イルリメ「カレーパーティー」
09年2月に『メイド イン ジャパニーズ』がリリースされた時、「ロッキング・オン・ジャパン」09年2月号に記事は掲載されず、『メイド イン ジャパニーズ』がどういう評価を与えられていたのかを確認することはできません。
先日リリースされた(((さらうんど)))の名盤『New Age』『See you , Blue』ともにオリコン最高位96位、鴨田潤名義の大名盤『一』は285位ということから考えれば、メディアからはほとんど無視されていると考えざるをえません。これほどまでにイルリメ(鴨田潤)を無視する音楽ジャーナリズムなんかに興味はありません。
それでも、ググったら色々情報が載ってました。
たとえば、OTOTOYでのかみ合わないインタヴュー。
たとえば、「カレーパーティーというと、イルリメの曲がうかぶのですが、歌詞がひどいのでカレーパーティーにふさわしくない・・と思っていたら、家主のひとり・Tちゃんがその曲をかけようとしてくれていて、おお! と、ちょっとうれしかったのです。「友だち来るの めんどくさい」「人数分が めんどくさい」「飲み物倒し めんどくさい」とかいうヒドい歌です。」という、どーでもいい内容のブログ。
たとえば、「イルリメのニューアルバム「メイド・イン・ジャパニーズ」に収録されてる「カレーパーティー」という曲、カレーの美味しさを歌ってると思って聴いてみたら、見事に裏切られた!面白すぎ!」と書いた後に、歌詞を丸ごと載せている頭どうかしているブログ。
たとえば、松本亀吉さんの『一』をレビューしたブログ。やはり松本亀吉さんは素晴らしかったです。
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私が全曲についてレビューを書けるほど、『メイド イン ジャパニーズ』は簡単なアルバムではありません。
『メイド イン ジャパニーズ』収録曲のなかで最も間口の広い曲について書いてみます。
7曲目に収録された「カレーパーティー」という曲は、カレーパーティーを開くためにカレーを作り、客を迎え入れ、パーティーが終わるまでの出来事すべてに対して「めんどくさい」と言う曲です。
前述のOTOTOYのインタビューでは以下のようなやり取りがありました。
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―― M-7「カレーパーティー」は実体験ですか?
イルリメ:カレーパーティー自体やったことないです。
―― 学生時代の経験かと思いました。
イルリメ:学生生活自体がめんどくさいですけどね。
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実体験ではない詩の内容に対して、補助線を引きながら輪郭を描くのが聴き手の楽しみですから、野暮を承知で、私の見解を書きます。
そもそも、カレーパーティー開催の一連の流れに対して「めんどくさい」を連呼する主人公が、何でカレーパーティーを自宅で開くことになったのかが分かりません。その理由を歌詞から読み解こうと何度も聴きますが、それでも分かりません。
最終的に、「でも楽しかったな」で終わるなら納得もできます。けれども、最後は「思い出しても めんどくさい 思い出出来て めんどくさい」で終わります。
この歌が、無気力な人間の歌であるなら、理解はできます。
けれども、この詩の主人公は、対人関係もしっかり築け、気遣いのできる人です。
たまねぎをきつね色になるまで炒め、あくを取っていることから丁寧にカレーを作っています。客人の愚痴や自慢話を聞き、ゲームのやり方を説明します。トイレの場所を教え、飲物倒されたり酒をこぼされたりすれば、フキンを出します。部屋は煙たくなるけれど、家には灰皿が常備されています。
いしわたり淳治さんが「WEBちくま」で連載している「短短小説」の最新回「イヤホン」と同様のテーマなのでしょうか?
色々な見方のできる詩ですが、この曲は「めんどくさい」とか「めんどくせぇ」が口癖になってるけど「仕方ねぇな」と思いながらも取り組む私の曲です。
だから、この曲は特別な1曲です。