「ブレイディみかこ」が絶頂期に入っている

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毎月7日に4冊の「文藝誌」が同時に発売されていることは、どのくらい認知されている事なのでしょうか。

毎月7日の朝日新聞には4誌が並んだ広告が掲載されるので、朝日新聞を購読されている方はご存知かもです。

そもそも「文藝誌」とは、芥川賞に絡む作家の作品が掲載される雑誌です。「芥川賞に絡む」とは、過去に芥川賞を受賞したりノミネートされたりといったことです。小説の世界には純文学と大衆小説という棲み分けが依然としてあり、伊坂幸太郎の作品は「PK」「超人」「人間らしく」の3作しか文藝誌に掲載されたことがありません。

現在刊行されている文藝誌は毎月刊行されている「新潮」「群像」「文学界」「すばる」の他には、季刊の「文藝」(河出書房新社)、「TRIPPER」(朝日新聞出版)が思い浮かびます。

小説を通読することはめっきり少なくなってしまっているけれど、各文藝誌の毎号のラインナップを確認することは毎月(季節ごと)の楽しみになっています。

印象としては、「新潮」(新潮社)が格式高いけれど固くて、「群像」(講談社)は表紙からしてポップだから読みやすくて、「文学界」は対談がメインの印象があり、「すばる」(集英社)は前野健太が連載しているけれどランクが落ちる印象。

2月7日発売の3月号についていうと、「新潮」が2017年の日記リレー特集で、「文学界」には松尾スズキさんの新作小説と宇野維正さんの寄稿が掲載されることを事前に知ったので久しぶりに買うことを決めていました。

「新潮」と「文學界」は買うけれど他の2誌も確認するかと思って「群像」HPで最新号目次を確認すると「新連載 ブレイディみかこ」とありました。


ブレイディみかこさんが、またまた新しい連載をはじめていたのです。

ブレイディみかこさんはイギリス在住の保育士でありながら、ライターとして活動もしている方です。

個人的には、定期購読していた「ちくま」(筑摩書房)で2017年12月号から連載がはじまり驚いた直後、年明けすぐの「波」(新潮社)で連載がはじまったことを知り慌てて定期購読を申し込んだばかりです。

昨年末に、『子どもたちの階級闘争──ブロークン・ブリテンの無料託児所から』(みすず書房)で第17回新潮ドキュメント賞を受賞し、エンジンかかりまくっているから編集者が声を掛けるのは当然なのだけれど、加速しすぎではないかと心配するほどの連載量です。

とはいえ、この連載量はいよいよ絶頂期に入ったことを告げています。ブロークン・ブリテンから日本の論壇の中心へ向かいだしました。

「群像」(講談社)「ブロークン・ブリテンに聞け」

「波」(新潮社)「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」

「図書」(岩波書店)「女たちのテロル」

「ちくま」(筑摩書房)「ワイルドサイドをほっつき歩けーーハマータウンのおっさんたち」

「福音と世界」(新教出版社)「地のいと低きところにホサナ」

ブログで連載タイトルとともに紹介されていたのは、以上の5誌ですが、この他にも紙版の「ele-king」、朝日新聞でも年に3回程度ずつ原稿が掲載されていますし、Yahoo個人とかネットに載っている原稿もあります。

単著は、以下の8作品。ウィキペディアは最新作が漏れていました。

『花の命はノー・フューチャー』(碧天舎、2005/07/20)後に増補してちくま文庫(2017/6/10)
アナキズム・イン・ザ・UK』(Pヴァイン、2013/10/31)
『ザ・レフト──UK左翼セレブ列伝』(Pヴァイン、2014/12/20)
『ヨーロッパ・コーリング──地べたからのポリティカル・レポート』(岩波書店、2016/06/23) 
 ※紀伊國屋じんぶん大賞2017 第11位
『THIS IS JAPAN――英国保育士が見た日本』(太田出版、2016/08/17)
『子どもたちの階級闘争──ブロークン・ブリテンの無料託児所から』(みすず書房、2017/04/19)
 ※ 第17回 新潮ドキュメント賞
『いまモリッシーを聴くということ』(Pヴァイン)、2017/04/28)
『労働者階級の反乱 地べたから見た英国EU離脱』(光文社新書、2017/10)

そろそろ紀伊國屋じんぶん大賞2018が発表になるころです。「労働者階級の反乱」のベスト10入りは確実なはずです。

 

私がブレイディみかこさんを知ったのは、2014年ころ。知った時は「花の命はノー・フューチャー」と「アナキズム・イン・ザ・UK」しか著作が刊行されてなかったので、2014年のどっかで知ったはずです。

アナキズム・イン・ザ・UK」を読み、単著がでたら買う作家のリスト入りしました。その後に読んだのは「ザ・レフト」と「いまモリッシーを聴くということ」くらいなので、批評とかはできませんが、今後の活躍を期待して、これまでの活動を纏めてみました。

感想を書く代わりに、印象に残っている記事のリンクを貼っておきます。

 

bunshun.jp3つめに『いまモリッシーを聴くということ』が紹介されています。

 

kangaeruhito.jp親交のある國分功一郎との対談。ブレイディみかこさんは自分の遍歴についても語っています。