くるり「ハイウェイ」

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くるりが2003年11月にリリースした「ハイウェイ」。

楽曲の長さは4分20秒で歌詞は16行。口ずさみやすく覚えやすい一方で、全体を通して読むと歌詞の意味はとらえどころがありません。

歌詞に沿いながら、自分なりの解釈をまとめたいと思います。

僕が旅に出る理由はだいたい百個くらいあって
ひとつめはここじゃどうも息も詰まりそうになった
ふたつめは今宵の月が僕を誘っていること
みっつめは車の免許取ってもいいかななんて思っていること

語り手である「僕」は旅に出る理由を挙げていきます。旅行に出かける理由は、研修や慰安、鑑賞など何らかの目的とイコールであることが普通です。

1つ2つで十分なはずですが、100個あると宣言し、列挙しはじめます。しかし、最初に挙げる2つの理由から具体性のない曖昧なものであり、今いるこの場所から離れたい気持ちだけが伝わってきます。

さらに、3つ目で「車の免許を取ってもいいかななんて思っていること」と自動車免許を持っていないことを明かします。

通勤に使う車かバイクがあるから、会社を辞めて、旅に出る。そんな想像は覆され、そもそも車の免許を持っていませんでした。車の免許がなければ車もないわけで、電車で出かけるつもりだったのでしょうか?恐らく、どこでもいいからどこかへ行きたい、ここから離れたいという気持ちだったのでしょう。

俺は車にウーハーを(飛び出せハイウェイ)
つけて遠くフューチャー鳴らす(久しぶりだぜ)
何かでっかい事してやろう
きっとでっかい事してやろう

自動車免許を持っていないからなのか、車種でも車体の色でもスピードでもなく、「車にウーハーをつけて」と音響へのこだわりが第1に来ます。

高速道路(ハイウェイ)を進み、ウーハーで未来(フューチャー)を鳴らすことを夢想しています。
「久しぶりだぜ」と言うので、語り手は以前にもフューチャーを鳴らしたことがあるようです。幼少期の万能感でしょうか?

「何かでっかい事してやろう」「きっとでっかい事をしてやろう」という曖昧でヴィジョンのない決意表明から、就職せずにモラトリアムを過ごしている10代か20代前半の語り手を思い浮かべます。

飛び出せジョニー気にしないで
身ぐるみ全部剥がされちゃいな
やさしさも甘いキスも後から全部ついてくる
全部後回しにしちゃいな
勇気なんていらないぜ
僕には旅に出る理由なんて何ひとつない

そして、新たな登場人物である「ジョニー」に「見る前に跳べ」に似た人生訓を語ります。語ったあとで、「僕には旅に出る理由なんて何ひとつない」と「僕」の告白に戻ります。
「ジョニー」は実在する人物ではないのでしょう。第三者への語り掛けを装いながら、自分に言い聞かせています。

手を離してみようぜ
つめたい花がこぼれ落ちそうさ

この2行の関係には不自然さがあります。

「手を離さないで。つめたい花がこぼれ落ちるから」あるいは「手を放そう。つめたい花を手放そう」なら因果関係がわかります。

「手を離してみようぜ」と呼びかけながら、「こぼれ落ちそうさ」とこぼれ落ちて欲しくないような言い方をします。

つまり、「手を放すこと」と、「つめたい花がこぼれ落ちる」ことに因果関係はなく、別の位置にあるものが同時進行で動いていると解釈できます。

どこから手を離そうとしているのか?つめたい花は何のメタファーでしょうか?

全てを読んだのち、最終的に疑問が浮かびます。「僕」は旅に出たのか?出ていないのか?

「旅に出た」「旅に出ていない」という2つの読み方ができると思います。

「旅に出た」場合は、言い訳のように理由を並べたけれど、理由は必要ないから旅に出ちゃえと決心して旅に出たと解釈できます。

「旅に出ていない」場合は、旅に出る必要はなく、ここでやれることをはじめればいいじゃないかと思うに至り、旅に出なかったと解釈できます。

歌詞には焦燥感がにじみますが、歌詞をのせる旋律はアコースティックギターが印象的で淡々としており、のんびりとした雰囲気が漂います。ここにあるのは諦めなのでしょうか。繰り返されるサビもなく、中心の場所すら曖昧です。

「ハイウェイ」はもともと「ジョゼと虎と魚たち」という映画の劇伴を岸田繁が担当した流れでテーマ曲としてつくられた楽曲です。

もともとあった楽曲を映画に使用するならともかく、タイアップ発信の楽曲であれば、耳に残るサビが用意されるものだと思いますが、「ハイウェイ」にはありません。

映画のための楽曲であったため「サウンドトラック」には収録されましたが、直後にでたアルバム「アンテナ」には収録されず、2枚のベストアルバム(「ベスト オブ くるり / TOWER OF MUSIC LOVER」と「くるりの20回転」)にしか収録されていません。

タイアップ発信という曲のできる経緯や歌詞や曲、アルバムに収録されない扱われ方を含めて、「ハイウェイ」には不意に産まれた捉えどころのない魅力を感じました。

「カムカムエヴリバディ」を観て、親からの逃れられなさに落ち込む

カムカムエヴリバディ』、来週以降の予告映像にネット騒然「どういうことなんや…」深津絵里の姿も | RBB TODAY

NHK朝の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」は「安子」「るい」「ひなた」の3世代100年の物語を紡いでいます。

劇中「安子」から「るい」へと世代が変わるなか、意識しなくても受け継がれてしまう場面と遭遇するたび、親からは逃げきれないのかと落ち込みます。孫悟空が釈迦の掌の上から逃れられないように。

受け継がれる場面とは、劇中で繰り返されるエピソードやモチーフのことです。
「るい」は親である「安子」に捨てられたという事実を背負いながら、亡くなった父親の実家で18歳まで暮らし、故郷を捨てるつもりで大阪に出てきて、結婚を機に京都へ移ります。18歳で大阪に出て以降、岡山へ戻った描写はありません。

それでも「安子」ののしてきたこと、好きだったもの、周辺にあったものが、「るい」の周りにも姿を現します。

ルイ・アームストロング「On The Sunny Side Of The Street」、喫茶店「ディッパーマウス・ブルーズ」、あんこでの商売(おはぎと回転焼き)、荒物屋「あかにし」(岡山の安子の実家の近所にあった「あかにし」が京都で店を開くまでを描いたスピンオフが見たい)、自転車の練習、怪我(「ひなた」は擦り傷でしたが)、ラジオ英会話、桃山剣之介(「安子」の兄・算太が映画館通いしていたころに銀幕デビュー)、そしてアメリカ。

「るい」が意識したのはルイ・アームストロング「On The Sunny Side Of The Street」、喫茶店「ディッパーマウス・ブルーズ」、あんこ、怪我、ラジオ英会話くらいです。

今までは、どんでん返しに似た小説やマンガの伏線回収にはワクワさせられてきました。
しかし、避けようとしてきたものから逃れられないことや、親の影がいつまでも視界の隅から離れず自身の後を追いかけてくることには、落ち込みがあります。

例えば、同じNHKの朝ドラあまちゃんで、アイドルを目指した天野アキの母親である天野春子にもアイドルを目指した過去があり、純喫茶「アイドル」の甲斐さんが時代を経て2人に会っていたこと。

今になって春子の立場に自分をおけば、道筋をつけなくても、子が自分と同じ道を辿ることの心情を察して同じように落ち込みます。ただ「あまちゃん」の放送されていたのは2013年であり、私自身には子どももいなければ、結婚もしていませんでした。

自分の環境の変化に加えて、「カムカムエヴリバディ」には前述したように繰り返されるエピソードが多いのも、逃れられなさを意識してしまう要因です。

私自身の親子関係が友好的ではなく、親のようになりたくないと思っているから、余計、落ち込んでしまうのでしょう。

「カムカムエヴリバディ」作中では、「るい」が過去とどの程度折り合いをつけ、「安子」をどの程度赦しているかが明らかにならないのも自分の現状と重ねてしまう要因でもあります。

多くの家庭がそうであるように、「ひなた」が産まれて以降、大月家は「ひなた」が中心になり、「るい」は後ろにさがりました。もともと額の傷を隠すため、表情や心情がわかりにくかった「るい」ですが、保護者になったことで余計に描かれなくなり、わかりにくくなりました。

「るい」は「安子」の影響を感じつつ、どこにいるかも生きているかもわからない母親のことは考えないように蓋をしています。そもそも、蓋を開けて「安子」と向き合うきっかけすら与えられていません。

「安子」の好きだった曲であるルイ・アームストロング「On The Sunny Side Of The Street」はジャズ喫茶「Night and Day」の仲間と親密になるきっかけの曲であり、ジョーの演奏を聴いて恋へと発展し、娘の名前の由来とする過程を経て、「るい」自身が自分の大切な曲へと上書きしてきました。今は「On The Sunny Side Of The Street」がラジオから不意に流れても「母の好きだった曲」ではなく、「自分たち夫婦にとって大切な曲」と思えているはずです。

2月9日放送の第70回では「ええんや。子どもは子どもで色んなこと抱えてるもんや」「何でわかるん?」「お母ちゃんも昔子どもやったからわかるんや」と心情の吐露も含まれたやりとりがありました。

今後、「ひなた」役が川栄李奈さんになっても「るい」が退場するわけではないでしょうから、いずれ、「るい」の「安子」との折り合いのつけかたが描かれることを期待しています。

読書日記(2022年1月24日~2022年2月6日)

1月25日(火)

日曜日から読みはじめた「逃げる女」(青木俊)の第1章を読み終わる。タイトルのとおりジャーナリストを殺した容疑者である「逃げる女」を追う刑事の目線で書かれている小説。「逃げ切れるのか/捕まえるのか」はもちろん、「ただの殺人なのに、なぜ警察の幹部や公安が指揮を執るのか?」というところに注目している。

1月26日(水)

21時から「逃げる女」を読みはじめたが、いつの間にか寝ていた。

1月27日(木)

「逃げる女」第2章と第3章を読み終わる。第2章だけのつもりが40ページくらいだったので第3章も読んだ。だんだん真相に近づいてきている。北海道警、神奈川県警、警視庁の配備を抜けて、数分差の判断でまだ逃げている。ジャーナリストを殺したのは「逃げる女」なのか?という疑問も出てきた。

1月28日(金)

「逃げる女」を読み終わる。自分ならすぐに捕まってしまうだろうけど、大きな組織の意のままになってしまいそうになったら、一矢報いるくらいのことは試みたい。

1月31日(月)
大阪にあるミニコミ専門書店「シカク」のメルマガ「新シカクの四角いメルマガ」を購読していて(料金は発生していないが)、そのなかでスズキナオさんが集英社新書から新刊「「それから」の大阪」が出ると告知していました。どんな内容かと集英社新書のホームページを覗いたら、集英社新書プラスというウェブマガジンで連載されていたものということがわかりました。読もうと思ったら横のバナーに「日記のススメ/水道橋博士を発見。

載っている10回分を一気読みしてしまいました。半年で10回という更新ペースは謎ですが、「藝人春秋Diary」のメイキングのようで面白く読めました。いずれ新書になるのだろうが、更新を追いたい。

shinsho-plus.shueisha.co.jp

Webでの連載でいうと、「Webちくま」の津村記久子さんによる「苦手から始める作文教室」と「QJ Web」のてれびのスキマさんによる「きのうのテレビ」の更新を楽しみにしている。

www.webchikuma.jp

qjweb.jp

 

言語学バーリ・トゥード」(川添愛)「プロレス社会学のススメ」(斎藤文彦プチ鹿島を50ページずつくらい読む。

2月2日(水)

今週は今のところ「プロレス社会学のススメ」を読み進めている。

Spotify「奇奇怪怪明解辞典」のTaiTan氏が2021年のベスト作品を挙げる回(92巻中編)を聴いて、書籍の発売が近いというから慌てて予約した。予約したあとで4,000円を超えていることを知る。値段相応なのだろうけど、理由があっての価格設定なのだろうけど、実物を手に取れば納得するのだろうけど「高いよ」と思ってしまった。高くても買うだろうから、値段で買い控えることはないだろうから、「驚いたよ」が正しいのだが。

2月4日(金)

「Webちくま」で連載されている津村記久子さんの「苦手から始める作文教室」、更新されているかをチェックしたら次回更新回が最終回とあった。楽しみにしていた連載が終わってしまう。いずれ書籍化(恐らく「ちくまプリマ―新書」)されるだろうから購入したい。

2月6日(日)

TaiTan氏が2021年のベストに挙げていたプロ野球「経営」全史」(中川右介ソフトバンク楽天DeNAあたりの球団名や経営者の移り変わりは何となく把握しているが、日本ハムやヤクルト、ロッテといった食品会社が経営するようになった理由を考えたこともなかったから、すかさず注文して読みはじめた。

明治から歴史ははじまり、まだ明治時代のところを読んでいるが、「野球は学生に悪影響を与える論争」の時に永井道明という名前が出てきて、あの人か?と思って確認したら「いだてん」に出てきた杉本哲太演じる「ミスター肋木」であった。他にも「天狗倶楽部」も出てきて、「いだてん」の裏では野球が始まっていたのだな、と感慨深くなった。いきなり最近のところから読みはじめなくて良かった。

「読む力 最終スキル大全」(佐々木俊尚の、とりあえず「読書」のところを読む。電子書籍の比重が高いから、私が取り入れようと思うことは書いてなかった。

 

<< この期間に購入した本 >>
スノウ・クラッシュ(上)」ニール・スティーヴンスン
スノウ・クラッシュ(下)」ニール・スティーヴンスン
「僕とデザイン」仲條正義
「読書とは何か 知を捕らえる15の技術」三中信宏
「はい、こんにちは Chim↑Pomエリイの生活と意見」エリイ
「読む力 最終スキル大全」佐々木俊尚
プロ野球「経営」全史 オーナー55社の興亡」中川右介
「ローズ ローズィ ローズフル バッド(1)」いくえみ綾

 

読書日記(2022年1月11日~2022年1月23日)

1月15日(土)

「2010s」(宇野維正、田中宗一郎を読み終わる。

「2010s」は2010年代の音楽、映画、テレビシリーズについて作品や作家だけでなくインフラについても語られた対談集。

読みながら考えていたのは、海外の作品に触れることの必要性について。

海外の作品の市場が減少し、海外のアーティストが来日しなくなることで、どのような不利益や不都合が生じてしまうのか?

海外の作品が聴かれ観られ、広まった未来は今と何が異なるのだろうか?ガラパゴス化してしまうことは何が危ういのだろうか?

個人的には英語を勉強して何を言っているかを理解していけたら良いと思っている。

1月17日(月)

「批評の教室」(北村紗衣)を読みはじめ、50ページくらい読む。第1章は「精読」について。書かれていることを漏らさずに読み込むとはどのようなことか、どのように読めばよいのかが書いてあった。

1月20日(木)

「逃げる女」「サバイバー」「いのちの車窓から(文庫)」を注文した。大友克洋全集の童夢も今週末には届く予定。

「逃げる女」は、Web本の雑誌の「新刊めったくたガイド」(古山裕樹)を読み気になった1冊。

 こちらもシンプルな構造で読ませる物語。青木俊の『逃げる女』(小学館)は、タイトル通りの逃亡、そして追跡のドラマで読ませる作品だ。

 札幌で起きた殺人事件。警察は通報者の久野麻美の犯行を疑うが、逮捕直前に彼女に逃げられてしまう。道警が全力で追跡するものの、彼女はその手をすり抜ける。道警のベテラン刑事と、所轄の新米刑事のコンビが麻美の行方を追う......。

 麻美が知恵を駆使して、監視カメラと警察の捜査網をくぐり抜けて逃げ続け、奇抜な方法で北海道を離れる。その行方を二人の刑事が追う。意表を突く逃亡者と、その行方を追う地道な追跡者。やがて、麻美はただ逃げているのではなく、ある事情を抱えていることが明かされる。逃走のドラマを通じて、読者から見た彼女の姿が変わっていくさまも本書の魅力の一つだ。

 ラスト近くまで逃亡と追跡を積み重ねるタイトル通りの展開に、意外な真相を組み合わせた作品として楽しめる。

芦辺拓『大鞠家殺人事件』の波瀾に満ちた物語を堪能! - 新刊めったくたガイド|WEB本の雑誌

 

夜、「九条の大罪」(真鍋昌平を4巻までまとめて読む。最近のところは掲載誌「スピリッツ」で追っているから4巻は駆け足になったが、それでも1巻から3巻の濃密さは異常。弁護士・九条と半グレ・壬生、ヤクザのバランスは均衡が保たれているが、どのように崩れていくのかを追っていきたい。人気はあるし、大きなゴールがあるわけでもないから連載は長期化するだろうな。脱落せずにいたい。

1月22日(土)

「九条の大罪」の作者である真鍋昌平さんが文春オンラインでのインタビューで挙げていた「犯罪」を注文する。海外文学は今年何冊か読みたいと思っている。

真鍋 まだ「ウシジマくん」の連載をしていた時に、取材対象者たちからよく弁護士の話を聞いたんです。半グレ、ヤクザといわれるような犯罪に関わる人たちはしょっちゅう警察のお世話になるので、どの弁護士がいい、という情報が出回っているんです。「あの先生は動きがいい」「あいつはダメだ」などと噂されている弁護士に会いに行って話を聞くうちに、フェルディナント・フォン・シーラッハの『犯罪』みたいな面白いストーリーができるかも、と考えるようになりました。

bunshun.jp

1月23日(日)

「あなたのための短歌集」(木下龍也)を読み終わる。普通は作品からテーマや情景を思い浮かべようとするが、テーマとなる「お題」も記載されているので、作者の思考回路を辿れるようで興味深かった。作品の一部に作者の男目線が出ていて興ざめする句はあるが、歌集としては敷居が低く、短歌の教科書としても優れている作品であると思う。

「逃げる女」を50ページくらい読む。北海道が舞台なので移動するルートを具体的に思い浮かべることはできないが、そんなことは関係なく面白い。

ゴールデンスランバー」(伊坂幸太郎は逃げる側の視点だったが、「逃げる女」は追う側の視点で描かれている。逃亡物は緊迫感があって良い。

 

<< この期間に購入した本 >>

「少年イン・ザ・フッド(4)」SITE(Ghetto Hollywood)

「逃げる女」青木俊

「サバイバー」チャック・パラニューク

「いのちの車窓から」星野源

童夢大友克洋

「犯罪」フェルディナント・フォン・シーラッハ

読書日記(2021年12月20日~2022年1月10日)

12月20日(月)

他に読みかけの本はあるが、部屋の片づけをしているなかで気になった「サハ・マンション」(チョ・ナムジュ)に手を出す。手を出したが、1ページも読まないうちにうたた寝してしまった。

アメトーーク」の読書芸人で、ティモンディ前田が「雪下まゆの絵が表紙の本を選んでいる」というような話をしていたが、私にとってはサヌキナオヤがそう。買うだけで読めていないが。

1月3日(月)

今日まで休み。妻と「あかり」は妻の実家へ出かけたので一人で過ごす。昨年中に溜まった新聞の読書欄の切り抜きとノートへの貼付を行う。

6日間あった正月休み中は想定の10分の1くらいしか読書をすることができず、読み終えたのは「みらいめがね2」(荻上チキ、ヨシタケシンスケ「今夜すきやきだよ」(谷口菜津子)のみ。

今年の読書における目標は、「昨年までに買った本、文庫、新書を月に1冊ずつ読む」。2021年は55冊読んだが、新刊が95%で、新書は「ライティングの哲学」「平成のヒット曲」(柴那典)の2冊、文庫は「成り上がり」(矢沢永吉糸井重里のみ。「未読本の解消」を裏テーマにして今年の目標を設定した。

まずは「批評の教室」(北村紗衣)「ポトスライムの舟」(津村記久子を本棚から出す。

1月9日(日)

読売新聞を購入し、書評欄をチェックする。書評委員の入れ替わりが行われたらしく、留任する委員のなかに橋本倫史さんの名前がなかった。言語学バーリ・トゥード」川添愛さんの着任は注目だが、わざわざキオスクまで行って買うだけの魅力はなくなった。

1月10日(月)

昨日から「2010s」(宇野維正、田中宗一郎を読みはじめる。予約して購入し、少しは目を通したはずだが、通読していなかったので読みはじめた。

年末年始で時間はあったはずだが、結局期待した程度には読めなかった。

読書日記ではなく、購書記録になってしまった。

<< この期間に購入した本 >>

「WIRED vol.43」

アメリカ音楽の新しい地図」大和田俊之

ele-king vol.28」

「遅く起きた日曜日にいつもの自分じゃないほうを選ぶ」スズキナオ

「ひとまず上出来」ジェーン・スー

「バッチリ身につく 英語の学び方」倉林秀男

「フリースタイル50」

あだち勉物語:あだち充を漫画家にした男(2)」ありま猛

「Big Pants スケートボードis素敵」柳町

「プロレス社会学のススメ コロナ時代を読み解くヒント」プチ鹿島斎藤文彦

「賭博常習者」園部晃三

「Rolling Stone Japan Vol.17 2022年2月号」

「木曜殺人クラブ」リチャード・オスマン

「読む・打つ・書く:読書・書評・執筆をめぐる理系研究者の日々」三中信宏

「この30年の小説、ぜんぶ 読んでしゃべって世界が見えた」高橋源一郎、齋藤美奈子

「愛蔵版 ツルモク独身寮(1)」窪ノ内英策

KAMINOGE 121」

「群像 2022年2月号」

「大学入試英文法Eureka! 考えて解く英文法問題250」宮下卓也

「喫茶店松本隆さんから聞いたこと」山下賢

自転車泥棒」呉明益

 

 

BOOK OF THE 2021

2021年は55冊読んだ。2020年は57冊だったので2冊減っているが、BランクCランクをつけた作品がなく、要はハズレをひかなかったので、質は充実していた1年になった。

55冊のなかで小説は13冊なので2割くらい。55冊のうち文庫は1冊、新書は2冊なので、新刊の単行本ばかり読んでいた。

400ページを超える分厚い本をよく読んだ印象があり、数えたら13冊あった。

10冊とか3冊とか50作品とかメディアの特集ページでは作品数を区切るのが定型であるが、読んだ冊数で信頼性が担保されていくと思うので読んだものを全て載せます。

買った本はこの倍くらいあるので、2022年は年間を通して未読本の消化に励みたいと思う。

順位 / ランク / タイトル / 著者 / 出版社
1    AA    ツボちゃんの話 夫・坪内祐三    佐久間文子    新潮社
2    AA    嫌われた監督    鈴木忠平    文藝春秋
3    AA    同志少女よ、敵を撃て    逢坂冬馬    早川書房
4    AA    現代生活独習ノート    津村記久子    講談社
5    AA    つまらない住宅地のすべての家    津村記久子    双葉社
6    AA    人生の謎について    松尾スズキ    マガジンハウス
7    AA    令和元年のテロリズム    磯部涼    新潮社
8    AA    ブラック・チェンバー・ミュージック    阿部和重    毎日新聞社
9    AA    出禁の男 テリー伊藤伝     本橋信宏    イーストプレス
10    AA    藝人春秋Diary    水道橋博士    スモール出版
11    AA    文庫本千秋楽    坪内祐三    本の雑誌社
12    AA    お金のむこうに人がいる    田内学    ダイヤモンド社
13    AA    東京を生きる    雨宮まみ    大和書房
14    AA    さよならお婆ちゃん    松尾スズキ河井克夫    徳間書店
15    AA    お金の学校    坂口恭平    晶文社
16    AA    きれはし    ヒコロヒー    Pヴァイン
17    AA    自分ごとの政治学    中島岳志    NHK出版
18    AA    ベンチの足 考えの整頓    佐藤雅彦    暮しの手帖社
19    AA    明石家さんまヒストリー 2    エムカク    新潮社
20    AA    2016年の週刊文春    柳澤健    光文社
21    AA    ルーティーンズ    長嶋有    講談社
22    AA    旅する練習    乗代雄介    講談社
23    AA    出版禁止    長江俊和    新潮社
24    AA    家族って    しまおまほ    河出書房新社
25    AA    名作コピーの時間    編・宣伝会議書籍編集部    宣伝会議
26    AA    沢村忠に真空を飛ばせた男    細田昌志    新潮社
27    AA    普通のサラリーマン、ラジオパーソナリティになる    佐久間宣行    ニッポン放送
28    AA    僕等はまだ美しい夢を見ている~ロストエイジ20年史    石井恵梨子    blue print
29    AA    さいごのゆうれい    斉藤倫、西村ツチカ    福音館書店
30    AA    水よ踊れ    岩井圭也    新潮社
31    AA    万事快調<オール・グリーンズ>    波木銅    文藝春秋
32    A    アフタートーク    石井玄    KADOKAWA
33    A    平成のヒット曲    柴那典    新潮社
34    A    成り上がり    矢沢永吉    KADOKAWA
35    A    どうやら僕の日常生活はまちがっている    岩井勇気    新潮社
36    A    0mの旅    岡田悠    ダイヤモンド社
37    A    会って、話すこと。    田中泰延    ダイヤモンド社
38    A    砂浜    佐藤雅彦    紀伊國屋書店
39    A    三体    劉慈欣    早川書房
40    A    明石家さんまヒストリー 1    エムカク    新潮社
41    A    あの人が好きって言うから・・・有名人の愛読書50冊読んでみた    ブルボン小林、死後くん    中央公論新社
42    A    魔性ですか?    高岡早紀    KADOKAWA
43    A    メランコリック・サマー    みうらじゅん    文藝春秋
44    A    つつまし酒    パリッコ    光文社
45    A    ノスタルジーはスーパーマーケットの2階にある    パリッコ    スタンドブックス
46    A    完落ち    赤石晋一郎    文藝春秋
47    A    書く仕事がしたい    佐藤友美    CCCメディアハウス
48    A    闇の盾    寺尾文孝    講談社
49    A    経験 この10年くらいのこと    上田晋也    ポプラ社
50    A    電子と暮らし    西島大介    双子のライオン堂
51    A    ジブリの鈴木さんに聞いた仕事の名言。    鈴木敏夫、木村俊介    KADOKAWA
52    A    ライティングの哲学        星海社
53    A    母影    尾崎世界観    新潮社
54    A    アメリカン・セレブリティーズ    辰巳JUNK    スモール出版
55    A    鬼才 伝説の編集人 齋藤十一    森功    幻冬舎

読書日記(2021年12月6日~12月19日)

12月6日(月)

「同志少女よ、敵を撃て」(逢坂冬馬)の続きを読みはじめる。スターリングラードへ派遣されるらしいが、戦況の説明のところを読んでいたら眠くなったので22時くらいだったが寝てしまう。

12月7日(火)

KAMINOGE 120」が届いたので読む。柴田勝頼、くそカッコイイな。長州力ウエストランドのインタビューも読む。大井洋一によるインタビュー連載の書籍化を待っています。このインタビューがあるから「KAMINOGE」を整理できない。

前日に頭に入ってこなかった「同志少女~」、今日は入ってきたので第3章を80ページくらい読む。

「コメディと自意識の日々」(オークラ)も届く。私は「極楽とんぼの吠え魂」リスナーだったので、そこでオークラ氏を知った。その後「バナナムーン」を聴いてより深く知っていった。書籍では「吠え魂」のことも少し触れられていたので、その部分だけ読む。

12月8日(水)

「同志少女~」の続きを読む。第4章は120ページくらいあるので全部は読めなかったが、それでも50ページくらい読む。今週末には読み終わると思う。

<< 今月中(年内)に読み終えたい本 >>

「同志少女よ、敵を撃て」逢坂冬馬

「コメディと自意識の日々」オークラ

「みらいめがね2」荻上チキ、ヨシタケシンスケ

「メランコリック・サマー」みうらじゅん

「書く仕事がしたい」佐藤友美

年内はあと20日あるので、もう2冊くらい読みたい。バタフライ・エフェクト ケンドリック・ラマー伝」(マーカス・J・ムーア)「ペッパーズ・ゴースト」(伊坂幸太郎に手をつけたいが、長いから読み終えるのは年明けになるだろうと思う。

今年の年間ベストは、いまのところ「ツボちゃんの話 夫・坪内祐三」(佐久間文子)「嫌われた監督」(鈴木忠平)「現代生活独習ノート」(津村記久子の順で、「同志少女~」が食い込んできそうな予感がしている。

12月9日(木)

「同志少女~」の続きを読む。第4章の残り80ページくらいを読む。

12月11日(土)

午前中から読みだして午後1時ころに「同志少女~」を読み終える。

12月12日(日)
「メランコリック・サマー」(みうらじゅんを読み終える。

昨日からバタフライ・エフェクト「武器としてのヒップホップ」を読みはじめる。

<< 今週、購入した本 >>

「コメディと自意識の日々」オークラ

バタフライ・エフェクト ケンドリック・ラマー伝」マーカス・J・ムーア

「武器としてのヒップホップ」ダースレイダー

KAMINOGE 120」

「群像 2022年1月号」

文學界 2022年1月号」

12月13日(月)

「The W」を3時間見たので読書はできていない。「有吉クイズ」の予約を忘れた。

12月14日(火)

テレビの合間で読書はできないことがわかった。録画するほどでもない番組(今回は「ロンハー3時間」と「華大千鳥」)はダラダラ見ちゃってよくない。

12月16日(木)

部屋の片づけに着手する。未読の本が70冊、文庫や新書を含めたら100冊以上あった。今年は今現在で54冊読んだので、来年は本を1冊も買う必要がないという事実に気づく。

読み終わるまで1冊も買わないのは困難だと思うが、2022年は今までに買った本を読んでいく年にしたい。読書傾向としては新刊が9割なので、来年は過去の自分の選書を点検する年にもしたい。

溜まってしまうのは、凄い本の予感がするので買ってしまうが、自分には読みこなせないと諦めてしまうから。例えば「異常論文」とか。

がんばろうとおもう。

12月18日(土)

イオンモールのあとで丸善松本店(旧・ジュンク堂書店)へ行く。

読んでない本の量を把握したので買った本は少なくしたつもりだが、それでも10,000円を超えてしまう。

「POPEYE 2022年1月号」で夏目知幸さんの仕事場が紹介されており、手元に置いているという大手拓次詩集」を購入した。

ダメならメルカリで買おうと思っていた「とらのゆめ」(タイガー立石が売っていたので購入した。

坂本真綾モデルのほぼ日手帳を数年使っているので「刺繍」は購入を悩んだが、坂本真綾作品をほぼほぼ聴いていないので今回は見送った。

12月19日(日)

10時30分頃から「あかり」と図書館へ行く。読売新聞を読み、今週は買わないことを確認する。絵本とあわせて9冊借りて、「私に付け足されるもの」(長嶋有の延長を依頼する。

午後は録画してあったテレビとM-1の敗者復活、夜は「M-1グランプリ」と「くりぃむナンタラ」と「テレビ千鳥」を見たので読書はしていない。アルピー平子は勘が鈍いのか、アドリブが弱いのか。

島田紳助は、いつまでも夢を追わず、どこかで区切りをつけられるように10年という芸歴制限を設けたようだが、まさか40歳過ぎてコンビを組んだ50歳が優勝するとは思わなかっただろうな。モグライダー、ランジャタイが1番2番じゃなければなぁとか、敗者復活で金属バットがあがるのを見たかったなぁとか、オズワルドは2本目に何でそれを選んだの?などと思ったけど、いい大会でした。

モグライダー、ランジャタイ、真空ジェシカ、金属バット、ゆにばーす、マユリカ男性ブランコ、もも、オズワルド、ロングコートダディ(これでもう10組)。来年が楽しみだ。

「The W」はAマッソかと思ったらオダウエダで、「R-1グランプリ」はオズワルドかと思ったら錦鯉だった。両大会とも本命の練りに練ったネタが馬鹿馬鹿しい笑いの破壊力に最後で押しのけられた形に。紅ショウガと見取り図という関西代表コンビの目立たなさ具合もシンクロしていた。
練りに練った本命・空気階段が優勝した「キング・オブ・コント」との違いもハッキリとして良い傾向だと思います。

<< 今週、購入した本 >>

「神・文章術」フミコフミオ

「熔果」黒川博行

「ナナメの夕暮れ」(文春文庫)若林正恭

大手拓次詩集」(岩波文庫

本の雑誌 2022年1月号」

「GINZA 2022年1月号」

「ちゃぶ台8 2021年秋/冬号」

「とらのゆめ(こどものとも年中向き)」タイガー立石

「ぞうくんのおおゆきさんぽ(こどものとも年中向き)」なかのひろた

「せっけんとけしごむ(こどものとも)」及川賢治