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石塚真一『BLUE GIANT』から読み解くジャズとロックの違い

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日本の音楽シーンではロック・バンドが大切に扱われています。結成30周年を迎えてベストアルバムリリースします、結成20年で初めて武道館公演決まりましたとか。

大切に扱われていないのが、セッション・ミュージシャン(スタジオ・ミュージシャン)と括られるソロアーティストやバンドのサポートを務める方たちです。

グレイプバインに帯同している金戸覚&高野勲、奥田民生のツアーに参加する小原礼、などなど。

最も過小評価されているのがオカモトズのハマ・オカモト

ベーシストとしてソロアーティストやアイドルグループなどのレコーディングに引っ張りだこなのに、オカモトズが乗り切らないため、「浜田雅功の長男」という紹介のされ方が一般的になっています。

ドラマやCMで流れる星野源の「恋」と「Drinking Dance」でベース演奏しているというのに!

こういった状況下なので、ロックバンドを描いた作品(「BECK」とか)は、主人公がバンドメンバーに出会いバンドを結成して以降は「バンド」が主役になります。その中での人間関係が描かれるうちに、主人公は徐々に影が薄くなっていきます。

石塚真一「ブルージャイアント」が扱うのはロックではなく、ジャズです。

服部文祥が「みすず」に「ユキノリの境遇はあんまりです」とコメントを寄せた10巻に掲載された出来事。

主人公・宮本大の組んだ「ジャス」がロック・バンドならあり得ない展開ですが、ジャズ・トリオであったから、宮本大はそのことを受け入れて海外へ向かいます。

今まで何万人がジャズプレーヤーを目指して。でも、なれない。そういう世界だと思います。それにジャズは一生同じメンバーで演るものじゃない。組む人間はどんどん変わっていくものです。

これがロック・バンドとジャズ・トリオの違いであり、別れは予告されていたのです。

ロック・バンドは続けていくことに重きがおかれ、ジャズ・トリオは個人の成長に重きが置かれています。

ロックは終身雇用で、ジャズはキャリア・アップのための転職を推奨しています。

ロック・バンドが海外では流行ってなくて、日本では解散しないまま同じバンドで50代になろうとするミュージシャンが増えていることの違いはこの辺りにもあるような気がします。

ギター&ボーカル、ベース、ドラムの3点セット+αが基準なっているロック・バンドに比べて、ジャズ・トリオの編成は自由です。

「ブルージャイアント」で宮本大が組んだジャスは、テナーサックス、ドラム、ピアノという編成であり、ドイツに渡った海外編「ブルージャイアント・シュプリーム」では、たまたま見かけたジャズトリオにいたベースの女性と組もうと画策しています。

「ブルージャイアント」はジャズを題材としていますが、それはロックバンドと置き換え不可能なジャズの世界なのです。

 

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