最も知られていますが、エッセイスト、…

五明拓弥「全米は、泣かない。」

著者は、お笑い芸人「グランジ」というトリオの一員で、背の高い人です。トリオのもう2人は、椿鬼奴の旦那である佐藤大と、ラジオ「School of Lock」や5月6日に開催された音楽フェス「ビバラポップ」等でMCをしている遠山です。 著者の本職はお笑い芸人です…

花田菜々子『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』

東京の話であり、ヴィレヴァンの話でもあり、ひとりの女性の再起動までの話でもあり、男は女性をどう見てるかの話でもあり、ブックガイドでもあり、「夫のちんぽが入らない」に続く強いタイトルの作品でもある。私は自発的に本の情報を入手し、読む/読まな…

続きの気になる連載中のマンガ7作品

最近は読むマンガの大半が1冊で完結するマンガや巻数の少ないマンガ(「お父さんクエスト」「ルーブルの猫」「ニューヨークで考え中」「いのまま」、、、)になっているし、年末のランキングに載ってくるのもそういった作品だけれど、やっぱり毎週/毎月の連…

古瀬絵理写真集「蜜」「陽だまり」

(今も古瀬絵理さんを追っている同志に向けたエントリです。) 古瀬絵理さんは、1978年2月8日生まれで、先月40歳を迎えたばかりです。 1st写真集「蜜[mits]」出版から2nd写真集「陽だまり」までの間に結婚と出産を経ています。 2011年2月 33歳「蜜」(撮影:…

藤原嗚呼子「きまじめ姫と文房具王子」

店頭で見かけたときは表紙の感じからファンシーな作品なのかという印象を受けましたが、文房具好きなので抵抗できず購入しました。 読了後に掲載誌を確認したら「月刊スピリッツ」でした。ドラマ化された「重版出来」が有名ですが、他にも「阿・吽」や「映像…

「みずず」2018年1・2月合併号「読書アンケート特集」

2017年2月16日付のエントリの冒頭を引用します。 「みずず」2017年1・2月合併号「読書アンケート特集」 年末に各誌で発表される「年間ベスト」。その末尾を締めるのは、みすず書房が発行するPR誌「みすず」の「読書アンケート特集号」。今号では146名の方が5…

「ブレイディみかこ」が絶頂期に入っている

毎月7日に4冊の「文藝誌」が同時に発売されていることは、どのくらい認知されている事なのでしょうか。 毎月7日の朝日新聞には4誌が並んだ広告が掲載されるので、朝日新聞を購読されている方はご存知かもです。 そもそも「文藝誌」とは、芥川賞に絡む作家の…

津村記久子「ディス・イズ・ザ・デイ 最終節に向かう22人」(第5話~第9話)

tabun-hayai.hatenablog.com 第5話「篠村兄弟の恩寵」 奈良FC VS 伊勢志摩ユナイテッド 篠村靖(兄) & 篠村昭仁(弟) 兄弟で奈良FCに所属していた窓井のファンになったが、窓井の移籍とともに弟は伊勢志摩ユナイテッドのサポーターになり、兄はそ…

子どもの本の国の豊かさ

昨年発行された小山健「お父さんクエスト」、山崎ナオコーラ「母ではなくて、親になる」、池谷裕二「パパは脳科学者」の3冊が育児本のジャンルでは今後長きに渡ってのベストです。これは確定です(ブック・オブ・ザ・イヤーで無視されてんのは何でだ?)。 t…

宇野維正「小沢健二の帰還」

著者である宇野惟正さんのデビュー作にあたる「1998年の宇多田ヒカル」は総論的な作品で、2作目の「くるりのこと」は黒子として聞き手にまわった作品でした。そして、3作目にあたる本作のテーマは小沢健二について。著者の小沢健二への追っかけ振りは、小沢…

小山健「お父さんクエスト」

マンガ家や小説家による育児体験を記した本は、何冊も出版されています。 榎本俊二「カリスマ育児」阿部潤「はじめて赤ちゃん」樋口毅宏「おっぱいがほしい!」山崎ナオコーラ「母ではなくて、親になる」小山健「お父さんクエスト」 私が読んだのは上記の5冊…

星野源が偉い10の理由

星野源が続けざまに「ROCKIN'ON JAPAN」「anan」「MUSICA」の表紙を飾り、色々背負わされていて凄いなぁと思ったところが今回のエントリのきっかけ。 星野源の何が凄いかと考えだしたけれど、偉いんだと思いついて、偉い所を挙げだしたらすぐに10個になりま…

樋口毅宏「おっぱいがほしい!」

「週刊新潮」に2016年5月から1年間連載された本作は、2015年11月2日に産まれた長男を同年12月15日から2016年12月29日にかけて育児する日々をまとめた作品です。 樋口毅宏の著作で読んだことあるのは「タモリ論」「さよなら小沢健二」と「ドルフィン・ソング…

尾崎世界観「苦汁100%」

水道橋博士が発行人のメールマガジン「メルマ旬報」で連載されているクリープハイプ尾崎世界観の日記が早くもまとまりました。 誰かの日記を読むとき、この人は何を吸収しているのかという音楽や本などの具体名が気になります。 本書にも「書店に行った」、…

綿矢りさ「インストール」

綿矢りさ「インストール」を12年ぶりに再読しました。第38回文藝賞発表号の「文藝」で読み、2001年11月の単行本刊行時に読み、2005年10月の文庫刊行時に読んだので、12年ぶり4回目です。 自意識が膨らんで破裂した女子高生が学校をサボることになり、自室の…

「はあちゅう」とは何者か?

「はあちゅう」さんが肩書きを「作家」にしようとしたら炎上しました。 「はあちゅうさん、吉田豪さんに認識されていて凄い!」というのが私の第一印象でしたが、いろんな人がいろんなコメントをし、あれよという間に炎上したので驚きました。 「作家・はあ…

石持浅海「殺し屋、やってます。」

余計なことを考えると、行動が制約される。行動の制約は、失敗に直結する。プロとして、絶対に避けなければならない。 殺し屋を扱った小説を読むのが好きです。好きとはいえ、伊坂幸太郎「グラスホッパー」「マリアビートル」、曽根圭介「殺し屋.com」しか読…

池上彰、竹内政明『書く力 私たちはこうして文章を磨いた』

『情報を活かす力』『学び続ける力』『伝える力』『見通す力』など「○○力」というタイトルの書籍を出版し続ける池上彰さん(「○○力」でいうと齋藤孝先生が最も多いですよね)。 読売新聞の一面コラム「編集手帳」を2001年から担当されている竹内政明さん。 …

石塚真一『BLUE GIANT』から読み解くジャズとロックの違い

日本の音楽シーンではロック・バンドが大切に扱われています。結成30周年を迎えてベストアルバムリリースします、結成20年で初めて武道館公演決まりましたとか。 大切に扱われていないのが、セッション・ミュージシャン(スタジオ・ミュージシャン)と括られ…

石塚真一『BLUE GIANT』が描く金銭感覚について

※ 2016年4月に書いたものを書きなおしました 石塚真一「BLUE GIANT(ブルージャイアント)」が音楽を描き、青春を描けている点において傑作なのは異論を挟む余地がありません。 ただし、「音楽」「青春」というジャンルを超えて、すべての漫画の中で「BLUE G…

恩田陸『蜜蜂と遠雷』(そのタイトルの意味)

タイトルはその作品の看板です。たまに「無題」というタイトルの作品もあるけれど、「無題」という看板だということです。 とすると、『蜜蜂と遠雷』の意味するところは何なのでしょうか? 3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。 「芳ヶ江を制し…

「みずず」2017年1・2月合併号「読書アンケート特集」

年末に各誌で発表される「年間ベスト」。 その末尾を締めるのは、みすず書房が発行するPR誌「みすず」の「読書アンケート特集号」。今号では146名の方が5冊以内という規定の中で選んでいます。 「本の雑誌」や「ダ・ヴィンチ」でランクインするエンタメ小説…

こだま『夫のちんぽが入らない』

明るい場所へ続く道が 明るいとは限らないんだ 出口はどこだ 入口ばっか 深い森を走った 足がちぎれても 義足でも どこまでも 走れメロス ―― 宇多田ヒカル「忘却ft.KOHH」 悩んだ末に出た答えなら15点でも正しい ―― Mr.Children「CENTER OF UNIVERSE」 読み…

恩田陸『蜜蜂と遠雷』(を読みはじめた)

1月9日にレンタルDVDを返却したついでに併設されている本の売り場に買おうと思っていた『半径5メートルの野望』(はあちゅう/講談社文庫)はあったけれど、文庫1冊だけ買って帰るのは勿体ないと思って、売り場を徘徊しました。 「これ!」というのがみつか…

BOOK OF THE "2016"

年末を迎え、各誌、各サイトで年間ベストが発表されはじめました。 いろんな人が10本、10枚、10作、、、と選出していますが、分母が気になってしまいます。 あなたの選んだ10本(10枚/10作)は幾つの選択肢から選んだものなのですか?と。 手に取る段階にお…

小林聡美『読まされ図書室』

14年12月の単行本刊行時に書店で手に取った時は「装丁が凝ってるな。タイトルはそういう意味なのね」くらいで済ませていました。文庫が刊行されて読み通した時、『読まされ図書室』というコンセプトの革新性に気づき、目から鱗が落ちました。 普通の書評集と…

メモ(書評まとめ)

suzie-news.jp

岡康道『勝率2割の仕事論 ヒットは「臆病」から生まれる』

光文社新書から「TUGBOAT」岡康道さんによる仕事論の本が発行されました。講演会で出待ちして『TUGBOAT 10 YEARS LOG BOOK』にサインをもらったことのあるファン目線でも、示唆に富んだ名著であったから文章を引用しながら感想をまとめます。 プレゼンで心が…

大崎梢『ようこそ授賞式の夕べに 成風堂書店事件メモ(邂逅編)』

大崎梢が書店員、出版社を扱った作品群を読みました。 「読みました」と書いて「愛読しています」と書けないのは、今まで読んだ分は全て図書館から借りて読んだことの後ろめたさに寄ります。 このことの後悔はひとまず置いておくとして、「作品群」について…