タイアップに絡めとられだした星野源
8月1日(水)付けの朝日新聞全面広告で星野源の新曲「アイデア」が配信限定でリリースされることが告知されました。
CDでなければ入手できない年配の方もいるのに、朝ドラ主題歌を配信限定でリリース、、、。
今回のリリースは、「365日の紙飛行機」を2曲目にして「唇にBe My Baby」でシングル切ったAKB48以上に間違っているし、何より聴き手に優しくないです。
間違っているとはっきり書いたけれど、星野源サイドにもこうせざるを得ない事情があるのだろうと推測します。
星野源は「Crazy Crazy/桜の森」(2014年6月)以降、シングルには4曲を収録しています。4曲目が自宅録音の「House ver.」であることもお決まりです。
14年 6月「Crazy Crazy/桜の森」
15年 5月「SUN」15年12月『YELLOW DANCER』(アルバム)
16年10月「恋」
17年 8月「Family Song」
18年 2月「ドラえもん」
アルバム『YELLOW DANCER」以降、シングルを3枚リリースし、未収録曲が4曲×3枚と12曲溜まっている状況です。
aikoはシングル3枚→アルバム→シングル3枚→アルバムというルーティーンを守っています。aikoが律儀すぎるのかもしれませんが、シングル曲の収録数が増えると既発曲をまとめただけのベストアルバム感が濃くなっていき、アルバムとしてはまとまりに欠けていきます。
そろそろアルバム制作も始まっていると期待すれば、これ以上シングルを切れなかったのが、星野源サイドにあったのだろうと推測します。
シングル切るとアルバム未収録曲が16曲になるだけでなく、アルバム待望論が更に高まります。それ以上に星野源へシングルのためだけの制作を強いることになります。
配信限定にするとリリース情報を知らないでいる人も出てくるだろうから、その対応として新聞に全面広告を打ったのでしょう。
星野源の多才な活動が全方面から受け入れられるようになり、断ることのできない大型タイアップの依頼が集中していることが今回の事態を招いています。
本稿はアルバム『初恋』を聴いた時の「驚き」から書き進めてきたが、もちろん“Play A Love Song”も“あなた”も“初恋”も“Forevermore”も“大空で抱きしめて”もテレビCMやテレビドラマを通して何度も何度もアルバムを聴く前から繰り返し耳にしてきた。宇多田ヒカルの音楽のファンならば、自分のように「もしアルバムを聴いた時が最初の出会いだったらもっともっと大きな『驚き』があったのに」と夢想してしまう人も少なくないのではないか。「そもそもタイアップ案件があったからこそそれらの曲が生まれたんじゃないか」というごもっともな意見には、「そろそろアルバム収録曲の約半分がタイアップ曲ではない宇多田ヒカルのアルバムを聴いてみたいだけなのに」と返すしかない(「約半分の曲がタイアップ曲ではない」宇多田ヒカルの最後のアルバムは、2001年の『DISTANCE』まで遡らなくてはいけない)。
これはCINRAに掲載された宇多田ヒカル『初恋』についての文章の引用です(筆者は宇野維正さん)。
星野源『YELLOW DANCER』は14曲中7曲にタイアップがついているため、星野源にも置き換え可能な指摘であり、星野源の音楽のファンに待っている未来のことでもあります。
「ドラえもん」のタイアップがなければ「ドラえもん」は生まれていないし、「逃げるは恥だが役に立つ」の主演&主題歌起用がなければ「恋」は生まれていないのは重々理解しています。
必要は発明の母はその通りなんですが、多くのひとに届くポテンシャルを持ち、そのための条件のそろっている「アイデア」という楽曲が広まりきらないだろうことが残念に思うわけです。
例えば、朝ドラを毎日見ていて主題歌を気に入っている祖母に、どうやって配信限定シングルを届けることができるのでしょうか?
フィジカルでリリースされれば、CDなりカセットを買って渡せば済みます。
配信限定の場合、iTunesでダウンロードしたものをCD-Rに焼かなければいけません。私はSpotify中心でダウンロードはめっきりしていないし、自宅にはネットにつながったパソコンがありません。職場のパソコンはセキュリティが強化されてCD-Rに焼くことはできなくなりました。
一体、どうすればいいのだろうか?
同じく朝ドラ主題歌だった桑田佳祐「若い広場」もシングルカットされず、「配信→PV公開→アルバム」という流れでした。
星野源も桑田佳祐と同じ事務所「アミューズ」に所属のタレントなので、この流れを踏まえているんだろうな。しょうもないな。
似たようなことを考えている方がいました。
CD販売による収益が得られなくて困るのはレコード会社であって、アミューズ自体はそんなに痛くないんじゃないでしょうか?
だとしたら、アミューズの狙いはどこにあるんでしょうか?飽きさせないため?タイアップ作品を独占しようとしている?アルバムの売上に賭けている?
よくわかりませんね。