2015-01-01から1年間の記事一覧

津村記久子『この世にたやすい仕事はない』

「デビュー10周年記念」と帯に書かれた本書は、長年勤めた職場を退職した主人公が5つの仕事を転々とする連作短編集です。 その5つの仕事とは、作家を見張る「みはりのしごと」、沿線の飲食店などの広告を考える「バスのアナウンスのしごと」、おかきやお煎…

渡辺潤『クダンノゴトシ(1)』

渡辺潤先生の前作『三億円事件奇譚 モンタージュ』は途中までしか追えなかったので、ある程度巻数が揃ってから手に取ろうと思っていました。 しかし、コミックナタリーでの対談や試し読みを読んだ結果、気になってしまい、『クダンノゴトシ(1)』を購入し…

『本の雑誌』2016年1月号

定期購読している『本の雑誌』で、毎号読む連載の1つが「坪内祐三の読書日記」です。2016年1月号に「10月3日(土)あさって締め切りの『新潮45』の原稿書き始める前に」とあり、『新潮45』はノーマークであったと後悔しました。 早速『新潮45』の…

11月に読んだ本

津村記久子『この世にたやすい仕事はない』 長年勤めた職場を退職した女性が転職を繰り返していく連作短編集。5話収録されており、5つの職場に主人公は席をおきます。 5つの職場では「みはりのしごと」「バスのアナウンスのしごと」「おかきの袋のしごと…

『バクマン』『キングスマン』『アントマン』『ブラフマン』(パンフ編)

映画のパンフレットは「ファンアイテム」です。 本や雑誌に似ていますが、書籍ではありません。 書店に並ぶことがなく、判型や内容もバラバラです。10月に4本の映画を見てそれぞれのパンフレットを購入しました。レビューとまではいかないですが、どのよう…

佐野研二郎『7日でできる思考のダイエット』

まずはじめに、このエントリによって2020年の東京五輪エンブレムに関して、15年7月24日に佐野研二郎さんデザインのものが選ばれ、9月1日に白紙撤回されるまでのことを蒸し返したいわけではありません。 東京五輪エンブレムが佐野研二郎さんデザインのものに…

『深代惇郎の天声人語』と坪内祐三『考える人』

深代惇郎(ふかしろ じゅんろう、1929年4月19日 - 1975年12月17日)執筆の「天声人語」が『深代惇郎の天声人語』(朝日文庫/15年9月)として出版されたことを、たまたま立ち読みした『週刊文春』の「文庫本を狙え」で知りました。 深代惇郎のことは、「文…

兵庫慎司さんの文庫解説

北上次郎『勝手に文庫解説』(集英社文庫/15年9月)の巻末に「スペシャル座談会」として北上次郎、大森望、池上冬樹、杉江松恋という書評家4名が「文庫解説作品 自薦ベスト3」を挙げています。 北上次郎さんの自薦ベスト3のうち1作は宮部みゆき『魔女は…

『バクマン』『キングスマン』『アントマン』『ブラフマン』

10月4日(日)に『バクマン』(10:20~)と『キングスマン』(13:25~)、12日(月・祝)に『アントマン3D』(14:15~)と『ブラフマン』(19:00~)という『秋のフォーマン・ムービー』を鑑賞しました。 4本を続けて鑑賞したことで、共通点や差に気づき、立…

藤原和博『本を読む人だけが手にするもの』

『本を読む人だけが手にするもの』以外にも、『頭は「本の読み方」で磨かれる』(茂木健一郎)、『読んだら忘れない読書術』(樺沢紫苑)など、「読書術」や「読書すれば良いことがある」という内容の本が定期的に刊行されています。 タイトルからは読書が習…

訃報と追悼

訃報によってその人に出会うことがある。残念ですけれど。 岩田聡さん。 テレビゲームをしない私は、この人に出会っていませんでした。 同じ任天堂でも、11年11月5日に放送された「松本人志 大文化祭」の中で松本人志さんが会いたい人として対談をしていた宮…

iTunesで買えば済むけど、フィジカルで買う理由を3つ

ベックの新曲「Dreams」をダウンロードするため、久しぶりにiTunes Cardを買いました。1,500円分買ったので、他には何を買おうかと色々検索していたら、PSG『Davidインスト』がiTunesに入ってることを知りました。「Dreams」を買った後にファレル「HAPPY」と…

音楽の聴き方、2015年7月の。

iPodは都市生活者のための機械、というのが私の持論です。 都市生活者というか、移動手段が自家用車以外の人です。例えば、自宅から10分歩いて駅まで行き、30分乗車後、駅から5分の職場に向かう人のような。 私は、自宅から2km先の職場に自家用車で…

「マッドマックス」のパンフは売り切れ

「コンセプトがしっかりした商品は売れる」と言われるように、ストーリーの単純さを極めた映画はヒットすると言い切ってしまいたい。 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は「ボスが気持ち悪いから故郷に帰ろうとしたけど、故郷は見るも無残なことになっ…

宇田智子『本屋になりたい -この島の本を売る‐』

書店のポップから『白い犬とワルツを』のようにベストセラーが出たり、本屋大賞ができたりことにより書店員に注目が集まりました。雑誌に書店員が本の紹介をすることは今や常態化しています。 平安堂書店長野店の店員が「週刊現代」の書評欄に月1で寄稿して…

松尾スズキ+河井克夫asチーム紅卍『ニャ夢ウェイ4』

15年5月末に発売された6月号で長期連載作「ニャ夢ウェイ」を終わらせた『ロッキング・オン・ジャパン』。翌7月号では編集部員によるコラム8本で『ニャ夢ウェイ』の載っていた4ページが埋まっていました。 小松香里さんによる追悼は読ませる内容でしたが、花…

音楽を言葉で伝えるということ。

週刊SPA。酷いレビュー。何度読んでも対象の音が聴こえてこない。 — 石井恵梨子 (@Ishiieriko) 2015, 6月 9 twitter.com 石井恵梨子さんのツイートを見て「誰だよ、しょぼいレビュー書いたのは?」と思い、「週刊SPA!」を買いました。 **********…

イルリメ「カレーパーティー」

09年2月に『メイド イン ジャパニーズ』がリリースされた時、「ロッキング・オン・ジャパン」09年2月号に記事は掲載されず、『メイド イン ジャパニーズ』がどういう評価を与えられていたのかを確認することはできません。 先日リリースされた(((さらうん…

Mr.Children『REFLECTION-Naked-』を入手できていない

6月3日にタワーレコード金沢店へ行きました。ネットで買い逃したCDを3枚買うためです。 1枚目は、cero『Obscure Ride』。 disk unionでトートバッグ付きで購入してありましたが、タワーレコードの特典CD「街の報せ」を入手するためです。結果としては、特典…

定期購読している雑誌は14誌あります。

最初に編集長に言われました。「スクープ記事には、新規の読者を呼び込む役目がある。連載には、そうして連れてきた読者をつなぎ止める役割がある」と。 『週刊文春』編集部 長谷川恭平 (『pen』14年12月1日号) ********************…

西畠清順『教えてくれたのは、植物でした』

プラントハンター西畠清順さんのことは、新聞に掲載されている本の広告で何度か名前を見かけたり、本の雑誌社の杉江由次さんが「帰ってきた炎の営業」で言及していたりということが重なった末に、新潟県の書店で見かけたので買いました。 「2ページのエッセ…

ceroはブレイクするだろうか

ブレイクするっていうのはバカに見つかるってことなんですよ。 ブレイクしないっていうのは目利きの利くちょうどいい加減の人に面白がられている時期なんです。 有吉弘行 てれびのスキマ「有吉弘行のブレイク論」 ****************** 4月…

「ニャ夢ウェイ」を終わらせた「ロッキング・オン・ジャパン」

「音楽雑誌を熟読していくと、このインタビューはいい、これはそうでもない、このレビューは刺さるけどこっちは何も感じない、ではこれを書いた人は誰なのか......と興味の矛先が書き手に向かうんですね。最初はミュージシャンの声を知りたくて読んでいたの…

広告クリエイティブの仕事術

「広告クリエイティブ」と呼ばれる、電通や博報堂に代表される広告会社所属(あるいは出身)の広告制作者の方たちの著書が発行されるたびに購入するのが習慣になっています。 一読するだけなので、それぞれの手法を取り入れることはできていません。 しかし…

CDはどこに売っているのか

タワーレコード長野店ではじめて買ったCDはJ『PYROMANIA』でした。リリース日から推測すると97年夏のことです。雑居ビルの4階が邦楽とクラシック、5階が洋楽のフロアでした。それまでは本とCDが一緒に売っている本屋のチェーン店で買っていたので、雑居ビ…

平野太呂「ボクと先輩」

雑誌「POPEYE」(マガジンハウス)は12年5月発売の6月号からリニューアルしました。 リニューアル号からはじまった平野太呂さんによる「ボクと先輩」という連載が、3周年(36回)の15年5月号で最終回を迎えていました。 平野太呂さんといえば、大原…

いしわたり淳治さんのこと

ちくま文庫『うれしい悲鳴をあげてくれ』が売れていると知ったのは、昨年11月13日の朝日新聞に掲載された広告に気付いたときです。 『うれしい悲鳴をあげてくれ』のことを知らなかったわけではありません。横山裕一さんのイラストが表紙を飾ったロッキング・…

「KAMINOGE」というプロレスの雑誌

樋口毅宏、田村淳、壇蜜、宮藤官九郎×伊賀大介、麻美ゆま、サイプレス上野、幅允孝、九龍ジョー、イーピャオ&小山ゆうじろう(『とんかつDJアゲ太郎』)という方々のロング・インタヴューが読める「プロレス雑誌」があります。 『KAMINOGE』というプロレス…

「FOXサーチライト・マガジン」を推す

『アメリカン・スナイパー』を観にシネコンへ行った時、パンフやグッズの売り場が変わっていることに気づきました。立ち読みができなくなっていたのです。買い方も、パンフをレジに持っていくシステムから、レジで欲しいタイトルを伝えて購入するシステムに…

新聞の連載小説と挿絵の幸福な結末

2015年4月1日から朝日新聞紙上で沢木耕太郎さんによる連載小説『春に散る』が始まりました。 挿絵は中田春彌さん。単行本は所持していませんが『月刊IKKI』で連載していたことは認識していました。しかしながら、単行本3冊しか刊行していない作家…