チャットモンチーが「誕生」を残して解散する

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SAKEROCKが解散した時のエントリで、「バンドが終わって友だちに戻ったエピソードを耳にすることはありますが、友だちとして終わることを選んだバンドを他に知りません」と綴りました。

SAKEROCKラストアルバム「SAYONARA」は過去に脱退した2人を呼び寄せて5人で製作した作品でした。

tabun-hayai.hatenablog.com

バンドには友情の楽しさを見ているので、これ以上に外野から「解散やめてよ」と懇願する隙のないバンドの終わりはありませんでした。

しかし、3年経ち、新しい「幸せな解散」が起きました。

チャットモンチーの解散です。チャットモンチーの解散も、SAKEROCKの解散と並ぶ、幸せな解散です。

解散の報に接した2017年11月24日。
チャットモンチーは「橋本絵莉子波多野裕文」の結成やアパレルブランド「STINGRAY」への参加はあれど、解散前のSAKEROCKほどには個々の活動が活発ではないため、「続けてもいいじゃいか」「解散することはない」と思いました。

バンドの解散理由の主だったものとして、メンバーが脱退したから(例:NUMBER GIRL)、このメンバーでできることをやりきった(例:ゆらゆら帝国)があります。

3人という最少編成のバンドであったチャットモンチーはメンバーが脱退しても解散しませんでした。脱退したらくるりのようにサポート入れたり新メンバー入れる案もありますが、チャットモンチーはそうはしませんでした。

チャットモンチーとしてデビューして今年で12年。
3ピースバンドとして駆け抜けた三人官女時代。
2ピースバンドとして駆け抜けた二匹オオカミ時代。
男陣、乙女団とともに駆け抜けた大人青春時代。
そしてもう一度2人に戻って機械と取っ組みあったメカニカル時代。
どの時代にも、嘘偽りない色んな感動があり、そこで生まれた曲たちは私たちの一生の宝物です。
(解散発表時のコメントより)

CHATMONCHY | INFORMATION

 

その後、5月23日にラストアルバム「誕生」に高橋久美子が作詞した楽曲の収録されることが発表になり、翌5月24日に高橋久美子のエッセイ集「いっぴき」に橋本絵莉子が解説、福岡晃子が帯推薦文を寄せることが発表されました。

Koji Nakamura「Masterpeace」はいろんな人から作詞提供を受けたアルバムだったのにいしわたり淳治は呼ばれず、いしわたり淳治のエッセイ集「うれしい悲鳴をあげてくれ」の文庫の解説は中村弘二ではなく鈴木おさむだったことを思い出せば、このことがどれほど心躍ることなのかが分かるはずです。

「誕生」初回限定盤はハードカバー・ブック仕様になっており、2人の文章が収められています。橋本絵莉子はレコーディング期間内にレコーディング前後でどのように時間を使っているかが日記のように書いてあり、あっこちゃんが迎えに来て、母親からえっちゃんに戻れる、とありました。

大学の先輩後輩(高橋が82年生まれ、橋本と福岡が83年生まれ)で始めて、1人が別の道を選び、2人でまた進む。別れた1人と手紙をやりとりして終わり。

チャットモンチーにはSAKEROCKと違い、同時進行の活動がないため、その先の未来がこちらには予想できないところに楽しみがあります。

これから先、長くなるであろう音楽人生を思うと、チャットモンチーというバンドにとどまらなくても、私たちには新しくてワクワクするような音楽が待っているような気がしているのです。
次はこれ!というような具体的な構想は今のところないのですが、未来に想いを馳せながらしばらくは2人とも互いの日々を大切に過ごしたいと思います。
(解散発表時のコメントより)