松尾スズキ+河井克夫asチーム紅卍『ニャ夢ウェイ4』

 15年5月末に発売された6月号で長期連載作「ニャ夢ウェイ」を終わらせた『ロッキング・オン・ジャパン』。翌7月号では編集部員によるコラム8本で『ニャ夢ウェイ』の載っていた4ページが埋まっていました。

 小松香里さんによる追悼は読ませる内容でしたが、花火をバックに撮ったアレキの写真が奇跡の1枚とあり、しらけてしまいました。奇跡ってんなら2色ページのコラムの隅じゃなくて、カラーページに載せなさいよ。

 コラム8本ともレビューの延長みたいな内容でした。洋楽とか本とかマンガとか、本筋と離れたコラムが読めるのが雑誌の楽しさと認識しているので残念でした。

 

 ロッキング・オン社のHPで買うと缶バッジが付いてくるということで注文した『ニャ夢ウェイ4』は6月29日に届きました。

 定価1,200円+税に、手数料216円が加算されて1,512円。送料かからなくて缶バッジが着くなら216円を追加で支払うのは惜しくありません。電子書籍には特典が付かないのだから、出版社は特典に力を入れてもらえるとありがたいです。

 

 話が逸れました。『ニャ夢ウェイ4』についてです。

 表紙はチースが飾っていました。口絵にもオロチとチースの写真が掲載されていますが、撮影クレジットを確認すると梅佳代平間至とあるので、過去3冊の時に撮影した写真の流用だと思われます。オロチ、チースとも松尾さんの別れた妻や恋人に引き取られたそうなので苦肉の策だったのでしょう。帯には「猫秘蔵フォト」とありました、、、

  

 『ニャ夢ウェイ』を愛読した理由の一つは、担当編集者が登場したからです。

 赤塚不二夫の担当記者がタケイ記者として赤塚マンガ登場し、鳥山明の担当編集・鳥嶋さんが『Dr.スランプ』に「マシリト」として登場し、楽しそうにやっていたことを過去の出来事として知っています。

 もうそういう作品はないのかと思っていたときに、登場したのが『ニャ夢ウェイ』でした。連載2回目にして担当編集であった『BUZZ』編集長の中本浩二さんが登場しました。『ニャ夢ウェイ4』でも担当編集の小松香里さんはもちろん、関係ない部署に在籍している兵庫慎司さんも登場しています。

 『ニャ夢ウェイ4』ではしゃくれの話題から中本さんが登場し、最終巻なのだ、という感慨が湧いてしまいました。

 宮藤官九郎さんは「ビートたけしのオールナイト・ニッポン」で楽しそうにビートたけしの相槌を打っている人の事が気になったことから、放送作家という存在を知り、高田文夫さんに憧れるようになったと言っていました。『ニャ夢ウェイ』を読むと、編集者に対して同じような気持ちを抱かせます。

 

 猫を飼いだしたことではじまった連載。当初は『榎本俊二のカリスマ育児』に代表される育児漫画のような、飼い猫の特徴や習性をまとめたエッセイ漫画でした。

 しかしながら、妻や恋人が猫を引き取っていったことにより、オロチやチースがしゃべりだし、有名マンガのパロディがあり、『あまちゃん』の裏話が載り、猫が画面に載っていればなんでもありになっていきました。

 海上で漂流しても梅宮辰夫や長毛種の猫、三谷幸喜とは間がもたないから一緒の船には乗りたくないという「人見知り漂流記」は何度も読み返すほどの出来です。

 

 「スピリッツ」や「モーニング」「ヒバナ」に載ったら浮いてしまう内容なので、他にマンガの載っていない雑誌で、は『ニャ夢ウェイ』が連載するには、ちょうどいい雑誌でした。サイズの面でも『MUSICA』より『ロッキング・オン・ジャパン』はちょうどいい雑誌でした。

  ずっと続いて欲しい連載でしたが、大団円と言っていい終わり方だったと思いこみます。松尾さんがまた猫を飼い始めるまで再開を待ち望むことにします。

 

 

 

 『ニャ夢ウェイ4』には、野々村県議の号泣会見を受けた「なんで!この漫画、漫画コーナーに置かれんでサブカルコーナーに置がれるんですか!!」という叫びが載っていました。

 直販で購入したから実態は分からないけれど、叫びは届かず『ニャ夢ウェイ4』はサブカルコーナーに置かれているんでしょう、きっと。

 グループ魂は「パンク仲間はずれ」という曲で、「おれたちのCDをパンクコーナーに置いてくれないか/パンクからはみ出したらもう行き場がないんだ」と歌っていました。

 ダウンタウン松本人志さんは「ガキの使い」のなかで、志村けんのバカ殿のビデオが時代劇コーナーに置いてあって笑ってしまった、と言ってました。

 定番のコーナーからずらしたところに置き、新しい客を引き寄せるのは書店員の腕の見せ所なんでしょうが、いちいち中身を確認することはできないし、著者名で棚を決めているのでしょう。残念なことです。