醤油差しの現状

最近、家で使っている醤油はスーパーのプライベートブランド(PB)の「丸大豆しょうゆ」と太字で書かれたキャップ付きのボトル醤油。

そのデザインは我が家の部屋の乱雑さのなかでも浮いているように思えた。我が家でさえ浮くなら、新築の家やシンプルを求めようとしている部屋には馴染まないだろうと思う。

 

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かつて、実家の食卓にはキッコーマンの醤油差しがあり、キッコーマンに限らず詰め替えて使用し続けていました。

後年になって榮久庵憲司による素晴らしい意匠であると評価されていることを知りました。とはいえ、デザイン業界での評判とは関係なく、日本の食卓の定番となっていた製品です。

鮮度を保てるを売りにしたキャップ付きのボトル醤油を、そのまま食卓に置くようになりました。

「鮮度を保てる」だけでなく「蓋があるから、倒してもこぼれない」ので我が家では今後も使い続けるでしょう。

売り場では目立つでしょうが、食卓の上で主張しすぎるデザインには食傷気味。

 

今もあるかは知りませんが、2018年にKINCHOの殺虫スプレー「コックローチ」は製品のフィルムを剥がすと、中はほとんど真っ白なデザインになるというニュースがありました。

また翌2019年にはアース製薬虫ケア用品(≒殺虫剤)に「虫ゼロ缶」デザインを導入しました。

製品にゴキブリやハエのイラストが載るとイラストであっても嫌悪感のある人はいます。虫を見たくないという需要があっての製品です。

 

「丸大豆しょうゆ」と書かれていても嫌悪感まではでず、こういうものだよ、といって私たち消費者は受け入れてしまいます。

「鮮度が良くて倒してもこぼれない醤油ボトル」と「デザインの美しい醤油差し」。この2択で「デザイン」を優先するほどシンプルな部屋に暮らしてはいません。

あと、1.8リットルのボトルから醤油差しに移し替える手間もあるし。

キッコーマンやヤマサのような大手メーカーではなく、旅先で出会った造り醤油を買ってくれば醤油差しを使う日も来るのでしょう。

この醤油でなければダメ、というこだわりもないから、醤油ボトルが食卓に収まり続けるのでしょう、きっと。

かつてあった「鮮度の一滴」というパウチの醤油は消えたので、訴え続ければより良くなっていくことを信じます。

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醤油差しを使う優雅な生活ができるようになったら、「THE」の醤油差しを買おう。

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そうか、醤油差しを使っていた生活は「優雅」だったのか。

醤油ボトルになって便利にはなった一方で、生活は貧しくなっているような気もしています。