ヒラリー・クリントンの敗北宣言を引用した3冊

2016年11月9日、ヒラリー・クリントンアメリカ大統領選挙に対する敗北宣言を行いました。
その敗北宣言を引用したエッセイやマンガが3冊になりましたので、その箇所を引用します。
年月は書籍としての刊行年月であり、いずれも雑誌連載をまとめた書籍なので、初出はもう少し早いことを付け加えます。


『セクシー田中さん(1)』芦原妃名子
2018年4月

こないだトランプさんがアメリカ大統領に決まったじゃないですかっ!
政治のことはよくわかんないけど・・・ヒラリーさんの敗北宣言はちょっとよくて

 

Now,I know we have still noto shattered that highest and hardest glass calling, but some day,someone will,and hopefully sooner than we might think right now.
And to all of the little girls who are watching this,never doubt that you are valuable and powerful and deserving of every chance and opportunity in the world to pursue and achieve your own dreams.

私達はまだあの最も高く堅いガラスの天井を打ち砕けてはいません。でもいつの日か誰かが成し遂げてくれるでしょう。きっと私達が思うよりも早く。そして、これを見ている全ての少女達へ。あなた達には価値があり、力があり、あなたの夢を追い求め叶えるためにこの世のあらゆるチャンスが与えられていることを信じてください。


まー別に、それはどーーでもいいんだけど!でも「リスクヘッジ」とか私ちまちまちまちま何やってんだろなーとか最近ちょっと思ってて

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『生きるとか死ぬとか父親とか』ジェーン・スー
2018年5月

 

 深夜ベッドに横たわると、ヒラリーの敗北宣言が始まった。
「小さな女の子たちへ。あなたは貴重な存在であること、力があること、世界中すべてのチャンスをものにするに値する存在であることを、決して疑わないで」
 他国の出来事なのに、涙があふれてきた。敗北が決まってから広がった疑念が、頭から追い出せない。もし、ヒラリーが男だったら。もし、トランプが女だったら。
 敗因は性差別にあると示唆する、ずる賢いヒラリーならではの演説だと揶揄する人もいた。私だって性差がすべてとは言っていない。しかし、それが一端を担っているのではとの疑念が蒸気のように噴き上がるのを止められなかった。性別のせいになんか、一番したくないのに!

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『みらいめがね』荻上チキ
2019年5月

「ガラスの天井を打ち破ろう」
2016年のアメリカ大統領選挙で、民主党代表候補のヒラリー・クリントンは、このスローガンを何度も口にした。ガラスの天井。男女平等の社会を実現するために活動してきた人々にとって、この言葉はなじみ深いものだ。
同じ社会にいながら、男性と女性とで社会的な処遇が異なってくる。たとえ高成績であっても、女だからという理由で進学を断念せざるを得なかった人はたくさんいる。同期で男女が入社し、同じような業績をあげても、女性の方がなぜか昇進ができない。
女性が社会に飛びだしていこうとする時、「女だから」という言葉や偏見が、見えない障壁となって個人に立ちはだかってきた。女性の社会進出、成長、昇進を阻む見えない抑圧の力。それをうまく言い表したのが、ガラスの天井という比喩だった。
(中略)
大統領選で、ヒラリー・クリントンは負けた。ヒラリーは敗北を受け入れ、「私たちはガラスの天井を打ち敗れなかったが、近いうちに誰かが成し遂げてくれる。全ての少女たち。自分の価値と強さを疑わないでほしい」と語りかけた。
ガラスの天井。ピンとこない人も多いかもしれないが、僕にとってこの言葉は、母の流した涙を意味する。次の世代にガラスの天井を味わってほしくないという、彼女のささやかな願いを、近いうちに叶えてやりたい。

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