椿とAマッソ加納

2018年2月7日、10日に放送された番組についてです。「フリースタイルダンジョン」はAbema TVで、「ゴッドタン」はTVerで見て、直後に書き始めたのですが、まとめる前にゴッドタンの配信期間が終わり、地元のテレビ局での放送を待っているうちに時間が経ってしまいました。

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「フリースタイル・ダンジョン」と「ゴッドタン」で、椿とAマッソが問題提起をおこなっていました。

問題提起の内容は、女性ラッパー/女性芸人の立ち位置や求められること、取り巻く環境について。男性メインの場に乗り込んでいくことにはまだまだ苦労が伴うようです。

椿は2017年3月に3人組の「TEAM CINDERELLA MC's」として出演した際に、ミソジニー(女性蔑視)発言がばんばん向けられているのに会場が沸いていたことに対して怒りを持ったと紹介VTRで話していました。

女性ラッパーは、MARIA(SIMI LAB.)、Awitch、NENE(ゆるふわギャング)、chelmico、あっこゴリラ、ちゃんみなと増えてきていますが、「フリースタイル・ダンジョン」に出演したのは、椿とチームを組んだあっこゴリラ、FUZIKOくらいで、単独では椿のみです。

「シンデレラMCバトル」という女性のみの大会が開催され徐々に裾野が広がりつつあるようですが、メインのバトル大会や「フリースタイル・ダンジョン」には参加できていないのが現状です。

バトルに出場するフィメール・ラッパーが少ないため、相手をする側にフィメールを攻撃する引き出しがすくなく、ブサイク、貧乳、男好き、モテない、といったミソジニー寄りの発言が増えるのでしょう。観客側にも引き出しやジェンダーの目線がないのもあるし、単純にプロップスの高低差に沸いていたのかもしれないし、それは何ともわかりません。

肝心のバトルの内容は、何とも煮え切らないものでした。

ミソジニー批判を看板に出てきたのが、そもそも失敗です。いきなりそんな看板を掲げられたら田嶋陽子のようにフェミニストおばちゃんと受け取られてしまいます。ミソジニー批判に対する決意は最終ラウンドの「下とかじゃない上とかじゃない見せつけるジェンダーレス 大事なのは変化です/不可能と言われた青い薔薇だってできたように私はやってやる」という箇所のみ。

「モンスタールームに女がいない理由は?」という呂布カルマの問いかけに「OKかわいい担当は崇勲がいるからだろ だから女がいねぇんだ/セクシーはLilyに任せとけ かわいいは崇勲に任せとけ」と返していましたが、かわいいとかセクシー以前に、実力不足だからでしょ?と思ってしまいました。

MARIA、Awitchくらいプロップスのある人がフリースタイル・ラップ・バトルに興味を持っていない現状では、モンスターに見合う人材が見当たりません。

 

というようなことを思いながら過ごしていたら、「ゴッドタン」の「クサリ芸人セラピー」にAマッソが出演し、女性芸人はネタ以外のことが求められている。アンケートの内容は「彼氏の有無/経験人数」という女としてのリアルしか求められていないと訴えていました。

キャラで売っていくことはしないのかという問いに対して「嫌っすね」と答える加納。

そんな加納に向けて劇団ひとりが熱く語っていました。

ニュートラルに売れたいのはどの芸人も最初は思うことなんだけど、なんか1個(キャラや特技を)お土産で持って行ってそれを入り口にして隙間で「僕こういうことできます」と言っていくうちに自分の価値があがっていく。

 

(普通を装っていたら)番組に呼ぶ側は誰を呼んでるかわかんない(だからキャラを作ることで番組のキャスティング・ボードに乗せてもらいやすくなる)

Aマッソのことは、M-1グランプリ2017の敗者復活でしか見た事ありませんが、その時に感じたの「立ち姿が美しくない/サマになっていない」ということ。落ち着きがないように見えました。

M-1グランプリで決勝にもあがれていないのに、ネタ以外のことが求められていると嘆かれても、勘違いしてない?と言いたくなります。

そもそもネタ番組が週に何本放送されているのか調べたことがあるのでしょうか?

バナナマンはテレビでレギュラー番組を何本も抱えていますが、年1回のコントライブをやり続けています。

ネタだけやって売れたいってのは、現状を認識してませんと言っているようなものです。努力もせずに、理想だけで「腐り芸人」を気取ってんなよと。

 

< 番組放送から半年経って >

椿に続いて「フリースタイル・ダンジョン」に登場したフィメール・ラッパーはいません。そもそもここまでに名前を挙げた以外のフィメール・ラッパーにここ半年で出会えていません。フィメール・ラッパーは増えていないようです。

Aマッソ加納は5月からWebちくまで「何言うてんねん」というエッセイの連載をはじめました。

www.webchikuma.jp

コントで迷う事がある。医者を演じることはつまり、女医を演じることになってしまう。意味合いが大きく変わってくるのだが、女が演じるのだから当然だ。そんな当たり前を、うまく咀嚼できない。私はコントで、聴診器を使って遊びたかっただけだ。

(2018年6月27日更新  第2回「こいつの足くさいから洗ってんねんー!」)

悩みはまだ解決してないようですが、文章は抜群なので、このまま書き続けてほしい。