『YOUは何しに日本へ?』を軸にした土曜の午後の不幸な編成(ある地方で)

 昔ばーちゃんに教わったぜ。「お前がそれを信じてなくても他人の神様の悪口は言っちゃいけない」って。

  田島列島『子どもはわかってあげない』

 

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 『YOUは何しに日本へ?』というバナナマンがMCを務める番組は毎週視聴する番組の1つです。

 私の住んでる地域ではテレビ東京がネットされていないので、本来なら月曜18時57分からの番組が、何週か遅れて土曜の昼間に放送されます。

 3月21日(土)の放送では宝塚歌劇団に憧れたドイツ在住の女性2人に密着していました。

 YouTube宝塚歌劇団の存在を知った2人。「西洋では全員が女性だけで構成される舞台はない」ようで、「素敵な歌手がいっぱいいて演技も素晴らしい」ことから宝塚のファンになって6年。シェアハウスに同居し、3年間で100万円貯め、念願の来日を果たしました。

 「タカラヅカ」のグッズは持ってきているか?という質問には「家で大切に保管しているから持ってきていない」という答え。ただし、自宅には2001年からの雑誌、DVD、写真集、記念誌、ポストカード、カレンダーを持っているらしく(はるな檸檬『ZUCCA×ZUCA』に描かれているような)本格的なファンと言えます。安蘭けいさんのファンクラブにも入っていました。

 東京と大阪を往復しながら青山劇場で安蘭けいさん出演の『アリス・イン・ワンダーランド』を3回、梅田芸術劇場で元・タカラジェンヌ9名の出演する『シカゴ』を4回観た後、旅の終わりに宝塚大劇場宙組公演『白夜の誓い』を観劇する計画でした。

 ドイツ人女性2人の宝塚歌劇団に対する敬意に胸を打たれました。青山劇場前に貼ってある『アリス・イン~』のポスターを見て涙ぐんだり、『シカゴ』のポスター前で「峰さを理さん、麻路さきさん、姿月あさとさん、和央ようかさん、湖月わたるさん、水夏希さん、朝海ひかるさん、貴城けいさん、大和悠河さん」と声を揃えて紹介したり、大空祐飛さんの写真をプリントした鞄を持ったり。何よりタカラジェンヌの名前を出すときは常に「さん付け」する姿勢に。

 2人は宝塚大劇場を訪れ、宙組トップ凰稀かなめさんの退団公演『白夜の誓い』を観劇しました。

 「私たちの心の大部分を宝塚が占めていて、今は宝塚がないと生きられない」

 「今日は凰稀かなめさん、緒月遠麻さんが退団される公演を最初で最後になってしまったけど観ることができた。もし私の好きな帆風成海さんが将来退団することがあったら私は恐らく最後のステージにサヨナラを言いに来ることができない。それを想像したら、、、、、ゴメンナサイ」

 「私たちは宝塚のことをとても愛している。宝塚は私たちの人生を幸せに彩ってくれる。悲しい日に楽しい気持ちにさせてくれるのも宝塚以外では難しい」

 

 

 番組の余韻に浸っていたら、同じテレビ東京製作の『そうだ旅に行こう。』が始まりました。

 小峠英二(バイきんぐ)、篠原信一藤崎奈々子福知山線の秘境温泉へ行く前に宝塚大劇場を訪れて衣装の試着や記念撮影を行っていました。

 藤崎奈々子は羽根が付いているという理由で男役の衣装を選びました。着替えの最中、小峠と篠原が「今はどんな格好か?」と聞き、藤崎が「半裸」と答えて男2人がニヤニヤする定番のやり取りがありました。

 「YOUは何しに日本へ?」でもドイツ人YOU2人が衣装を試着し、記念撮影をする場面がありました。

 2人は体型的に着れる衣装があるかを心配したものの、娘役の衣装はフリーサイズということを聞いて安堵し、ドイツ人女性・エリザベートの衣装と、安蘭けいさんが星組トップ時代に主演した『スカーレット・ピンパネール』で遠野あすかさんが着ていた衣装を選んでいました。

 宝塚の衣装に対する憧れや敬意が異なっており、見終わった直後は「宝塚に敬意を払えよ」と不快な気持ちになりました。

 ただ、自分が宝塚に行ったとしても、無関心な反応をしてしまったり、勘違いな発言をしてしまうのは避けられない事です。

 誰かの神様を馬鹿にするつもりはなくても、その神様に憧れている人からしたら馬鹿にしていると捉えられてしまうのは、ありふれた話です。

 小峠はテレビの中で求められていることをし、藤崎奈々子はテレビ映えする衣装を選んだということであり、その選択に間違いはありません。

 けれども、2月23日と2月17日に放送された番組が3月21日に連続して放送されるという不運な巡りあわせが時に起きてしまいます。このことを忘れないようにしても、いずれ、忘れてしまうだろうから、せめて、たまには思い出せるよう書き留めておきました。