#わたしの1週間

Owllyというサイトで連載されている「#わたしのサブスクリプション」の更新を楽しみにしております。

今までに柳下恭平(かもめブックス)、西田善太(「BRUTUS」編集長)、有馬トモユキ(アートディレクター)の3回が掲載されました。

www.watch.impress.co.jp

 

これにインスパイアされたので、サブスクとは外れるかもしれませんが、 #わたしの1週間 をまとめました。書き出すと結構分量ありました。

 

< 月曜日 >

ウェブ  「今週の編集部まとめ」(シンラ)
※ ほぼ音楽作品の紹介なので本をもっと紹介して欲しい。

www.cinra.net


< 火曜日 >

テレビ 「7ルール」(フジ)
※ 録画しておいて他に見るテレビがないときに見てます。本にまとめてほしい。


< 水曜日 >

テレビ 「フリースタイル・ダンジョン」(テレ朝/Abema TV)
※ テレビ朝日で火曜日深夜に放送されているものを、翌朝にAbema Videoで見ています。

テレビ 「水曜日のダウンタウン」(TBS)
※ 録画しておいて翌朝6時くらいから見ている。

tabun-hayai.hatenablog.com

 

Spotify 新作配信日(邦楽)


< 木曜日 >

ウェブ 「Dモーニング」(講談社
※ 読んでいるのは、GIANT KILLING、宇宙兄弟、ハコヅメの3作品。

メルマガ「Webでも考える人メールマガジン」(新潮社)

テレビ 「プレバト」(TBS)
※ タイトルの認知度が一番低いであろう番組。そろそろ浜田さんも俳句を作るべきではないだろうか。

digital.asahi.com

テレビ 「アメト--ク」(テレ朝)
※ 後半になるとダレていっているような気がする。

テレビ 「ゴッドタン」(テレ東)
※ 6月に元日のスペシャルが何週かに分かれて放送されるので時差は更に拡大中。そのうち1年遅れになる。


< 金曜日 >

テレビ 「全力!脱力タイムズ」(フジ)
※ゲストコメンテーターごとに企画内容を変えているという手間の掛け方が凄い。シェリー、オリラジ藤森、和牛ゲスト回が印象に残る。

ラジオ 「バナナマンバナナムーンGOLD」(TBSラ)
radikoありがとう。3時間の視聴時間が過ぎて聞けなくなった時は、TBS以外のネットしている曲から聴いている。

ラジオ 「SOFA KING FRIDAY / PUNPEE」(J-Wave
radikoありがとう。フィジカル化されていないPUNPEEの音源がほぼ毎週かかる至福の時間。

Spotify 新作配信日(洋楽)


< 土曜日 >

テレビ 「デザインあ」(Eテレ)

テレビ 「YOUは何しに日本へ?」(テレ東)
※ ゴッドタンほどひどくはないが、約1ヶ月遅れで土曜の昼に放送されている。

テレビ 「オドモTV」(Eテレ)
※ 「なむはむだはむ」の3人(前野健太岩井克人森山未來)が出演。佐野研二郎がしれっと復帰していることが気になる。

新聞  朝日新聞
※ 今春までは津村記久子「ディス・イズ・ザ・デイ」目当てで読んでいて、4月以降は読書欄が日曜から土曜に移ったので引き続き土曜日に買っている。日曜は買うのをやめた。

新聞  日本経済新聞
※ 読書欄と別刷りのランキング目当て。


< 日曜日 >

テレビ 「ボクらの時代」(フジ)
※ この番組の出演依頼がきたら嬉しいだろうな、と思わせる番組。最初の一人はスタッフによるキャスティングだろうけど、他の2人は最初にキャスティングされたタレントの指名。だからテレビに出ることのない小林賢太郎降谷建志真島昌利だって出演する。

テレビ 「ジャンク・スポーツ」(フジ)

テレビ 「ダウンタウンガキの使いやおまへんで」(日テレ)

テレビ 「関ジャム 完全燃SHOW !」(テレ朝)

テレビ 「情熱大陸」(TBS)
※ 日曜日23時台は激戦区になっていて、特集によって関ジャムか情熱大陸を録画している。ガキの使いは実家のテレビで毎週録画にしている。

新聞  毎日新聞

新聞  読売新聞
※ 前日と同じく、読書欄目当てで新聞を買っている。

 

< 週1回以上 >

テレビ 「にほんごであそぼ」~「Orton」~「0655」~「シャキーン!」~「はなかっぱ」~「デザインあ」~ピタゴラスイッチ」~「コレナンデ商会」
※ 平日朝のゴールデンタイム。はなかっぱ頃まで朝食を食べ、それから出かける準備をはじめている。

ウェブ 本の雑誌「高坂浩一の新刊番台(岩風呂)」
※ 月曜から土曜までほほ毎日11時30分ころにチェックしている他「炎の営業日誌」も更新されていないかチェックしている。新刊番台やコミックナタリーの単行本発売情報のようなもののCDバージョンをナタリーで作ってほしい。

 

メルマガ ビジネスブックマラソン
※ 土井英司発行のビジネス書を紹介するメルマガ。ビジネス書の紹介はライフハッカーの印南敦史に頼っていたけれど、こっちに切り替えました。土井さんは古瀬絵理さんがアシスタントをしていたので見ていた「ベストセラーBOOK TV」のレギュラーコメンテーターだったので馴染みがあった。

ウェブ the sign magazine
※ 更新頻度が一定ではないので、とりあえず毎日チェックしている。

ウェブ シンラ
※ CDリリースにあわせたインタビューチェックのほか「ギョーカイ列伝」の更新も楽しみにしています。

ウェブ ナタリー
※ CDリリースにあわせたインタビューをチェックしているけれど、最近のラインナップは物足りない。

 

< まとめ >

私の1週間は、ダウンタウン(特に浜田)、バナナマンPUNPEEを中心に回っている。

分母は少ないけれど、見ているテレビ番組は(Eテレを除くと)フジテレビのが一番多かったです。楽しみにしている番組ベスト3は、水曜日のダウンタウン、全力!脱力タイムズ、プレバト。プレバトとジャンクスポーツ以外は録画して翌朝以降に見ています。

週刊誌を買ってないから、コンビニには週末しか行かなくなった。

スーパー原信と私の4日間抗争

今回のエントリは、スーパーマーケット、原信と私の4日間抗争をまとめたものです。

「原信」とは新潟県内51店舗、長野県4店舗、富山県2店舗を展開するスーパーマーケットです。

 

6月2日(土)

食材を買いに家族でスーパーマーケットへ行く。

最近は日常の食材は妻が購入し、私は私で好き勝手に買うという流れになっている。

あかりを連れてふらふらと店内を歩いていると、久しぶりにお餅でも食べようと思いついてもち麦入りのお餅をカゴに入れる。

「もち麦 餅」の画像検索結果
6月4日(月)

職場から帰宅後、妻から賞味期限が4月末で切れていると伝えられる。


6月5日(火)

レシートは捨てていたので、原信HPの「お問い合わせ」ページに申し立てを行う。


15時35分

>株式会社原信・株式会社ナルスホームページより、以下の内容でお問い合わせを受け付けました。
>お問い合わせいただきありがとうございました。
>※本メールは自動返信メールです。


>■お問い合わせ日時:2018年06月05日 15:35
>■お問い合わせ種類:ご意見・ご要望について 
>■お問い合わせ内容:

 6月2日に原新==店で、もち麦入りの餅を買いました。しかし、賞味期限が2018年4月30日まででした。レシートがあれば交換をお願いしたいところですが、捨ててしまったため諦めます。 ひどく落胆しました。悲しいです。 


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16時46分

未登録の番号から着信がある。検索すると購入したスーパーからであった。

17時41分

再度、スーパーから電話がかかってくる。

相手側からの説明は以下のとおり(ざっくりver.)。

問い合わせを受けて陳列されているもち麦入りの餅を確認したところ、在庫が数個あり賞味期限が過ぎていた。6月2日に1個販売したという履歴が残っていた。
ついては、返金させていただきたいので、自宅へ伺ってもいいか?

こっちが恐縮するので断ったところ、来店いただけるのであればサービスカウンターで名前を伝えて欲しいと言われる。

ということで、4日間(実質2時間)にわたる抗争は終着へ向かうことになりました。

 

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追記

6月11日(月)に妻へ店に行ってもらいました。

サービスカウンターで名乗ると店長が来てくれて代金(429円)とお詫びの品(サランラップ)を頂戴し、終結しました。

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< 結論 >

当然のことなのでしょうが、危機管理/クレーム対応が徹底されていました。
 ・本部へのメールからほぼ1時間(70分)で、購入店舗から連絡がくる
 (70分間で、本部のメール確認→店舗への連絡→店頭と販売履歴の確認→電話、といったことが最低限行われたはずです)
 ・最初から店長が対応し、家へ訪問して謝罪すると提案してくる
 ・レシートがなくても返金に応じてくれる
 ・こちらが申し出た内容とのすりあわせを行っている(店頭の在庫と販売履歴の確認)

 

納豆や豆腐などの毎日毎週食べる食品、キャラメルコーンやポッキーなど定番商品とは違い、「お餅」は正月以外は食べる機会がない商品のため店舗内での回転数が鈍く、仕入れてから購入されるまでに消費期限が過ぎてしまったんだなと推測しました。6月2日に購入したのも私だけだったようですし。

そして、スーパーが在庫管理をどの程度できているかを見分けるには、「お餅」の消費期限をチェックするのが有効であることも学びました。

私の学びをシェアしたいと思い、普段とは毛色の違うエントリをまとめるに至りました。

 

 

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クレーマーに対応するお客様相談室というと、かつて読んだ荻原浩「神様からひと言」のことを思い出し、思いだしついでに検索したらどんよりしました。

 

>『神様からひと言〜なにわ お客様相談室物語〜』と題して、NHK大阪放送局制作によりNHK総合土曜ドラマ」枠にて2017年6月10日から全6回で放送を予定していたが、放送開始直前の主演の小出恵介の無期限活動休止を受け放送中止となった。

ジェーン・スー『生きるとか死ぬとか父親とか』

 

80歳手前の父と40代半ばの娘。2人という最少人数で構成される家族の日々を読み進めるうちに、読者自身の家族のことが頭の中をよぎり続けることでしょう。


著者はTBSラジオ「生活は踊る」のパーソナリティとしての肩書が最も知られていますが、エッセイスト、コラムニストとしての一面もあり、著作も出版しています。今までの著作の大半はタイトルから女性向けと判断し手にとってきませんでしたが、本作は家族のいる誰もに届き、誰もが読むべき作品です。


著者は父親と月1回くらいの頻度で母親のお墓参りに行きます。別々に暮らしているため、父の近況を知ったり、娘にお願いごとをするにはお墓参りという理由が双方にとって欠かせないことがわかります。母親は亡くなってもなお父と娘の緩衝材になっており、家族の一員であり続けています。


1話1話は短いのですが、父親の存在感が読者をひきつけます。派手なシャツが似合い、女性の懐に入るのがうまく、男としての顔もあり(世話をしてくれている女性の存在が薄く出てきますが、そこには踏み込んで行きません)、飄々と生きながらも、ハッとするような人生訓を著者に放ち、読者の胸を貫通していきます。


「現実は見栄を超える」という父親の警句がさらっと紹介されています。詳しい説明は省略されていますが、「生活は踊る」リスナーならピンとくるのではないでしょうか。気になる方はラジオの書き起こしを参照ください。

www.tbsradio.jp
人生相談をまとめた番組本『相談は踊る』を除けば、本作が全方位に向けた初の著作です。筆力が存分に伝わる作品なので、著者はこれを機に広く世に出ていくのは疑いようもありません。早くも続編が楽しみですし、いずれは小説をと欲が進んでいきます。

 

本書は父と娘の話であり、家族の話ですが「家族って良いよね」と礼賛してはいません。

 

読者は父と娘それぞれへ自在に自分を置き換えながら、自身の両親や、養うべき家族のことを考えるはずです。老後に生活できるだけの貯金をしておかなくてはとか、今は全くだけど父と母や先祖のことを知りたくなる日が来るのかとか。都会・地方関係なく、結婚しても両親との同居を選ぶ方が珍しい現在においては余計に。

五明拓弥「全米は、泣かない。」

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著者は、お笑い芸人「グランジ」というトリオの一員で、背の高い人です。トリオのもう2人は、椿鬼奴の旦那である佐藤大と、ラジオ「School of Lock」や5月6日に開催された音楽フェス「ビバラポップ」等でMCをしている遠山です。

著者の本職はお笑い芸人ですが、ラジオCMでTCC(東京コピーライターズクラブ)の新人賞受賞歴があります。今後は広告の仕事を増やしたいという意向があり、広告の仕事の増やし方を悩むうちに対談して話を聞いてみよう、となったのがだいたいの流れです。

対談相手は、澤本嘉光(CMプランナー)、篠原 誠(CMプランナー)、谷山雅計(コピーライター)、尾形真理子(コピーライター)、福部明浩(クリエイティブディレクター)、関根忠郎(映画惹句師)、又吉直樹(芸人)の7名。

 

本書の良い点は3つ。「ブックデザイン」と「他のインタビューでは読めない広告クリエイターの考え方」「又吉直樹」です。

ブックデザインは、吉岡秀典(セプテンバーカウボーイ)。

これだけの文字量を入れ込んでいるのにスッキリとしていて、品のあるデザイン。書店ではビジネス、エッセイ、タレントとどの棚にも馴染みながら目立つことができ、ウェブではサムネイルの小さい画像でも目を留めやすい発色の黄色が使われています。

登場する広告クリエイター5名は業界トップの知名度があり、多くのインタビューが出ていて、著作や連載を持つ人もいます。

本書の対談では、お笑い芸人であり、新人コピーライターの著者が話を聞きたいと訪ねてきているためか、既出のインタビューより目線が低く、手法を明かしています。

又吉直樹も対談相手(聞き手)が後輩であったためか、他のメディアなら言う必要のないことを明かしています。

いろんな要素を編みこんで小説のかたちにしていく。話の筋が複雑に入り組んでいるのが自分としては好みで。だから、自分の作品の批評に触れる機会は多いけど、その批評を見て「なるほど、そういう読み方があったんか」と思うことは97%ない。

僕に本の帯を書く話をいっぱいいただけるのは、僕が一応テレビに出ていて、本好きとして知られていて、「たくさん本を読んでる人」っていう印象があるから。

文章が難しい本を紹介する時は、自分の文章も普段よりちょっと難しく書くねん。ほんなら、難しい言葉が苦手な人は僕のエッセイ自体を面白いとは思わないんで、その本を買わない。でも、その文章を面白いと思う人はその本も楽しめるかもしれへんから、本の難易度と自分の書く文章の雰囲気は合わせるようにしてる。

 

良い点は以上の3点で、個々の対談も読み応えがあるのですが、全体を通すと散漫な印象が残ります。

全体が散漫になっている理由は「意味不明なタイトル」と「ちぐはぐな構成」、「旬ではない」という3点。

1「意味不明なタイトル」について

「全米は、泣かない」という本書のタイトルが、映画のコピーでよく使われる「全米が泣いた」というコピーを反転させていることはわかります。

前書きにタイトルの由来について書いてあります。

『全米は、泣かない。』というタイトルは出版の担当の方がつけた。つい安直な言葉や表現に頼ってしまっている人に響くのではないかという思いからタイトルにしたらしい。

これから広告の仕事を増やしていきたいと考えていて、その決意の現れである著作のタイトルを編集者に考えてもらう人物に誰が広告を依頼するのでしょうか?

広告とはCMと新聞とポスターだけだと考えているようなので、救いはありません。

対談相手にお題をもらって添削までしてもらい、それを載せるのであれば、著者が対談から学んだことを生かしてタイトルをつけるべきだったのです。思考の過程を巻末に掲載することで決意や姿勢が伝わるのではないでしょうか。

Twitterでこのことを口悪く指摘したら「私もはじめて出版するまで知らなかったのですが、書籍のタイトルは編集の担当の方が付けるみたいです(私はそう聞きました)。」とリプが届きました。 

小沢健二の帰還』には著者の宇野維正さんがタイトルについて悩む過程の記述がありました。岩波書店は著者がタイトルを考えて、あさ出版は編集者が考えるのでしょうか?

仮にそう言われたとしたら、「五明拓弥が本を出しました。なんてタイトル?」という大喜利の答えを編集者に任せたことになります。「自分が発した言葉は最後まで責任を持つ」を「肝に銘じ」たのであれば、自分の著作にも責任を持たなくてはいけないのではないでしょうか?

編集者がタイトルをつけることが「型」だとすれば、「型通りにやる必要はない」と「肝に銘じ」たことと反してもいます。


2「ちぐはぐな構成」について

本書は、著者と7名との連続対談ですが、構成としては以下の3部構成になっています。

1部 電通博報堂の在籍者or出身者 5名
2部 映画惹句師 1名
3部 又吉直樹 1名

著者がラジオCMでTCC新人賞を受賞したのを受けて、広告製作に携わりたい/広告の仕事を増やしたいと考え、広告クリエイターの人から学びたいという意図が本書にあります。

ならば、コピーライターやプランナーなど広告クリエイターのみで構成すればいいものの、映画惹句師という70代の人を引っ張ってきつつ、又吉直樹と知り合いだから又吉のネームバリューに乗っかってもいます。

人選の軸がぶれているから「伝え方のプロたちに聞いた刺さる言葉のつくり方」と副題をつけて無理矢理まとめています。「伝え方のプロ」として、広告クリエイターと映画惹句師しか思い浮かばないのだとしたら、現状の認識が激甘です。

「伝える」ことが不要な職種はありません。ないなら、どの職種にも独自の伝える技術が培われているはずです。

例えば、ロッキング・オン山崎洋一郎や書評家の豊崎由美といった評論家やライター。未見の物を知らせる役目、広く知れ渡っているものに新たな解釈を与える役目が評論家やライターにあります。

広告クリエイターが主であるなら、広告クリエイターのみで7名を構成すべきです。

本書に登場した5名はキャリア20年以上のベテランばかりなので、もっと若手、例えば阿部広太郎、の視点を取り入れても良かったと考えました。

何かを成し遂げた人のインタビューや対談がほとんどなので、賞を1つとっただけの新人コピーライター同士で対抗心や羨望のでる対談は読みたくなります。

以上のことをまとめ、「業種の重ならない7名」か「広告クリエイター5名+タイトルの決まった過程+又吉直樹」のどちらかであれば軸ができたのではないかと考えました。

また、「広告の仕事を増やしたい」ということについては踏み込めていません。もっと新人のころに仕事をもらえるようになったきっかけとかも聞いてほしかったです。

 

3「旬ではない」について。

登場する広告クリエイター5名は業界トップの知名度があり、著作がある人もいるため、もれなく明晰でわかりやすい話をしてくれています。

さらに、お笑い芸人であり、新人コピーライターの著者が話を聞きたいと訪ねてきているためか、既出のインタビューより目線が低く、手法を明かしています。

とはいえ、10年15年前の「広告批評」があったころと現在とでは状況が一変し、広告代理店や広告クリエイターへの見方が一変しています。

電通の若手社員の自殺があり、オリンピックのエンブレム問題があり、電通時代にクリエイターからパワハラを受けていたという「はあちゅう」の告白がありました。

時代の変化の意識の仕方などについても踏み込んで聞いて欲しいところでした。

 

上記3点の理由で本書が散漫になっています。

さらに付け加えるなら、なんで広告の作り方を広告クリエイターに学びに行くんだろう?というのが最大のクエスチョンです。

著者本人には「お笑い芸人」という広告代理店では学べない場があります。なのにその場を、その強みを生かそうとせず、「コピーライターになりたい」から「広告クリエイターの話を聞いて真似しよう」という思考になっています。

お笑い芸人として広告代理店の人には持ちようがない視点や環境があるのに、自分から「広告代理店ぽさ」に染まりに行く意味がわかりません。キングコング西野の方が何倍も考えているし、よっぽど現状が分かっています。

将来、対談相手と競合する可能性があるのに、手の内を明かしてくれるってことは著者の可能性を舐められてるってことです。有名クリエイターに白旗をあげるなら、「お笑い芸人」辞めて、広告代理店の入社試験受けろよって話です。

 

もやもやした読後感が残りましたが、五明拓弥さんが対談で肝に銘じたことを今後の活動に活かすことが最重要ですので、今後の活躍をご祈念いたします。

「POPEYE 18年5月号」と「UOMO 18年6月号」

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着ているTシャツとパーカーはバンドTか海外ミュージシャンのマーチ(MERCH)ばかりの私ですが、4月はファッション誌を2冊買いました。

1冊は普段からよく買っている「POPEYE 5月号」で、もう1冊は「A.P.C.」のネックウォレット目当てで買った「UOMO 6月号」です。

「POPEYE」の表紙には「Magazine for City Boys」とあり、「20歳のころ」という特集が過去に2回組まれてもいるので、20歳前後に向けられています。
「UOMO 6月号」の特集タイトルが「40歳男子へ、夏までに40の宿題」であることから、読者層は40歳前後と想定できます。「UOMO」を発行している集英社のメンズ・ファッション誌は他に「MEN'S NON-NO」があります。最新号の表紙はすだまさきなので、「UOMO」読者より若く20代向けなのでしょう。

付録目当てとはいえ、ターゲットとする年代の違うファッション誌を読むことで両者の共通点と違いに気づけました。


共通点として、伊丹十三と山本康一郎が両誌に登場していました。この2名が両誌のメンターになっているようです。

・ 伊丹十三
「POPEYE 6月号」の特集「ニューヨーク退屈日記」は伊丹十三「ヨーロッパ退屈日記」を捩(もじ)ったタイトルです。
タイトルにオマージュをささげるにとどまらず、松家仁之周防正行cero荒内佑、大根仁の寄稿による6ページの小特集が組まれていました。
一方「UOMO」では、「伊丹十三をお洒落の教科書として読み直す」として「40の宿題」の1つに挙げられていました。寄稿者は大住憲生(不勉強ながら知りませんでした。誰?)。
「UOMO」の方には「読み直す」とあるから、「POPEYE」読者が成長すると「UOMO」の読者になるのでしょうか。

・ 山本康一郎
 スタイリストで知られ、宇野薫のセコンドとして「KAMINOGE」に登場したことがあり、「40の宿題」の一つである「スタイリスト私物」を手がける山本康一郎が、両誌に対談を連載していました。
「POPEYE」の連載は「おとなのせなか」というタイトルで、コラムページの片隅が定位置になっています。分量が600字と短すぎる対談です。

「UOMO」の方のタイトルは「雑談」。6月号の対談相手は今宿麻美です。右ページが対談、左ページが写真という2ページの構成。


「POPEYE」と「UOMO」の比較で最も重要だと考えるのは、イラストです。

「UOMO」でイラストの使われているページ数と「POPEYE」でイラストの使われていないページ数がイコールになると言えば分りやすいでしょうか。このくらい両者は異なります。

こういう印象だったのですが、「UOMO」を実際に確認したらイラストあるページは、「編集後記」と「速水健朗さんと武田砂鉄による時事連載」の計3ページでした。

雑誌の誌面に著名人が登場する場合、ある程度の長さがあるインタビューなら誌面のために撮影された写真が使われます。しかし、短いインタビューや短いコラムの場合は宣材写真をトリミングしたり白黒などに加工したりしたものが使われることがほとんどです。
「UOMO」でもカルチャーページの写真はアー写のトリミングで、「買い物学習帳」というカタログ企画で物を紹介する、肩書きがカタカナの人(スタイリスト、ディレクター、プレス、コンセプター、、、)の写真は白黒かつ粗く加工した写真でした。
しかし「POPEYE」は違います。表紙だけでなく、特集のあちこち、前述した伊丹十三の小特集内のコラムにもcero荒内と大根仁松家仁之の似顔絵が載り、連載の筆者紹介も似顔絵のイラストで行われています。

「POPEYE」は12年6月号でリニューアルされました。それ以前の「POPEYE」は「MEN'S NON-NO」同様に旬のタレントが表紙を飾り、タレントが誌面に多く登場していました。
イラストを使うことで、タレントを表紙にする他ジャンル含めた雑誌との差別化を図るだけでなく、長場雄などの新進を起用し売れっ子への手助けをしてきました。

お金が無限にあれば「UOMO」に載ってるの端から買っていけるんだけど、そうではないなかで「POPEYE」のお金あっても内面がダサけりゃ意味ないという雰囲気に、年齢が「UOMO」寄りになっていくなかでも、勇気づけられてきました。

リニューアルから5年が経過し、編集部の集合写真掲載とともに編集長の交代が記されていました。編集長の交代にあわせ、前述の山本康一郎だけでなく、やけのはら、田原総一郎、岡宗秀吾、大久保佳代子、堀道広、「ブロンソンに聞け(みうらじゅん田口トモロヲ峯田和伸横山剣、中村ヒロキの連載も軒並み終了していました。

tabun-hayai.hatenablog.com

5月9日発売の6月号は特集が「ぼくの好きな音楽」ということなので特集目当てで買うけれど、連載含めた誌面がどう変わったのかが気になっています。

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「水曜日のダウンタウン こち亀検証SP」を見て、説が大切と思う

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水曜日のダウンタウン」で重要なのは、「説」の提示である。

このことが4月11日に放送された「こち亀検証SP」でわかりました。

こち亀検証SP」は「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(秋本治)に登場したエピソードを実際に行ってみるという企画です。

通常は「説→検証VTR→結論」という流れですが、「こち亀のエピソード紹介→検証VTR→結論」という流れでした。

検証されたエピソードは以下の8つ。

① ダイバーが水中で釣り針に魚をつける「接待釣り」は実際に可能なのか?(92巻「組長は釣り名人の巻」)
② マルチスポーツ対決 1.スケート×剣道 2.野球×テニス 3.サイクル×野球(130巻「マルチスポーツ対決の巻」)
③ ラップを30cm巻けば裸は見えなくなるのか?(121巻「いつ…どこで…何をする!?の巻」)
④ 両さんみたいに、くすぐられたら誰でも給料の額をゲロっちゃうのか?(73巻「ボーナス戦線異状なし!の巻」)
⑤ ゴミ屋敷の住人を催眠術でキレイ好きにすることは出来るのか?(199巻「清潔両さんの巻」)
⑥ 駄菓子がっちり食べまショー(79巻「駄菓子屋カルト王の巻」)
⑦ 街中ゴルフ対決(86巻「大自然ゴルフ!の巻」)
⑧ 「いつ・どこで・何をするゲーム」実際にやったら面白くなるのか?(121巻「いつ…どこで…何をする!?の巻」)

www.shonenjump.com

 
前半はくすりともしませんでした。後半に入ってエンジンかかり笑えるようになったけれど、それはバラエティ番組としての笑いであって、「水曜日のダウンタウン」の笑いではありませんでした。

水曜日のダウンタウン」として、面白くなかった理由はいくつか考えられます。

 

・取り上げるネタに興味が持てなかった。
釣りの説は、そもそも気づいて当然だし、気づけない場合は釣ってる人物がポンコツ。くすぐりの説も同様に興味が持てませんでした。私はタレントの給料が知りたくて「水曜日のダウンタウン」を見ているわけではないです。

・作中でダイジェスト処理されているネタを、実際に行ったら間延びしてしまった(マルチスポーツ対決)

・実際に行っている映像がマンガの絵のインパクトを超えなかった
ラップ巻きの説は、バービーのコメントが達者であったから見れたけれど、ラップを巻いている過程は映像としては単調でした。結果は2.49mm(76周)と作中(30cm)の120分の1程度の厚みで隠せていました。

・そもそも作中でも面白くなってない。
「いつ・どこで・何をするゲーム」、マンガで読んでも面白くないのだから、実際にやって面白くなるわけありません。ロケで行っている場面でフェードアウトしつつ、最後、スタジオに振っていました。

 

基本的にVTRで完結させる番組ですが、スペシャルの時はスタジオで一波乱起きているため、その流れをしっかり利用していました。面白くても、面白くなくても、スタジオでもやってみることは折り込み済みだったのでしょう。
スタジオでやった結果は、面白いと言うより、目が離せない光景でした。


こち亀検証SPを経て、「水曜日のダウンタウン」にとって「説の提示」が重要であることを再確認しました。

提示される説は「あるある」に似た面を持ちますが、後に検証が控えていることで「本当にそうなの?」「本当にできるの?」「何かあるの?」と予想してしまいます。どこかに落ち着けば成立するフォーマットであるため、結論ありきではなく、どう転がっていくのかが重要になっています。

言い換えると、段取り重視ではなく、想定外を楽しむのが「水曜日のダウンタウン」の正しい楽しみ方です。

想定外という観点から印象に残っている説の一つが、17年8月2日に放送された「巣鴨のご老人が持ってる薬を集めれば頭文字50音全て揃う説」。
検証VTRでは、説のとおり巣鴨のご老人にインタビューしていきます。最終的に説の立証、50音の完成を目指すのなら、薬辞典で足りない音の薬を確認して症状に当てはまりそうな人を狙い撃ちしていく流れも考えられます。
しかし、結論は「薬は集まらなかったが、ヘイポーさんのご両親に会えた」というもの。
50音の完成を目指してロケするけれど、それより面白いもの/興味深い対象に出会えればスグにでもそっちに方向転換しまっせ、という雰囲気があります。

 

tabun-hayai.hatenablog.com

以前のエントリで触れた「街でバンドT着てる人 そのバンドのイントロクイズに答えられなかったらTシャツ没収されても文句言えない説」。この説では街頭インタビューのあと、チェ・ゲバラTシャツ着ていた4人を集めてゲバラクイズ大会が開催されていました。

 

「ドキュメンタル5」の公開にあわせたケンドー・コバヤシとハリウッド・ザコシショウの対談のなかで持参する小道具について話していました。
これはドキュメンタルだけでなく、私の生活にも取り入れられることだし、「水曜日のダウンタウン」が体現していることでもあるので、引用して終わります。

 

ザコシ でも本当に、小道具を詰めてると「これで足りるのかな」って不安になってくるんですよ。だから持っていけるだけ持っていきました。

ケンコバ 本音を言うと何も持っていきたくないんですよ。

ザコシ でも持ってきていいって言われているのに持っていかないのは不利でしょ?

ケンコバ 用意した道具の数だけ臆病だってことです。つまり、こいつがもっとも臆病だった。

ザコシ いちいちうるさいんだよ!(笑)

──シーズン1で、FUJIWARA藤本さんがボンドの入った巾着袋1つだけ持ってきていたのが印象的でした。

ザコシ いやでもね、藤本さんはツッコミでしょ? ボケの僕らが用意してきたものにツッコむから、用意はいらないんです。こっちが何もない状態だったらあっちだって商売上がったりですよ。だからボケがたくさん用意していかないといけないんです。臆病ではない! ただ、実際やってみると持ってきたものをバーンとボケとして出すっていうより、その場で起こったことに乗っかるほうがウケるんだなとは思いました。考えてきたものを超えたときに本当の面白さが生まれるんでしょうね。

ケンコバ 確かに、持ってきたもんだけではケリを付けられない。もちろん起点にはなるけど、そっからどう流れていくかやな。

 

natalie.mu
 

花田菜々子『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』


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東京の話であり、ヴィレヴァンの話でもあり、ひとりの女性の再起動までの話でもあり、男は女性をどう見てるかの話でもあり、ブックガイドでもあり、「夫のちんぽが入らない」に続く強いタイトルの作品でもある。私は自発的に本の情報を入手し、読む/読まないをある程度即決している。だから誰かに薦められても、全くの未知の本に出会うことはないだろうと思う。私と同じような状況の女性の言った「本の話ができて嬉しかった」との言葉が印象に残る。確かに誰とも本の話をしていない。

 読書メーターに登録した感想です。

多くの要素が含まれているので、読者ひとりひとりで読み方が異なるであろう作品です。

読書メーターでは文字数の関係で触り部分しか投稿できていないので、この「であすす」を少し詳しくまとめます。


① 東京
 私の住む地方で出会い系サイトで70人と会っていたら、直接の知り合いに会うことはないにしても、知り合いの知り合いには容易に会ってしまうでしょう。
 出会い系サイトで全く初対面の人に会えるのは東京だからこそです。

② ヴィレッジヴァンガード
 本書は著者がヴィレッジヴァンガードに勤務していたころの話なので、本書には内側から見たヴィレッジヴァンガードの姿が描かれます。憧れていたヴィレッジヴァンガードに入社したものの、徐々に書籍から利益のあがる雑貨中心の店になっていきます。
 ヴィレッジヴァンガードの店員は自由裁量でやらしてもらえてるのかと思いきや、上部の方針に乗りきれない著者のような人もいることがわかりました。

 私は「ヴィレヴァン」と略すけど、「ヴィレッジ」と略していては新鮮だった。
 
③ ひとりの女性の再起動まで
 夫との別居をきっかけとしたショック療法で出会い系サイトに登録し、何かフックをということでその人に合いそうな本を薦めることにしたのが物語のはじまりです。
 私小説なので驚くようなラストがあるわけではなく、ありふれたラストといえばそうなんだろうけど、自分の好きなことに向き合いつづけた結果のラストでした。物語としてはありふれているけれど、自分なら先送りしまくるだろうし、なかなか実行できることではないなと思う。

④ 男は女をどう見てるか
 話題のサービスであろうとなんであろうと出会い系サイトは出会い系サイトです。本を薦めます!とプロフィールに書いたって、体目当ての男が寄ってくるのは避けられることではありませんでした。
 序盤でセックス目当てで寄ってくる男の見分け方を出会い系サイトで出会った女性に教わります。

⑤ ブックガイド
 巻末には「本書ですすめた本一覧」として39冊の書名が載っています。
 著者は70人と出会っているから70冊は紹介したはずです。とはいえ、自身の体験を私小説に再編しているため、70人との出会いや薦めた書籍が全て網羅されてはいません。更に、ウェブでの連載では「サラリーマン合気道」(箭内道彦)を薦めるエピソードが載っていましたが、書籍では削られています。

 著者がヴィレバン勤務であるため、選書の傾向はヴィレバンに置いてあるサブカル寄りです。

 「本所ですすめた本一覧」に載っている作品のうち、私が書名あるいは著者を知らなかったものは、普段読まない海外小説3冊と「もろだしガールズトーク」のみでした。

 作中にも私と似たような女性が登場します。薦められた本を端から読んだことあると言い、主人公に冷や汗をかかせます。
 帰り際、その女性は「本が大好きなんですけど、ふだんわかってくれる人まわりにいなくて。こんなに本のタイトルたくさん出して、こんなにいっぱい本の話したのって初めてで嬉しかったです」と言います。
 そういえば、私は本を読むけれど、その感想を主観的にブログに綴ることはあるけれど、誰かと話し合うことはしていません。自分が読む本を読むような人は好きじゃないと思ったりする面もあります。

 終盤、ファミレスに行った場面で「料理がはこばれてくる」と何を食べたか濁しています。書名を具体的に書く流れで、料理名も具体的に書いて欲しかったです。


⑥ 強いタイトルの作品
 「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」というタイトルには「夫のちんぽが入らない」(こだま)以来の強さがあります。

 共通するのは、性的な興味を喚起するのもそうですが、それ以上に重要なのは「実体験を基にしている」ということです。作者にとっては物語へと昇華する過程で浮きあがってきたタイトルなのでしょうが強度を持っています。

 映画の宣伝で「感動の実話」が繰り返し使われるのは、「創作」より「事実」の方が訴求するためです。だからフェイクニュースは事実を装います。また、

 あの高崎卓馬の著書『表現の技術』に、「人は笑う前に必ず驚いている」と書いてあって、感情を動かすために必要な要素として驚きを挙げていました。

 実話ベースの作品は、時として創作以上の設定をこちらに投げかけてきて、「ちんぽは入るでしょ?」「ちんぽ入らない人と結婚したの?」「年に70人て多いな」「週に1人以上と新規で会ったの?」「会って、その先は?」といった驚きをもたらします。

 こだまさんや花田さんに創作と対立するつもりはないだろうけど、事実に重きが置かれる現在だからこそ世に出てきて脚光を浴びたのでしょう。

 NHK「プロフェッショナル」に取り上げられた「いわた書店」岩田さんが行っている「1万円選書」。
同じ選ぶでも岩田さんは求められて薦め、花田さんは勝手に薦めていました。方向性は異なれど、本への愛情が両者にあります。

 こんなに真剣に考えて誰かに本をすすめたことはなかった。相手のことを何も考えなくても、理由なんて何にもなくても、本はすすめられる。「とにかく自分が読んで面白かったから」というのはシンプルにして最強のおすすめ文句だし、雑誌や新聞で本をすすめること、もっと言えば店で本を並べて売ることだって、相手を特に限定せずに本をすすめていることだとも言える。
 でも、そうじゃなくて……。
 その人のことがわからないと本はすすめられないし、本のことも知らないとすすめられないし、さらに、その人に対して、この本はこういう本だからあなたに読んでほしいという理由なしではすすめられないんじゃないかとも思う。

 書店のポップは書店員が面白いと思った本に付けられていて、本屋大賞は書店員が売りたいと思った本に与えられる賞です。なので、「プロフェッショナル」に出演したご婦人のように「書店で薦められたのを読んだけどつまらなかった」と言う感想もあり得ます。

 Amazonのリコメンドは購入履歴から同じジャンルの本を選んで薦めてくるシステムです。しかし、東浩紀「弱いつながり」で指摘されていたように、このシステムに従い続けると読書傾向に偏りが生じてしまいます。

 私は自分で本を選べるけれど、本を選びきれない人がレコメンド機能に従って選んだとして、ハマれなかった時の耐性はできているのかと考えます。ハズレだと思って次に手を伸ばせる人はいいだろうけど、そこで止まってしまう人がいることも十分想定できます。

 花田さんは面会して1時間話し、岩田さんは長いカルテを申込者に書いてもらっており、本を選んで薦める前に、その人の人となりを捉えようとしていました。

 花田さん、岩田さんともに、本を媒介にしてコミュニケーションをとろうと試みています。「本を薦めます」というのがなかったら、花田さんは70人と出会えていただろうかと思います。「本を薦める」ことがなかったら、2,3人と会ってセックス目当てと分かって幻滅して終わっていたはずです。


 この「であすす」は「本」を媒介にしたから成立した話なのでしょうか。他の物でも成立するのでしょうか。自発性が必要で、読了までに時間がかかり、内面に影響する本だからこそ、成立しています。

 書店の延命する手がかりを示していると思うけれど、効率を考えたら手間がかかりすぎます。他の書店に浸透して実践する書店員が果たしてどのくらいいるのだろう、と外野から思います。


 読了して得たものがあるとすれば、困った時に「好きな物」が自分を助けてくれる、ということでしょうか。ありきたりだけど結局はここに行き着く。 

 

追記

過去に読んで書いたこのエントリとの比較についても書ければ良かったかと思う。

tabun-hayai.hatenablog.com