ポッセカット3曲~SUMMIT「Theme Song」リリースに寄せて
音楽レーベル・SUMMIT(サミット)が、所属するアーティスト総出演による「Theme Song」を発表しました。
紹介文には以下のようにありました。
SUMMIT プロフィール
SIMI LAB、THE OTOGIBANASHI'S、PUNPEE、GAPPER、C.O.S.A.、BLYY、TWINKLE+、VaVa を擁する HIPHOP レーベル。 グループそれぞれ違ったスタイルを持ちながらも、どこか共通する HIPHOP の価値観を持ち寄って初めてのレーベル・ポッセカットを制作。
リリースにあわせて、P氏もツイートしていました。
#np SUMMIT "Theme Song"https://t.co/32EBuK6h1Cお忙しいところ こんにちわ。いつも世話になってるSummitより全員参加した新しいVideoが到着しました。こんなご時世にポッセカット、ぜひご覧くださいまし!我ら同意,,,同意,,,P
— PUNPEE (@PUNPEE) 2017年6月22日
ポッセカットってCrewオンリーで作るものに限られるかと思ったら4人以上MCがいたらポッセカットなんすね、知らんかった。。Crewオンリーだと好きなのこんな感じやも(最初のはスタジオ)。他にもbuddy,ruff ryders anthem,Symphony,oo AMP..P pic.twitter.com/wSTUBD7MHo
— PUNPEE (@PUNPEE) 2017年6月22日
ポッセカット?聞いたことないワードです。
「Posse=仲間」で「Cut=曲」。つまり、仲間同志が集まり作った曲を指すようです。
フィーチャリングだとメインのアーティストが仲間を呼んだという図式になってしまうし、Dragon AshのkjとBOTS、SHIGEO(SBK)、ILMARI(RIP SLYME)が組んだ「Steady.co」はグループ感が強くなっています。
ポッセカットには、「場」の力があります。
ある場所に集まった人たちのなかから「なんか楽しいことしたいね?」と思い付きの声があがり、曲という形で結実する。それは、イベントでも旅行でもZINEを作るでも何だって良かったし、何にもならないことが大半なんだろうけど、「音楽」得意な人たちが多いから曲を作る。そういう単純な図式の実現が想像できます。
遊びだからこそ手を抜かない、楽しみつつ肩の力が抜けてて、楽しそうな雰囲気が充てんされています。
マイクリレーでMCが曲を繋いでいけるから、ポッセカットはやはりヒップホップならではという感じがします。
枕が長くなりましたが、「ポッセカット」の3曲を選びました。トリビュート・アルバムと同じで常にCD屋の棚にあるわけではないから、早めの入手が必要です。あるいはブックオフでDigしてください。
●「Theme Song」SUMMIT
1. "Theme Song feat. RIKKI, MARIA, DyyPRIDE, in-d, OMSB, BIM, JUMA, PUNPEE, GAPPER, USOWA"
2. "Theme Song -吐血MIX- feat. C.O.S.A., CLAY, AKIYAHEAD, Dzlu, DMJ, alled, OMSB, TWINKLE+, DJ SHINJI"
この曲の産まれた「場」は、もちろんレーベルである「SUMMIT」。
ヒップホップの楽しさと喧騒と、少しの怖さがあります。両方に参加しているOMSB(SIMI LAB)がSUMMITのキーマンなのでしょうか?
表と裏で2曲それぞれに参加している人の集合写真がジャケット写真に選ばれています。なぜ古民家?なぜ縁側?というヒップホップに似つかわしい場所の選び方も素晴らしい(ロケ地は杉並区郷土博物館)。
ジャケットの中面は全体の集合写真になってますが、6人くらいしか分からなかったので、誰が誰だか教えてください(MAILLさんも写ってる?)。
< 聴きどころ >
・PSGのPとGによるマイクリレー
・「とにかく明るい神様」に続いて私的なメッセージを込めるPUNPEE
・両方の曲に参加しているのはOMSBのみ。OMSBがレーベルの中心にいるようなので最高。
・「吐血MIX」の「お願い仏様」というPSG「神様」を踏まえたライン
・アカペラが収録されていることにより、バックに流されず、それぞれの持ち味を聴き取ることができる
●「MONSTER VISION」Dungeon Monsters
般若、漢 a.k.a.GAMI、サイプレス上野、DOTAMA、R‐指定、CICO CALLITE、T-PABLOWという、テレビ番組「フリースタイル・ダンジョン」出演者による楽曲。
「ミュージック・ステーション」にも出演し、現在最も知名度のある7人が作った曲。
悪く言えば「企画もの」だけれど、「フリースタイル・ダンジョン」という「場」ありきの1曲なので、これも「ポッセカット」に含めました。
この曲は「フリースタイル・ダンジョン」の曲であり、「モンスターの目線」というお題(タイトル)に100点で答えた曲です。
一方で、「フリースタイル・ダンジョン」という番組のために作った、というお題目からは1歩も出ていない曲でもあります。
お題目には100点で答えているが、その先が感じられる曲ではありません。そもそも「その先」は提示してないでしょうけど。「その先」って何?
話逸れるけれど、6月20日深夜放送回の「晋平太vs漢」は漢の勝ちでしょ?
あと、27日深夜放送回の「晋平太vsT-PABLOW」は冷静に対処すればT-PABLOW圧勝だけど、パブロは晋平太のダサいやり方を許容するわけにはいかなかったのでしょう。MIGOSが「CULTURE」というアルバムを出しているのだから、この文脈で「文化」を体現しているのがT-PABLOWなのは間違いないところ。
「晋平太=ダサい」は揺るがないけれど、「ダサい」を「泥臭い」に置き換えさせないような対応をモンスターには望むところです。とはいえ、ダサいと思われようが媚び売ったと思われようがヒップホップにしがみついてきた執念が晋平太にはあるし、執念の現れがパブロにカツアゲされても脚韻を外さなかったところだと思う。競技としてのフリースタイル・ラップ・バトルを熟知しているのは認めざるをえません。
話の逸れついでに言えば、主催兼広報部長のZEEBRAが「Mステ」でタモリと話すのはいいとして、DJとして紛れ込んで掛け声かけるのは何かなぁと思った。SN-Zを出してやれよ、と。
< 聴きどころ >
R-指定のパートで、焚巻、KOPERU、崇勲、TK da 黒ぶちという自分が負けたチャレンジャーの名前を出したのはフックアップの意味はもちろんあるだろうけど、番組のダイジェストを見せてもいるんだろう。(Rは何戦したか知らないけどシングルではこの4人+晋平太にしか負けてない!)
ダウンロード購入してない現時点での聴きどころは、このくらい。
以上2曲は最近のリリース。
ポッセカットで括るなら、2000年7月にリリースされたこの曲を外すわけにはいきません。
●「TMC Graffiti」TMC ALL STARS
MCとして参加しているのは以下の面々。DJは、BOTS(Dragon Ash)という煌めく布陣。
SHUN(SBK)、SHIGEO(SBK)
Kj(Dragon Ash)、MUNEMASA HAYASHI(PENPALS)
JUNN(Missile Girl Scoot)、 U-RI(Missile Girl Scoot)
Q(ラッパ我リヤ)、 山田マン(ラッパ我リヤ)
ILMARI(RIP SLYME)、PES(RIP SLYME)、RYO-Z(RIP SLYME)、SU(RIP SLYME)
Dragon Ashが2000年に主催していた「TMC(Total Music Communication)」というイベント(当時はフェスではなくイベントという認識だった)に参加した面々によるポッセ・カット。
3曲のなかで、ヒップホップのイケイケなところが最も表現されています。2000年のムードが詰まっていて、時代の風を受けまくっています。このイケイケ感があってこそのポッセカット。
日本語ラップのオリジネーターといえばZEEBRAやいとうせいこうということになっているようですが、そんなことはどうでもいい。
私にとってヒップホップのスタートはDragon Ash。これは揺るがないです。
なので、ラッパ我リヤが新しいアルバムにkjを呼んだので、ちょっと泣いた。
T-PABLOWと晋平太の図に当てはめると、ZEEBRA=晋平太でしょ?髪形似てるし。それ以上は書かないけど。
< 聴きどころ >
・「TMC 壁は無いぞ」というのは、Dragon Ashが00年3月にリリースした「Deep Impact feat.ラッパ我リヤ)」の「いよいよ壁は無くなるぞ」を踏まえたライン。
・ジャケットはPESによるグラフィティ。