「みずず」2017年1・2月合併号「読書アンケート特集」
年末に各誌で発表される「年間ベスト」。
その末尾を締めるのは、みすず書房が発行するPR誌「みすず」の「読書アンケート特集号」。今号では146名の方が5冊以内という規定の中で選んでいます。
「本の雑誌」や「ダ・ヴィンチ」でランクインするエンタメ小説はほとんど紹介されず、学術系の書籍が中心になるのが「みずす」の特徴です。
(年間ベストといえば、マガジンハウスが発行していた雑誌「ダカーポ」で発表していたBook Of The Year。休刊後はWebで発表していたけれど、14年を最後に発表されてないので、ぜひとも復活して欲しい)
私の行動範囲に置いている書店がないので、みすず書房に410円分の切手を送って入手した「みすず」。
やはり、ずっと鞄に入れたままだった「みすず」読書アンケート号もパラパラ。結局、いつもここに挙げられる7割ぐらいは(自分にとって)難しい興味外の本で、どうしても興味のある人や、やわらかめの本ばかりに目が向いてしまう。武藤康史が吉野朔実の本を挙げていて、ヒャハッとなったり、上野千鶴子は『おばちゃんたちのいるところ』よりも『ワイルドフラワーの見えない一年』のほうがお気に召したのかと思ったり。毎年、この特集号を待ち遠しく感じるわりには、心から楽しめていない気がするが、なにはともあれ一年の締めくくりはこれ。
と、yomunelさんも2月9日付の日記に書いていますが、私にとっても興味外の本ばかりでした。
誰かが「いい」と言っているのを耳にして、「はたして本当にいいんだろうか?」と疑いつつ、それでも少ないお小遣いから買った以上「よくなるまで聞く」。
するとその向こうに大きな世界が待っていた、ってことがちゃんと起こっていたんです。よくわからないながらもちょっと無理して聴き続けることで、いやらしい言葉だけど、リテラシーが上がっていくんだよね。もちろん、最終的に好きになれないこともあるよ。
でも、なぜ好きじゃないのかを考えることで、逆に好きなものが見えてきたりもするでしょう? 最近ね、みんな「好き/嫌い」をすぐに判断しすぎなんです。
自分の世界を広げてくれるのは「本の雑誌」や「ダ・ヴィンチ」が紹介する本ではなく、「みすず」なのかもしれないです。
世界が広がるのは先のことですが、今の時点で気になったことを挙げてみます。
服部文祥(登山家・作家)が石塚真一『BLUE GIANT』を選んでいました。
寄せられたコメントは「ジャズマンガ。ユキノリの境遇はあんまりです」。
コメントで触れられた「ユキノリの境遇」とは、17年3月に刊行される10巻に収録されるエピソードのことだと思いますので、このことから服部文祥さんは「ビッグコミック」本誌で『BLUE GIANT』を読んでいることが分かります。
杉田英明(比較文学・比較文化)が『木佐木勝日記』を選んでいました。
しかし、書籍の説明には、木佐木勝『木佐木日記―滝田樗陰とその時代』図書新聞社、1,965年12月刊、続編『木佐木日記』第2巻、第3巻、1975年8-12月刊、、、とありました。
杉田先生は、16年11月に中央公論新社から『木佐木日記』が上下巻で発行されたことをご存じないのでしょうか。
栩木伸明(アイルランド文学)が『村上隆のスーパーフラットコレクション―蕭白、魯山人からキーファーまで』を選んでいました。
「美術家村上隆の膨大なコレクションから1,300点あまりを選び、横浜美術館でおこなわれた展覧会のカタログ」とのことで、横浜美術館のオンラインショップで購入することができます。税込、10,800円。
村上隆といえばパクリでのしあがったのに、神戸のアニメストリートが目玉を模したロゴを作ったら、俺の作品のパクリだと難癖をつけたことで知られています。とはいえ、08年に作品が16億円で落札されたのを筆頭に、各オークションでの高額落札が続いており、そのお金の使い方に下世話な興味があったのですが、作品購入に使っていたらしいことが分かりました。
資産を増やしている実業家としての面が全く好きになれないのですが、何を買っていたのか興味があります。とはいえ、10,800円、、、。
村上隆といえば、KANIE WEST「GRADUATION」のアートワークを手掛けてもいるのですが、その頃のKANIE WESTはNIGOのやってたTERIYAKI BOYZにも参加してMステ出たりしたようだから、恐らく色々迷っていた時期だったんじゃないですかね?知らないですけど。