11月に読んだ本

津村記久子『この世にたやすい仕事はない』 長年勤めた職場を退職した女性が転職を繰り返していく連作短編集。5話収録されており、5つの職場に主人公は席をおきます。 5つの職場では「みはりのしごと」「バスのアナウンスのしごと」「おかきの袋のしごと…

佐野研二郎『7日でできる思考のダイエット』

まずはじめに、このエントリによって2020年の東京五輪エンブレムに関して、15年7月24日に佐野研二郎さんデザインのものが選ばれ、9月1日に白紙撤回されるまでのことを蒸し返したいわけではありません。 東京五輪エンブレムが佐野研二郎さんデザインのものに…

『深代惇郎の天声人語』と坪内祐三『考える人』

深代惇郎(ふかしろ じゅんろう、1929年4月19日 - 1975年12月17日)執筆の「天声人語」が『深代惇郎の天声人語』(朝日文庫/15年9月)として出版されたことを、たまたま立ち読みした『週刊文春』の「文庫本を狙え」で知りました。 深代惇郎のことは、「文…

兵庫慎司さんの文庫解説

北上次郎『勝手に文庫解説』(集英社文庫/15年9月)の巻末に「スペシャル座談会」として北上次郎、大森望、池上冬樹、杉江松恋という書評家4名が「文庫解説作品 自薦ベスト3」を挙げています。 北上次郎さんの自薦ベスト3のうち1作は宮部みゆき『魔女は…

藤原和博『本を読む人だけが手にするもの』

『本を読む人だけが手にするもの』以外にも、『頭は「本の読み方」で磨かれる』(茂木健一郎)、『読んだら忘れない読書術』(樺沢紫苑)など、「読書術」や「読書すれば良いことがある」という内容の本が定期的に刊行されています。 タイトルからは読書が習…

宇田智子『本屋になりたい -この島の本を売る‐』

書店のポップから『白い犬とワルツを』のようにベストセラーが出たり、本屋大賞ができたりことにより書店員に注目が集まりました。雑誌に書店員が本の紹介をすることは今や常態化しています。 平安堂書店長野店の店員が「週刊現代」の書評欄に月1で寄稿して…

松尾スズキ+河井克夫asチーム紅卍『ニャ夢ウェイ4』

15年5月末に発売された6月号で長期連載作「ニャ夢ウェイ」を終わらせた『ロッキング・オン・ジャパン』。翌7月号では編集部員によるコラム8本で『ニャ夢ウェイ』の載っていた4ページが埋まっていました。 小松香里さんによる追悼は読ませる内容でしたが、花…

西畠清順『教えてくれたのは、植物でした』

プラントハンター西畠清順さんのことは、新聞に掲載されている本の広告で何度か名前を見かけたり、本の雑誌社の杉江由次さんが「帰ってきた炎の営業」で言及していたりということが重なった末に、新潟県の書店で見かけたので買いました。 「2ページのエッセ…

広告クリエイティブの仕事術

「広告クリエイティブ」と呼ばれる、電通や博報堂に代表される広告会社所属(あるいは出身)の広告制作者の方たちの著書が発行されるたびに購入するのが習慣になっています。 一読するだけなので、それぞれの手法を取り入れることはできていません。 しかし…

新聞の連載小説と挿絵の幸福な結末

2015年4月1日から朝日新聞紙上で沢木耕太郎さんによる連載小説『春に散る』が始まりました。 挿絵は中田春彌さん。単行本は所持していませんが『月刊IKKI』で連載していたことは認識していました。しかしながら、単行本3冊しか刊行していない作家…