夜ドラ「あなたのブツが、ここに」

宅配ドライバーをテーマにしたドラマが始まると目にして、面白そうだなと思った覚えはある。しかし、いつからはじまるかを確認してなかったので、気づいたらはじまっていたらしい。

2週目終わりくらいの深夜に一挙放送されたのをラテ欄に見つけて録画し、一気に見た。

知っている俳優は「妻は小学生」に出ていた毎田暖乃さんと、端役で出ていた「きつね」の2人、ゆうちゃみくらい。

宅配ドライバーというテーマは珍しい題材であるが、話の骨格としては挫折した主人公がギアを変えて奮闘するというオーソドックスなものであった。

それでも飽きずに、それどころか次回を楽しみにしたりオンタイムで見る日もあったりするのは、脚本や演出が丁寧に作られており、出演する俳優がうまかったから。

良いドラマは、そのドラマに出ていた人たちがどんどんスターになっていきます。

「あなたのブツが、ここに」に出ていた人たちも売れっ子になっていくのでしょう。

 

主演の仁村紗和さん。

女優に転向したモデルなのかと思いきや、朝ドラや大河ドラマ「晴天を衝け」にも出られており、私の網にかかっていなかっただけでした。

キャバ嬢から宅配ドライバーへの転職のグラデーションをうまく表現しており、副社長(山﨑静代さん!)が言うように、顔つきが変わっていきました。

 

主人公の娘役の毎田暖乃さん。

「妻は小学生」に続いてみることができましたが、個人的な今年の新人女優賞、助演女優賞は確定。

 

マルカ運輸の先輩ドライバー役の津田健次郎さん。

主戦場は声優とのことですが、ドラマや映画への出演オファーも殺到していることでしょう。

 

マルカ運輸の社長役の岡部たかしさん。

録画してあった「ダマせない男」(2022年3月)や「17才の帝国」(2022年5月)を見たら両作品に出られており、既に売れっ子であったのかと気づいた次第。

「17才の帝国」では、うって変わって静かな演技をしており、幅の広さに驚きました。

 

主人公・亜子の別れた夫役の平埜生成さん。

朝ドラ「カムカムエヴリバディ」では太秦の誠実な社員である榊原さんを演じていたのに、ここでは別れた妻に金を借りに来るダメ男を演じていました。

お好み焼きや娘にもらった飴を吐き捨てていて嫌なヤツだと思っていましたが、最終話の前で亜子の元を去る際に、もらった飴を強く握る手のアップが映され、変わろうとする決意をみました。真っ当な人生を歩みだすのだろうと思う。

 

ミネケン役の佐野晶哉さん。ジャニーズの若手(20才!)とのことで、まぁ、放っておいても売れっ子になるんでしょう。

平日の昼間に家にいた中学生・佐伯里奈を演じた高橋真彩さん。今は関西が拠点のようですが、全国区になるのでしょうから今のうちに覚えておきます。

 

主題歌はウルフルズバカサバイバー」。

既発曲を主題歌にするのは、音楽業界とドラマ業界の政治ではなく、作り手がドラマに沿った曲を選んだということ。

バカサバイバー 生き残れ

コロナ禍でも生き続けること、生活を続けなくてはいけないことがテーマの作品にこの歌詞はあっていました。

関西弁の曲ということでもウルフルズの起用は理にかなった選択でした。

個人的に週はじめの重い予感に気は沈みましたが、「バカサバイバー」の曲の勢いに助けられました。

 

舞台は兵庫県の尼崎とのことですが、俯瞰で撮影された片道3車線の道路は抜けが良く、ロケーションも素晴らしいドラマでした。


NHK総合の10時45分からの「夜ドラ」という枠。今週の「星新一」を挟んで、次週から「つまらない住宅地のすべての家」が始まるという。

津村記久子の最近の傑作である「つまらない住宅地のすべての家」が、いつのまにかドラマになっていた。

津村作品なので内容が素晴らしいのは当然として、舞台は10軒程度の団地で、大規模なロケを必要とするシチュエーションではないから、良い作品に目を付けたと思う。

楽しみである。