ビジネス書との関りを振り返る

レジ―「ファスト教養」を読み終えました。

ファスト教養というと中田敦彦や「ひろゆき」を代表とするYouTubeを見る行為と考え、自分には関係ない事と考えていました。
しかし、「ファスト教養」の序盤で言及されているNewsPicks Bookを読んでいた時期が私にもありました。
また、芸人としてのオリエンタルラジオのファンではないから中田敦彦YouTubeを見ていないだけで、例えばバナナマンやナイツがファスト教養に寄っていったら視聴する可能性は十分にありました。
今は「ファスト教養」の誘惑から抜けられているだけで、10歳若ければ恐らくYouTubeを見ていたでしょう。

私がビジネス書をよく買っていた時期、それはつまり、編集者・箕輪厚介にはまっていた時期でもあります。

最初に箕輪厚介のことを認識したのは「KAMINOGE vol.25」(2013年12月)。
箕輪編集室のnoteで引用されているように、双葉社の営業部に所属する箕輪厚介が「ネオヒルズジャパン」という雑誌を出したということでインタビューに答えていました。

藤井健太郎さんの「悪意とこだわりの演出術」(双葉社)の刊行が2016年8月。
双葉社の編集者といえば箕輪厚介くらいしか思い当たりません。
ブログ「青春ゾンビ」2016年10月27日のエントリで、「悪意とこだわりの演出術」の編集者がヒコさんの同級生であると明かされ、誰なのか?と興味が湧きました。
藤井健太郎さんのTwitterのフォローから、やはり箕輪厚介なのかな?とあたりをつけたりしていました。
(2017年11月17日のエントリでヒコさんと箕輪厚介は中学の同級生で、箕輪の結婚式に出席したことも明かされます。「青春ブログ」で「箕輪厚介」という文字列が出てきたのはここの1回限り)。
KAMINOGE」にはその後、2018年9月の「Vol.81」にも青木真也と一緒に登場しています。


2017年4月にはじまった「NewsPicks Book」。「NewsPicks」本体にはアクセスしていなかったけれど、箕輪厚介が関わっていることから興味を持ちました。
最初に買ったのは「多動力」が話題になり始めたころ。近鉄を買おうとしたころからホリエモンとは距離を置いていたけれど、「多動力」という意識の持ち方に興味が出て、買いました。

2017年5月「多動力」堀江貴文
2017年10月「己を、奮い立たせる言葉」岸勇気
2018年5月「WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE. 〜現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ〜」佐渡島庸平
2018年6月「読書という荒野」見城徹
2018年6月「NewsPicks Magazine」(創刊号。この後も4冊くらいは買った)
2018年7月「ブランド人になれ」田端信太郎
2018年12月「メモの魔力」前田裕二
2019年5月「実験思考」光本勇介

買ったのは上記の7冊ですが、毎月1冊ずつ発行していくという勢いにも魅かれ、発行元の幻冬舎のHPを覗いては新刊予告をチェックするのが習慣になっていました。
NewsPicks Bookの正式な終了は箕輪厚介がセクハラを告発された2020年5月でしたが、2019年5月以降は刊行されておらず、実質的には開店休業状態に入っていました。
「実験思考」は390円という安さに魅かれて買ったけれど、読んだ覚えはありません。

NewsPicks Book周りの人の不祥事が相次いだことも、ビジネス業界で名を売る人たちへの興味が冷めていった理由です。

2017年12月 岸勇気がブロガーの「はあちゅう」にセクハラ・パワハラを告発される。

2020年5月 箕輪厚介の女性ライターへのセクハラが報じられる

2020年11月 光本勇介が店員の女性にテキーラ一気飲みを強要し、一気飲みをした女性が死亡

 

私の中にもファスト教養を求める志向はあったけれど、その熱が冷めてしまった原因は何だったのでしょうか。

ビジネス書から得た知識が仕事の役に立ち、収入が上がった、転職できたという成功体験が「ファスト教養」では紹介されていました。
私の勤務先はまだ終身雇用制が維持されているし、成果報酬も導入されていないので、私自身に成功体験が育たないこともビジネス書から離れてしまう理由でしょう。
つまり、仕事上の必要に迫られて読む本が決まるのではなく、気分の高まりや動きに従って読む本を決める傾向にあります。
気分の高まりを優先するとビジネス書の優先順位は下がります。
今年はビジネス書でいうと「メモの技術」と「読む力」を謳った本は読みましたが、どちらも身にはなっていません。
土井英司のメルマガ「ビジネス・ブック・マラソン」を配信登録していますが、実際に買うのは数冊程度。

自己啓発書」とされるものは全然読まなくなり、劇団ひとりの言葉を思い出します。

「ある日書店に行ったら『小さなことにくよくよするな!』というタイトルが目に飛び込んできたんです。読んだら1日で鬱状態から回復しちゃいましたね。すごいですよ。読めば読むほど勝ち組になっていくような気がするんです。千円ちょっとで癒されるんだから、安いもんでしょう。次から次へと片っ端から読みました。自己啓発中毒です」

「値段が安いだけに、やっぱり1ヵ月くらいしか持たないんですよ。1冊1冊の効果は薄い」
雑誌「papyrusパピルス)2006.2,Vol.4」(幻冬舎

 

(ここにも「幻冬舎」が。幻冬舎は爆発力あるけど継続性がない。「papyrus」自体もこのころと判型が変わって普通の文芸誌サイズになり、2015年12月以降は発行されていない模様。「papyrus」のくるり特集が宇野惟正さんと奥さんの出会いのきっかけであると何かで知った覚えがある、余談ですが)

自己啓発書は2020年に読んだ「僕は君の「熱」に投資しよう」(佐俣アンリ)が最後でしょうか。佐俣アンリは光本勇介と関わっていたので、興味が冷め、その後の動向は追っていません。
「僕は君の「熱」に投資しよう」と同じく柿内芳文(柿内芳文も「ファスト教養」で取り上げられています)が編集した「2020年6月30日にまたここで会おう」(瀧本哲史)も読みました。

最近は特定のジャンルを目指して読むわけではなく、特定の編集者が関わった本を読むようになりました。
柿内芳文以外には、ダイヤモンド社の今野良介がいます。
「お金の向こうに人がいる」(田内学)、「読みたいことを、書けばいい。」「会って話すこと」(田中泰延)などの作品を読みました。

以前は広告クリエイターの本を片っ端から買って読んでいたけれど、それも読まなくなりました。
「面白いって何なんすか!?問題」(井村光明)と「広告コピーの時間」は2020年刊行なので、そもそも最近は目立った書籍が出ていないような。
広告関係の出版が中心の「宣伝会議」のHPを見る限り、そもそも発行されていないから、目につかないのも当たりまえ。
「GO」三浦崇宏の最初の著作「言語化力」は買ったけど読んでないし、Twitterを熱心に追っていたけれど今はフォローも外しています。

話し方とか雑談をテーマにした本も読んでいたけれど、身に付かなかったし、身につけること自体を諦めもしたので、もう読んでいません。
2021年には「お金の向こうに人がいる」(田内学)を読んでいるので、経済に対する関心はわずかながら継続しています。
最近は英語関係の書籍をよく買いますが、さっぱり読めないまま積まれていくのみ。

それでも、読売新聞で川添愛さんが書評していた「思い込む力」(ネモ)やインスタか何かで誰かがあげていた「数値化の鬼」をAmazonのカートに入れてあります。
いま買っても読まない気がするから、気分の高まりを待つことにします。