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石塚真一『BLUE GIANT』から読み解くジャズとロックの違い

日本の音楽シーンではロック・バンドが大切に扱われています。結成30周年を迎えてベストアルバムリリースします、結成20年で初めて武道館公演決まりましたとか。 大切に扱われていないのが、セッション・ミュージシャン(スタジオ・ミュージシャン)と括られ…

石塚真一『BLUE GIANT』が描く金銭感覚について

※ 2016年4月に書いたものを書きなおしました 石塚真一「BLUE GIANT(ブルージャイアント)」が音楽を描き、青春を描けている点において傑作なのは異論を挟む余地がありません。 ただし、「音楽」「青春」というジャンルを超えて、すべての漫画の中で「BLUE G…

恩田陸『蜜蜂と遠雷』(そのタイトルの意味)

タイトルはその作品の看板です。たまに「無題」というタイトルの作品もあるけれど、「無題」という看板だということです。 とすると、『蜜蜂と遠雷』の意味するところは何なのでしょうか? 3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。 「芳ヶ江を制し…

「みずず」2017年1・2月合併号「読書アンケート特集」

年末に各誌で発表される「年間ベスト」。 その末尾を締めるのは、みすず書房が発行するPR誌「みすず」の「読書アンケート特集号」。今号では146名の方が5冊以内という規定の中で選んでいます。 「本の雑誌」や「ダ・ヴィンチ」などの直木賞っぽいエンタメ小…

こだま『夫のちんぽが入らない』

明るい場所へ続く道が 明るいとは限らないんだ 出口はどこだ 入口ばっか 深い森を走った 足がちぎれても 義足でも どこまでも 走れメロス ―― 宇多田ヒカル「忘却ft.KOHH」 悩んだ末に出た答えなら15点でも正しい ―― Mr.Children「CENTER OF UNIVERSE」 読み…

恩田陸『蜜蜂と遠雷』(を読みはじめた)

1月9日にレンタルDVDを返却したついでに併設されている本の売り場に買おうと思っていた『半径5メートルの野望』(はあちゅう/講談社文庫)はあったけれど、文庫1冊だけ買って帰るのは勿体ないと思って、売り場を徘徊しました。 「これ!」というのがみつか…

BOOK OF THE "2016"

年末を迎え、各誌、各サイトで年間ベストが発表されはじめました。 いろんな人が10本、10枚、10作、、、と選出していますが、分母が気になってしまいます。 あなたの選んだ10本(10枚/10作)は幾つの選択肢から選んだものなのですか?と。 手に取る段階にお…

小林聡美『読まされ図書室』

14年12月の単行本刊行時に書店で手に取った時は「装丁が凝ってるな。タイトルはそういう意味なのね」くらいで済ませていました。文庫が刊行されて読み通した時、『読まされ図書室』というコンセプトの革新性に気づき、目から鱗が落ちました。 普通の書評集と…

メモ(書評まとめ)

suzie-news.jp

岡康道『勝率2割の仕事論 ヒットは「臆病」から生まれる』

光文社新書から「TUGBOAT」岡康道さんによる仕事論の本が発行されました。講演会で出待ちして『TUGBOAT 10 YEARS LOG BOOK』にサインをもらったことのあるファン目線でも、示唆に富んだ名著であったから文章を引用しながら感想をまとめます。 プレゼンで心が…

大崎梢『ようこそ授賞式の夕べに 成風堂書店事件メモ(邂逅編)』

大崎梢が書店員、出版社を扱った作品群を読みました。 「読みました」と書いて「愛読しています」と書けないのは、今まで読んだ分は全て図書館から借りて読んだことの後ろめたさに寄ります。 このことの後悔はひとまず置いておくとして、「作品群」について…

石塚真一『BLUE GIANT』は誤解されている

※ 読み直すと本題にはいるまでが長かったので、書き直しました(2017年3月) tabun-hayai.hatenablog.com 石塚真一『BLUE GIANT(ブルージャイアント)』が「マンガ大賞2016」で3位にランクインし、私には不満が生まれました。 そもそも「マンガ大賞」とは「…

渡辺潤『クダンノゴトシ(2)』

裏表紙に載っていたあらすじを引用します。 卒業旅行帰りの大学生7人にかけられた、“件(くだん)”の「死の予言」。辰巳の死も束の間、余命7日間の宣告を受けたあゆみを救うため、光たちは手を尽くす。それぞれが情報集めに奔走するが、あゆみに残された命は…

三谷宏治『戦略読書』

15年10月に藤原和博『本を読む人だけが手にするもの』について書いたとき以下のように始めました。 『本を読む人だけが手にするもの』以外にも、『頭は「本の読み方」で磨かれる』(茂木健一郎)、『読んだら忘れない読書術』(樺沢紫苑)など、「読書術」や…

津村記久子『この世にたやすい仕事はない』

「津村記久子デビュー10周年記念」と帯に書かれた本書は、長年勤めた職場を退職した主人公が5つの仕事を転々とする連作短編集です。 その5つの仕事とは、作家を見張る「みはりのしごと」、沿線の飲食店などの広告を考える「バスのアナウンスのしごと」、お…

渡辺潤『クダンノゴトシ(1)』

渡辺潤先生の前作『三億円事件奇譚 モンタージュ』は途中までしか追えなかったので、ある程度巻数が揃ってから手に取ろうと思っていました。 しかし、コミックナタリーでの対談や試し読みを読んだ結果、気になってしまい、『クダンノゴトシ(1)』を購入し…

『本の雑誌』2016年1月号

定期購読している『本の雑誌』で、毎号読む連載の1つが「坪内祐三の読書日記」です。2016年1月号に「10月3日(土)あさって締め切りの『新潮45』の原稿書き始める前に」とあり、『新潮45』はノーマークであったと後悔しました。 早速『新潮45』の…

11月に読んだ本

津村記久子『この世にたやすい仕事はない』 長年勤めた職場を退職した女性が転職を繰り返していく連作短編集。5話収録されており、5つの職場に主人公は席をおきます。 5つの職場では「みはりのしごと」「バスのアナウンスのしごと」「おかきの袋のしごと…

佐野研二郎『7日でできる思考のダイエット』

まずはじめに、このエントリによって2020年の東京五輪エンブレムに関して、15年7月24日に佐野研二郎さんデザインのものが選ばれ、9月1日に白紙撤回されるまでのことを蒸し返したいわけではありません。 東京五輪エンブレムが佐野研二郎さんデザインのものに…

『深代惇郎の天声人語』と坪内祐三『考える人』

深代惇郎(ふかしろ じゅんろう、1929年4月19日 - 1975年12月17日)執筆の「天声人語」が『深代惇郎の天声人語』(朝日文庫/15年9月)として出版されたことを、たまたま立ち読みした『週刊文春』の「文庫本を狙え」で知りました。 深代惇郎のことは、「文…

兵庫慎司さんの文庫解説

北上次郎『勝手に文庫解説』(集英社文庫/15年9月)の巻末に「スペシャル座談会」として北上次郎、大森望、池上冬樹、杉江松恋という書評家4名が「文庫解説作品 自薦ベスト3」を挙げています。 北上次郎さんの自薦ベスト3のうち1作は宮部みゆき『魔女は…

藤原和博『本を読む人だけが手にするもの』

『本を読む人だけが手にするもの』以外にも、『頭は「本の読み方」で磨かれる』(茂木健一郎)、『読んだら忘れない読書術』(樺沢紫苑)など、「読書術」や「読書すれば良いことがある」という内容の本が定期的に刊行されています。 タイトルからは読書が習…

宇田智子『本屋になりたい -この島の本を売る‐』

書店のポップから『白い犬とワルツを』のようにベストセラーが出たり、本屋大賞ができたりことにより書店員に注目が集まりました。雑誌に書店員が本の紹介をすることは今や常態化しています。 平安堂書店長野店の店員が「週刊現代」の書評欄に月1で寄稿して…

松尾スズキ+河井克夫asチーム紅卍『ニャ夢ウェイ4』

15年5月末に発売された6月号で長期連載作「ニャ夢ウェイ」を終わらせた『ロッキング・オン・ジャパン』。翌7月号では編集部員によるコラム8本で『ニャ夢ウェイ』の載っていた4ページが埋まっていました。 小松香里さんによる追悼は読ませる内容でしたが、花…

西畠清順『教えてくれたのは、植物でした』

プラントハンター西畠清順さんのことは、新聞に掲載されている本の広告で何度か名前を見かけたり、本の雑誌社の杉江由次さんが「帰ってきた炎の営業」で言及していたりということが重なった末に、新潟県の書店で見かけたので買いました。 「2ページのエッセ…

広告クリエイティブの仕事術

「広告クリエイティブ」と呼ばれる、電通や博報堂に代表される広告会社所属(あるいは出身)の広告制作者の方たちの著書が発行されるたびに購入するのが習慣になっています。 一読するだけなので、それぞれの手法を取り入れることはできていません。 しかし…

新聞の連載小説と挿絵の幸福な結末

2015年4月1日から朝日新聞紙上で沢木耕太郎さんによる連載小説『春に散る』が始まりました。 挿絵は中田春彌さん。単行本は所持していませんが『月刊IKKI』で連載していたことは認識していました。しかしながら、単行本3冊しか刊行していない作家…