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藤原和博『本を読む人だけが手にするもの』

 『本を読む人だけが手にするもの』以外にも、『頭は「本の読み方」で磨かれる』(茂木健一郎)、『読んだら忘れない読書術』(樺沢紫苑)など、「読書術」や「読書すれば良いことがある」という内容の本が定期的に刊行されています。

 タイトルからは読書が習慣化されていない人をターゲットにしているのだと思いますが、スーパーやコンビニで売られているならまだしも、書店でしか売ってないのであれば、恐らく読書が習慣化されていない人には届いていないでしょう。

 本屋に通う習慣のある人が更なる効率化を求めて、手に取っているんだろうなと、体験を込めて感じます。

 

 今回、藤原和博『本を読む人だけが手にするもの』は装画・装丁が寄藤文平さんだったので手に取り購入しました。まぁまぁな点と悪い点について書いてみたいと思います。

 

 まぁまぁな点

1.読み終えたらアウトプットが必要

 「単に本を読んで、インプットすることだけをやっていても、読書の習慣は身につかないかもしれない」ということで、アウトプットが必要であると、和田中学時代の体験を書いてありました。

 和田中学時代は、朝読書の時間などを通じて年間に読んだ本から3冊選び、新聞に見立ててまとめる、ということを全学年に課していたそうです。自分の中学時代にもあったら楽しかったんだろうな、と思いました。

 アウトプットが大切であるということで、ブログを書いています。

 

 悪い点

1.前置きが長い

 読書術を紹介するまでに、「読書することでロールモデルのない時代を生き抜けます」という趣旨のの前置きが長く続くので辟易しました。

 パチンコとケータイゲームをやめて読書をすれば、8分の1(おおよそ10人に1人)の人材になれるとありました。逆に言うと、パチンコとケータイゲームのどちらかをやっている人が就業人口の9割を占めていることになってしまうので、前提が間違っているように思います。

 

2.自著の宣伝が多い

 巻末に付録として「藤原和博の「これだけは読んでほしい」と思う本・50冊」が載っています。その50冊のなかに自著が2冊。

 それ以外にも自著が本文中で何度も紹介されています。紹介する場面では、ロングセラー、ベストセラーという厚顔はなはだしい装飾つきです。カバーの袖の著者紹介欄には累計124万部とあるけれども、ベストセラーの基準は何万部なんでしょうか?

 

3.うまい例えでしょ?というドヤ顏が想像できる

 司馬遼太郎の『坂の上の雲』の時代は終わり、『坂の上の坂』の時代であると定義したことを、著書のタイトルにもした(2011年11月)と誇っています。

 しかし、Mr.Childrenが04年4月7日にリリースした『シフクノオト』収録の「天頂バス」で「トンネルを抜けると 次のトンネルの入り口で 果てしない闇も 永遠の光も ないって近頃は思う」と歌っているので、とりたてて新鮮味はありませんでした。

 

4.例として出す顔ぶれが、好きじゃない

 「人間はすべてのことを体験することはできない。たとえば、櫻井よしこさんが講演で日本の領土問題を話すとき、尖閣諸島竹島北方領土問題など話題にする場所をすべて訪問し、すべてを体験して語ることなどできはしない(42ページ)」

 櫻井よしこを貶めたいがための例えである気もするが、唐突感しかありませんでした。 

 また、本書では樋渡啓祐が武雄市長時代にテレビに出ていたツタヤの増田宗昭社長に図書館運営を任せたいと思い続けていたら、代官山蔦屋書店近くの交差点で社長に会い直訴して受けてもらった、というエピソードが紹介されています。その後の武雄市図書館へのツタヤによる蔵書問題などには一切触れられていませんでした。

  その他に、メディアファクトリー時代に起用した中谷彰宏など、登場人物の大半が好きではありませんでした。

 

  総合的には装丁80点、内容15点なので、お薦めしません。