津村記久子『ディス・イズ・ザ・デイ』総集編

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津村記久子『ディス・イズ・ザ・デイ』は2017年1月から18年3月にかけて朝日新聞に連載されたのち、18年6月に単行本が刊行されました。

 

朝日新聞連載時と単行本では、話の収録順が変更になっています。

朝日新聞連載時は「えりちゃんの復活」→「若松家ダービー」→「三鷹を取り戻す」という順でしたが、単行本では、「えりちゃんの復活」と「三鷹を取り戻す」が入れ替わっています。

各話は、対戦するチームのサポーター同士が最終節のスタジアムに居合わせるのがこの小説の決まりごとになっています。

1話「三鷹を取り戻す」

 カード  :三鷹ロスゲロス VS 弘前ネプタドーレ

 サポーター:糸川貴志、松下広務

 2人の関係:バイト先が同じ

    表紙:若生賢治(三鷹/監督)、三鷹で暮らした太宰治とのコラボTシャツ、2人がスタジアムで食べたカルビ丼の幟


2話「若松家ダービー」

 カード  :泉大津ディアブロ VS 琵琶湖トルメンタス

 サポーター:若松供子、若松圭太

 2人の関係:親子

    表紙:峰岸青児(琵琶湖/監督)、ディアブロ泉大津/マスコット)


3話「えりちゃんの復活」

 カード  :オスプレイ嵐山 VS CA富士

 サポーター:ヨシミ、えり

 2人の関係:いとこ


4話「眼鏡の町の漂着」

 カード  :鯖江アザレア VS 倉敷FC

 サポーター:香里、誠一

 2人の関係:スタジアムへ向かうシャトルバスで隣に乗った

    表紙:野上芳明(ヴィオラ西部東京→倉敷)


第5話「篠村兄弟の恩寵」

 カード  :奈良FC VS 伊勢志摩ユナイテッド

 サポーター:篠村靖、篠村昭仁

 2人の関係:兄弟

 表紙:窓井草太(伊勢志摩)


第6話「龍宮の友達」

 カード  :白馬FC VS 熱海龍宮クラブ

 サポーター:睦美、細田

 2人の関係:バイト先の同僚

 表紙:細田さんの夫がスタジアムで会っていた熱海のおじさん


第7話「権現様の弟、旅に出る」

 カード  :遠野FC VS 姫路FC

 サポーター:青木壮介、内藤親子

 2人の関係:シーズン初戦に姫路のスタジアムで会った


第8話「また夜が明けるまで」

 カード  :ヴァーレ浜松 VS モルゲン土佐

 サポーター:遠藤忍、広瀬文子

 2人の関係:最終節前日に土佐空港で会った


第9話「おばあちゃんの好きな選手」

 カード  :松江04 VS 松戸アデランテロ

 サポーター:周治、周治の父方の祖母

 2人の関係:祖母と孫

   表紙 :石切秀児(松戸/21番)


第10話「唱和する芝生」

 カード  :川越シティFC VS 桜島ヴァルカン

 サポーター:岩田富生、鰺坂先輩

 2人の関係:吹奏楽部の先輩、後輩。


第11話「海が輝いている」

 カード  :カングレーホ大林 VS アドミラル呉FC

 サポーター:功、堂河内仁美

 2人の関係:離れて暮らす父と娘

    表紙:コルドビカ・イザギレ(大林)、吉内(呉/24番)、功が快速電車で一緒になった祖父と3兄弟

 

 

 

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タイアップに絡めとられだした星野源

8月1日(水)付けの朝日新聞全面広告で星野源の新曲「アイデア」が配信限定でリリースされることが告知されました。

CDでなければ入手できない年配の方もいるのに、朝ドラ主題歌を配信限定でリリース、、、。

今回のリリースは、「365日の紙飛行機」を2曲目にして「唇にBe My Baby」でシングル切ったAKB48以上に間違っているし、何より聴き手に優しくないです。

間違っているとはっきり書いたけれど、星野源サイドにもこうせざるを得ない事情があるのだろうと推測します。

星野源は「Crazy Crazy/桜の森」(2014年6月)以降、シングルには4曲を収録しています。4曲目が自宅録音の「House ver.」であることもお決まりです。

14年 6月「Crazy Crazy/桜の森」
15年 5月「SUN」

15年12月『YELLOW DANCER』(アルバム)

16年10月「恋」
17年 8月「Family Song」
18年 2月「ドラえもん

アルバム『YELLOW DANCER」以降、シングルを3枚リリースし、未収録曲が4曲×3枚と12曲溜まっている状況です。

aikoはシングル3枚→アルバム→シングル3枚→アルバムというルーティーンを守っています。aikoが律儀すぎるのかもしれませんが、シングル曲の収録数が増えると既発曲をまとめただけのベストアルバム感が濃くなっていき、アルバムとしてはまとまりに欠けていきます。

そろそろアルバム制作も始まっていると期待すれば、これ以上シングルを切れなかったのが、星野源サイドにあったのだろうと推測します。

シングル切るとアルバム未収録曲が16曲になるだけでなく、アルバム待望論が更に高まります。それ以上に星野源へシングルのためだけの制作を強いることになります。

配信限定にするとリリース情報を知らないでいる人も出てくるだろうから、その対応として新聞に全面広告を打ったのでしょう。

星野源の多才な活動が全方面から受け入れられるようになり、断ることのできない大型タイアップの依頼が集中していることが今回の事態を招いています。

本稿はアルバム『初恋』を聴いた時の「驚き」から書き進めてきたが、もちろん“Play A Love Song”も“あなた”も“初恋”も“Forevermore”も“大空で抱きしめて”もテレビCMやテレビドラマを通して何度も何度もアルバムを聴く前から繰り返し耳にしてきた。宇多田ヒカルの音楽のファンならば、自分のように「もしアルバムを聴いた時が最初の出会いだったらもっともっと大きな『驚き』があったのに」と夢想してしまう人も少なくないのではないか。「そもそもタイアップ案件があったからこそそれらの曲が生まれたんじゃないか」というごもっともな意見には、「そろそろアルバム収録曲の約半分がタイアップ曲ではない宇多田ヒカルのアルバムを聴いてみたいだけなのに」と返すしかない(「約半分の曲がタイアップ曲ではない」宇多田ヒカルの最後のアルバムは、2001年の『DISTANCE』まで遡らなくてはいけない)。

これはCINRAに掲載された宇多田ヒカル『初恋』についての文章の引用です(筆者は宇野維正さん)。

www.cinra.net

星野源『YELLOW DANCER』は14曲中7曲にタイアップがついているため、星野源にも置き換え可能な指摘であり、星野源の音楽のファンに待っている未来のことでもあります。

ドラえもん」のタイアップがなければ「ドラえもん」は生まれていないし、「逃げるは恥だが役に立つ」の主演&主題歌起用がなければ「恋」は生まれていないのは重々理解しています。

必要は発明の母はその通りなんですが、多くのひとに届くポテンシャルを持ち、そのための条件のそろっている「アイデア」という楽曲が広まりきらないだろうことが残念に思うわけです。

例えば、朝ドラを毎日見ていて主題歌を気に入っている祖母に、どうやって配信限定シングルを届けることができるのでしょうか?

フィジカルでリリースされれば、CDなりカセットを買って渡せば済みます。

配信限定の場合、iTunesでダウンロードしたものをCD-Rに焼かなければいけません。私はSpotify中心でダウンロードはめっきりしていないし、自宅にはネットにつながったパソコンがありません。職場のパソコンはセキュリティが強化されてCD-Rに焼くことはできなくなりました。


一体、どうすればいいのだろうか?

 

同じく朝ドラ主題歌だった桑田佳祐「若い広場」もシングルカットされず、「配信→PV公開→アルバム」という流れでした。

星野源桑田佳祐と同じ事務所「アミューズ」に所属のタレントなので、この流れを踏まえているんだろうな。しょうもないな。

 

似たようなことを考えている方がいました。

face.hateblo.jp

CD販売による収益が得られなくて困るのはレコード会社であって、アミューズ自体はそんなに痛くないんじゃないでしょうか?

だとしたら、アミューズの狙いはどこにあるんでしょうか?飽きさせないため?タイアップ作品を独占しようとしている?アルバムの売上に賭けている?

よくわかりませんね。

「フリースタイル・ダンジョン」2018年7月31日

初代モンスターと2代目モンスターが対戦する「フリースタイル・ダンジョン」シーズン5、rec3。

7月31日放送回は注目点の多い回だったので、まとめました。

いつもは「エキレビ」でのうっすい書き起こしとレペゼン社会不適合者さんのまとめを見て済ませるんですが、レペゼンさん今回は熱が入りすぎてふわっとしたことしか書いてなかったので、、、。


バトル以外でも言えることをバトルで言っているのか問題

「バトルで言っていることを、バトル以外でも言えるのか?」というのは、MCバトルで論点になっていることの1つです。

つまり、「バトル以外では言えないことをバトルで言う=リアルじゃない」という図式です。MCバトルに出場する人には、リアルであることが求められるので成立する論法です。

MCバトルが増えて、ラッパー同士が現場で顔を合わせる機会が増え顔見知りが増えている昨今では以前より有効なディスになっています。

a.k.a.GAMIと対戦した呂布カルマ、FORKと対戦したR-指定がこの論法を砕く返答をしていました。

まずは、呂布カルマ

a.k.a.GAMI

マイク持つとなんで豹変 
いやいや いらねんだよ 
そんな嘘臭い表現

呂布カルマ

そう いつものように続けるリアルなラップ 
あそこ(入場ゲート)をくぐる 
マイクを握る 
スイッチが入る俺は俺でなくなる 
ラッパーになる 
呂布カルマとしての仕事を全うする

続いて、R-指定

FORK

お前はステージに登ると急に生意気 
いきなり鼻息荒くしてるけど 
マジで世が世だったら 
無礼過ぎて腹切りして早死にしちまうような 
ハヤジニー発言だよ 
問題だ 荒れるぞインターネット 
今日はお前がターゲットだよ

※世が世なら … 2003年「FORK=般若」戦の後に判定を巡って揉めたことがあったようです
※ハヤジニー発言 … 椿が指摘したMCバトルでのミソジニー(女性蔑視)発言
※荒れるぞインターネット … 2014年3月31日「笑っていいとも!」最終回でとんねるず爆笑問題の乱入を受けて松本人志が「ネットが荒れる!」と繰り返した

R-指定 

俺がターゲット 
その荒い言葉使いに絶句する 
Checkする 切腹せずライムとsexする 
それが俺のやり方 
Zeebraの前だから鼻息荒くもなるわな

呂布カルマは、MCバトルだから現場の延長とはいえ、テレビのショーなんだから呂布カルマとして求められていることを発言するというスタンスを明らかにしました。

R-指定は、年代の違うFORKに向かって「お前」を連発し「バカ」とまで言っていたことを生意気と指摘されたわけですが、(FORK以上に)憧れていたZeebraが見ているんだから鼻息荒くなるし、格好悪いところは見せられないという、再び「フリースタイル・ダンジョン」に呼ばれたことへの意義を明らかにしました。

 

FORKの進化

第3ラウンド

やり方が全然入ってこないぜ
限界超えてやる 常に全開だよ 
まるでシェイクスピアも驚きの展開 
まるで宇多田ヒカルの歌詞 
疑いなく俺の方がヤバいと言わす 
Automaticにこの勝負は決まる 
お前のTravelingもここまでだ 
煙草のFlavorが残ってるうちに終わらす 
2時間もかかんねぇバカンスだったな

「人生最高の日(シェイクスピアだって驚きの展開)」、「Automatic」、「Traveling」、「First Love(煙草のflavor)」「二時間だけのバカンス」と宇多田ヒカルの引用で畳みかけたFORK。
R-指定とのバトルが最終までもつれ込み、最後自分で締めるという意識から奥の手を使ったんだろうと思う。
一人の歌手の、ここまで多くの作品を、これだけわかりやすく出してきたことはなかったから、観客がFORKに感じているマンネリをFORK自身も意識していて、それを打開しに行ったんだろう。

バトル前にR-指定が「(FORKは)カッとならない。冷静に淡々と上手い言い回しを続けていく。(それはスタイル何だろうが)チャレンジャーが熱くなった時に、チャレンジャーの方にお客さんが持っていかれる(原因になっている)」と指摘していましたが、熱くなったFORKを見ることができました。

第1ラウンドでR-指定が「FORK、ストレートで来いよ」と言っていました。

野球のフォークボールとかけているのはそうなんですが、それ以上に、「いつもはチャレンジャー相手に上からライムについて説教してるけど、俺には必要ないから説教抜きでバトルしよう」という意味があったんだろうなと思いました。

 

引用でいうと「R-指定=FORK」戦の前、サイプレス上野戦の呂布カルマも意外な引用をしていました。

ぶっちゃけ 初代弱ぇな 嘘じゃねぇよ 嘘じゃねぇよ
BAD HOP Benjazzyみたいなフロウでもかませるぜ 

 BAD HOPのT-Pablowがいるからでしょうか?

BAD HOPの「2018 (feat. Vingo & Benjazzy)」からBenjazzyのverse「嘘じゃねぇ 嘘じゃねぇ」をサンプリングしていました。

行き場の無いHaterの妬み
俺等がサボったらパクられたって
勘繰って喜んでるお前の事
皮肉だろじっとしてるお前らの
嫉妬のおかげで俺らまた一歩づつ
理想に近づいてくきっと
嘘じゃねぇ 嘘じゃねえ
手に入れる欲のまま
描いた理想の上を行く俺の路上の夢
まためちゃくちゃ
美人なBitchと仲間がしけこむ

「2018 (feat. Vingo & Benjazzy)」BAD HOP

 

「R-指定=FORK」戦の判定について

1対1で迎えた3ラウンド目。

R-指定は「リアルじゃない問題」への返答をし、FORKは宇多田ヒカルの引用を重ねたのが第3ラウンド。

今まで見せてこなかった落とし方をしたFORKの勝ちだと思ったのですが、まさかのクリティカルでR-指定の勝ち、、、。審査員は宇多田ヒカルの引用を5か所理解できていたんでしょうか?


二代目モンスターの4人目は誰なのか問題

第2ラウンドでR-指定が「誰1人として4人目の器じゃないんだよ」と指摘していました。

「フリースタイル・ダンジョン」は5人勝ち抜き制をとっています。初代モンスターの時は、R-指定は4番目に登場し、チャレンジャーが般若に挑むのを何度も阻止していました(呂布カルマは阻止され、崇勲は突破しました)

4人目の器かどうかはおいておくとして、二代目モンスターでは誰が4人目なのかはっきりしません。裂固、崇勲、ACEはランクが一個落ちるから違うとして、FORK、呂布カルマ輪入道が4人目に当たるはずなのですが、二代目の場合は4人目に誰が出るのか固定されていません。

誰が出るのかわからないところが二代目モンスターの面白い一面です。ただ、「待ってましたR-指定!」「アール、止めてくれ!」と初代のときに思っていたけど、二代目になってからこういう気持ちになっていないことを思い出しました。

R-指定が「負けたとしても、片目奪う気持ちでやっていた」と言っていましたが、それはつまり、R-指定が登場することでチャレンジャーに傾きかけた流れをモンスター側に戻そうとした、ということです。
peko、MCニガリa.k.a.赤い稲妻、Lick-Gいずれの場合もスルスルっと般若までいった印象があり、2人が般若を倒しました。

4人目を誰が引き受けるのか。二代目のなかで遠慮しあっているのか、誰も覚悟を決めないのか、、。輪入道は鉄砲玉というかかき混ぜるイメージがあるので、呂布カルマが4人目で居座るのがいいと思うのですが、どうか?

R-指定勝ち抜いて呂布カルマとの再戦して、何らかの問答があり、呂布カルマのモンスターとしてのスタンスに変化が生まれることを期待しています。

津村記久子『ディス・イズ・ザ・デイ』(カングレーホ大林の不在を埋める『この世にたやすい仕事はない』)

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杜王町、仙醍キングス、EAST TOKYO UNITEDなど小説やマンガに出てくる架空の町やチーム。どこかのチームの熱狂的なサポーターでなければ、実在する町やチームに対してより親近感が持てるはずです。

2015年10月に刊行された『この世にたやすい仕事はない』には「カングレーホ大林」というサッカーチームが出てきました。

2017年1月から朝日新聞で連載がはじまったサッカー2部リーグを舞台とした小説『ディス・イズ・ザ・デイ』。

カングレーホ大林は最終話に登場しましたが、アウェイで、最終節前に1位で上位リーグへの昇格を決めていたためか、消化試合のような描き方がされていました。エンブレムのデザインについての記述もなく、話の中心が、同じチームのサポーターになっていた交流がなく離れて暮らす父と娘に寄っていたため、余計にその印象が強くなりました。

カングレーホ大林のことを思い出すために『この世にたやすい仕事はない』に収められた「大きな森の小屋での簡単なしごと」を読み直しました。

『この世にたやすい仕事はない』は、前の職場を退職した主人公が職を転々としていく短編集で、その5つめの職場が、大林大森林公園内にある小屋。

カートには、公園にホームスタジアムが隣接しているサッカークラブであるカングレーホ大林の、タカアシガニがあしらわれたエンブレムが塗装されている。(中略)スタジアム建設時に、タカアシガニの化石が大量に発掘されたので、カングレーホ大林のエンブレムにはタカアシガニが登場するらしい(後略)

 カングレーホ(cangrejo)はスペイン語で「蟹」という意味です。

カングレーホ大林が昨シーズンの終わりに2部への降格が決まり、それと同時にスペイン出身のバスク人、コルドビカ・イザギレは家庭の事情で帰国してしまいます。
降格と同時だったので降格したチームを見切ったと思われていたそうです。しかし、大病を乗り越えた父親の看病を終えイザギレは復帰します。

半年後に、イザギレは日本に戻ってきて、降格したカングレーホ大林と契約し直して、今も元気にプレーを続けているらしい。カングレーホ大林は、先週昇格を決めたとやはりネットのニュースで見かけた。

イザギレだけでなく、百合岡という選手も登場します。

センターバックの百合岡がね、U21の試合で頭から血を流しながらヘディングでゴールしたことがあって、それを見てファンになって、それが高三の秋のことで、そのままここに就職を決めました。

カングレーホ大林の、コルドビカ・イザギレ選手と百合岡純選手が駆けつけてくださいました!と司会者は言う。(中略)百合岡純は、イザギレとは逆に、思ったより大きかった。もしかしたら190センチはあるのではないか。

カングレーホ大林は1部リーグから降格後、1シーズンで2部リーグに昇格します。

つまり、『この世にたやすい仕事はない』で描かれた1年間は、『ディス・イズ・ザ・デイ』で描かれるシーズンと同じ1年間なのです。

『ディス・イズ・ザ・デイ』はWeb本の雑誌「今週はこれを読め」(評者:松井ゆかり)「一冊の本」6月号(評者:木村俊介)などネットでも読める書評だけでなく、各文芸誌に掲載されたものも読みましたが、カングレーホ大林や「この世にたやすい仕事はない」に触れている書評はなかったので、カングレーホについてを中心にまとめました。

『ディス・イズ・ザ・デイ』を補完するのが『この世にたやすい仕事はない』です。

「この世にたやすい仕事はない」の画像検索結果

 

最初に読んだときの感想。刊行から4年近くたつのにまだ文庫化されていない。

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アナログフィッシュ「Pinfu」

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アナログフィッシュ『Still Life』の最終曲であり、呂布カルマが客演した「Pinfu」。

「Pinfu」=麻雀の役「ピンフ」=「平和」のことです。

 

「作詞 下岡晃、呂布カルマ」とありますが、ブックレットには呂布カルマ部分の歌詞は掲載されていなかったので、書き起こしました。

呂布カルマは発音がこもっており、下線の箇所は聞き取りが甘いので、気づいた方は教えていただけるとありがたい。

 


Pinfu

 

この街は平和に見える


事件性なし 単純明快 迷彩服着て 街で目立ちたい
全て正解で何でもあり 君の携帯に聞いてみなさい
綺麗 汚い 趣味の問題
ドンマイ ドンマイ 気にすることない
大人になっても毎月小遣い
どうぞお先に 僕は行かない


この街は平和に見える


痴漢冤罪被害 ぼったくり被害
もういいかい まだ駄目みたい
眠剤人体実験中 笑いたい 気持ちはエッセンス
ノーセンキュー 年中セール中
~~~中 同じに見える
偏頭痛 えぐるテンプル
エム デト スケベ 助けて

くれたお礼に 君の奴隷に 
政治のせいにして 可能性に蓋をして笑う
大丈夫 元気
それでもあいつよりは全然良い
月曜日まさに天変地異
カート・コベインかジミ・ヘンドリクス
シックス 見える筋書き きっと演技
吐き気抱える洗面器
何も分かってないから良い
俺ら可愛い子にはめっちゃ優しい
またしたくなったら Call Please
逆に知りたくないこと多過ぎ
Top Secret 酔っ払ってツイート
翌朝消しても拡散済み
とっくにもう次が控えてて
様子見みしてる また用済み

十人十色 混ぜると糞の色
シュッと命令が俺のところにも
いくら悔やんだって もう元に戻ることは二度とない
ほとぼりの冷めた頃 ふざけたこと
また性懲りも無く繰り返してやれ
綺麗事でさえ手垢にまみれる それでも何か期待して街へ出る


この街は平和に見える

椿とAマッソ加納

2018年2月7日、10日に放送された番組についてです。「フリースタイルダンジョン」はAbema TVで、「ゴッドタン」はTVerで見て、直後に書き始めたのですが、まとめる前にゴッドタンの配信期間が終わり、地元のテレビ局での放送を待っているうちに時間が経ってしまいました。

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「フリースタイル・ダンジョン」と「ゴッドタン」で、椿とAマッソが問題提起をおこなっていました。

問題提起の内容は、女性ラッパー/女性芸人の立ち位置や求められること、取り巻く環境について。男性メインの場に乗り込んでいくことにはまだまだ苦労が伴うようです。

椿は2017年3月に3人組の「TEAM CINDERELLA MC's」として出演した際に、ミソジニー(女性蔑視)発言がばんばん向けられているのに会場が沸いていたことに対して怒りを持ったと紹介VTRで話していました。

女性ラッパーは、MARIA(SIMI LAB.)、Awitch、NENE(ゆるふわギャング)、chelmico、あっこゴリラ、ちゃんみなと増えてきていますが、「フリースタイル・ダンジョン」に出演したのは、椿とチームを組んだあっこゴリラ、FUZIKOくらいで、単独では椿のみです。

「シンデレラMCバトル」という女性のみの大会が開催され徐々に裾野が広がりつつあるようですが、メインのバトル大会や「フリースタイル・ダンジョン」には参加できていないのが現状です。

バトルに出場するフィメール・ラッパーが少ないため、相手をする側にフィメールを攻撃する引き出しがすくなく、ブサイク、貧乳、男好き、モテない、といったミソジニー寄りの発言が増えるのでしょう。観客側にも引き出しやジェンダーの目線がないのもあるし、単純にプロップスの高低差に沸いていたのかもしれないし、それは何ともわかりません。

肝心のバトルの内容は、何とも煮え切らないものでした。

ミソジニー批判を看板に出てきたのが、そもそも失敗です。いきなりそんな看板を掲げられたら田嶋陽子のようにフェミニストおばちゃんと受け取られてしまいます。ミソジニー批判に対する決意は最終ラウンドの「下とかじゃない上とかじゃない見せつけるジェンダーレス 大事なのは変化です/不可能と言われた青い薔薇だってできたように私はやってやる」という箇所のみ。

「モンスタールームに女がいない理由は?」という呂布カルマの問いかけに「OKかわいい担当は崇勲がいるからだろ だから女がいねぇんだ/セクシーはLilyに任せとけ かわいいは崇勲に任せとけ」と返していましたが、かわいいとかセクシー以前に、実力不足だからでしょ?と思ってしまいました。

MARIA、Awitchくらいプロップスのある人がフリースタイル・ラップ・バトルに興味を持っていない現状では、モンスターに見合う人材が見当たりません。

 

というようなことを思いながら過ごしていたら、「ゴッドタン」の「クサリ芸人セラピー」にAマッソが出演し、女性芸人はネタ以外のことが求められている。アンケートの内容は「彼氏の有無/経験人数」という女としてのリアルしか求められていないと訴えていました。

キャラで売っていくことはしないのかという問いに対して「嫌っすね」と答える加納。

そんな加納に向けて劇団ひとりが熱く語っていました。

ニュートラルに売れたいのはどの芸人も最初は思うことなんだけど、なんか1個(キャラや特技を)お土産で持って行ってそれを入り口にして隙間で「僕こういうことできます」と言っていくうちに自分の価値があがっていく。

 

(普通を装っていたら)番組に呼ぶ側は誰を呼んでるかわかんない(だからキャラを作ることで番組のキャスティング・ボードに乗せてもらいやすくなる)

Aマッソのことは、M-1グランプリ2017の敗者復活でしか見た事ありませんが、その時に感じたの「立ち姿が美しくない/サマになっていない」ということ。落ち着きがないように見えました。

M-1グランプリで決勝にもあがれていないのに、ネタ以外のことが求められていると嘆かれても、勘違いしてない?と言いたくなります。

そもそもネタ番組が週に何本放送されているのか調べたことがあるのでしょうか?

バナナマンはテレビでレギュラー番組を何本も抱えていますが、年1回のコントライブをやり続けています。

ネタだけやって売れたいってのは、現状を認識してませんと言っているようなものです。努力もせずに、理想だけで「腐り芸人」を気取ってんなよと。

 

< 番組放送から半年経って >

椿に続いて「フリースタイル・ダンジョン」に登場したフィメール・ラッパーはいません。そもそもここまでに名前を挙げた以外のフィメール・ラッパーにここ半年で出会えていません。フィメール・ラッパーは増えていないようです。

Aマッソ加納は5月からWebちくまで「何言うてんねん」というエッセイの連載をはじめました。

www.webchikuma.jp

コントで迷う事がある。医者を演じることはつまり、女医を演じることになってしまう。意味合いが大きく変わってくるのだが、女が演じるのだから当然だ。そんな当たり前を、うまく咀嚼できない。私はコントで、聴診器を使って遊びたかっただけだ。

(2018年6月27日更新  第2回「こいつの足くさいから洗ってんねんー!」)

悩みはまだ解決してないようですが、文章は抜群なので、このまま書き続けてほしい。

ソールドアウトしなかったフジロック2018

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今週末、7月27日(金)から3日間にわたって開催される「フジ・ロックフェスティバル2018」。私はチケット買うか迷っていましたが、結局行かないことにしました。

「3日間通し券」と「土日券」は売り切れたようですが、他の券種は売れ残り、当日券が売り出されるそうです。

「3日間通し券」「土日券」はフジロックが毎年の習慣になっている「フジロッカーズ」の皆さんが一定数いることの証左であり、これが売り切れなかったらフジロックは終了です。

毎年行くわけではないけれど、ラインナップ次第で考えるという人たちもいます。この浮動票の動きを判断する目安が「1日券」の売れ行きです。

フジロックが偉いのは、サマソニ、ロッキン、エゾロックをはじめとする9割くらいの音楽フェスと異なり、金曜日も開催するところです。週末とはいえ平日に休みを取れる人が多くないのもわかりますから、金曜日の1日券は(ビヨンセアリアナ・グランデ、ドレイク、ウィーケンド、フランク・オーシャンがラインナップされるとか)よほどのことがない限りソールドアウトしないでしょう。

なので、土曜日と日曜日は売り切れなかったのかがラインナップが魅力的であったかどうかの指標になっています。


ステージの大きさ、順番、告知から考えて今年の日別の売りは以下の3アクトです。

27日(金) N.E.R.D、サカナクション、ポスト・マローン

28日(土) ケンドリック・ラマー、スクリレックスブラフマン

29日(日) ボブ・ディラン、ヴァンパイア・ウィークエンド、チャーチズ


ポスト・マローン、ケンドリック・ラマー、ボブ・ディランは凄い、ただ、、、。

今年の傾向として、メインのグリーン・ステージ、セカンドのホワイト・ステージにラインナップされるのが、ロッキンジャパンやエゾロックなど国内フェスに出そうなバンドばかりで、フジロック感が薄いなと感じました。

サカナクションモンゴル800エレファントカシマシMy Hair Is BadThe BirthdayマキシマムザホルモンブラフマンユニコーンMISIAcero、、、、。

フジロックは海外アクトを招聘するフェスであるから、それぞれへの好みは抜きにして、国内ツアーを回り、大規模会場で単独公演を行うことのできるバンドの1時間程度の持ち時間では、参加のモチベーションにはなりません。

昨年のPUNPEE、一昨年のKOHHがホワイトステージに登場したような、大々的なフックアップが今年は欠けていました。5lack、D.A.N.、Superorganismあたりはホワイトを任せるべきだったんじゃないでしょうか。

これ以上のことはわからないので、自分に即して書きます。

私はケンドリック・ラマー目当てで土曜日に行くことを検討し始めましたが、他のスロット(slot/位置、場所)が悪くて断念しました。

土曜日に見たかったのは、D.A.N.、Superorganism、小袋成彬シャムキャッツ、5lack / PUNPEE(DJ SET) / Chaki Zulu(DJ SET)。

いずれもレッド・マーキーというテントの中で、後半3アクトはケンドリック終わったあとの真夜中の部。

せっかく「フジロック行ったのにテントの中で過ごすのはなぁ、、、」とか「単独参加だと駐車券買えないから駅に車停めても、ケンドリック終わったらシャトルも終わるしなぁ、、、」となり、これを乗り越えるモチベーションがなかったので、断念した次第。

アンダーソン・パークがケンドリックの前で、5lackが昨年のPUNPEE、一昨年のKOHHのようにホワイトステージ(第2ステージ)なら、、、というのは尽きません。


願わくば、ゲストのサプライズ招聘や熱演がYou Tube越しに伝わってくることを。

 

来年、2歳のあかりを連れて参加できればなと思う。イヤマフ着用で。

アジカンからのお願い 最近はライブ会場で未就学や小学生の児童を見かけることが増えました。...|Gotch / 後藤正文 / ASIAN KUNG-FU GENERATION / ゴッチ