子どもの本の国の豊かさ

昨年発行された小山健「お父さんクエスト」、山崎ナオコーラ「母ではなくて、親になる」、池谷裕二「パパは脳科学者」の3冊が育児本のジャンルでは今後長きに渡ってのベストです。これは確定です(ブック・オブ・ザ・イヤーで無視されてんのは何でだ?)。

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「あかり」の産まれる前後から「育児本」が気になりだし、産まれて半年を過ぎた今は「絵本」が気になりだしました。

自分が親になったことで、育児本や絵本のシーンの充実ぶりに気づくようになりました。

私自身が親になった以外にも要因はあって、以下の2つが私の仮説です。

・作家(マンガ家、小説家、研究者)が親になった
・育児の悩みの解決方法や子育ての仕方の例を書籍に求めるようになった

前者について。
フィクションを主戦場にしている作家が、子どもが産まれたのを機に子どもについて書いてみたくなった/子どもについて書くことを依頼されたというケースがほとんどです。
小山健さんは連載に向けた打合せのなかで、妻が妊娠したから育児マンガを書いてみようかと提案し、傑作「お父さんクエスト」にまとまりました。

後者について。
子どもを持つ夫婦と交流をもつのがベストですし、手早いんですが、子どもの年齢が同じだからといって、親の年齢も同じであるとは限りません。第一子かそれ以降かの違いもあります。親の年齢を考慮に入れないにしても、その夫婦とベッタリになるのは面倒で、付かず離れずの関係を築く自信もないし、、、。何より地元の友だちが結婚してないし、子どももいないという、、、。
かつては子供がもっとたくさんいて、近所づきあいが頻繁にあって、勝手に情報が入って来たのかもしれないですが、アパート暮らしの現在は全くなので、育児本に救いを求めるようになりました。

私の場合は、以前から知っている作家が育児本を書くようになったので買いましたが、書店に行くと誰だよ?という著者のよくわからんふんわり系の本が山ほど溢れています。なかには私にしっくりくるのもあるんでしょうが、なかなか、、、。


「あかり」が7か月になり、何とかご飯食べてりゃ育つんじゃないのか?と楽観できてきて、育児本の決定版3冊が決まったことで、絵本に興味が移っています。

絵本というジャンルは、文庫本と同じくロングセラー作品(「だるまさん」シリーズ、「いないないばあ」、、、)も多いのですが、イラストレーターや小説家、広告が主戦場のデザイナーなど他のジャンルの作家が続々と絵本を製作するようになっています。カラーページのみなので、アートブックとしての趣もあるのでしょう。

「あかり」の産まれる前は、2014年に高野文子「しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん」、松本大洋「かないくん」が相次いで出版されたことを知った程度の接点(知識)しかありませんでした。

「あかり」が産まれてからは自分の趣味と子どものためという両輪に突き動かされて片っ端から手を出しています。

小沢健二「アイスクリームが溶ける前に」、伊坂幸太郎「クリスマスを探偵と」、大塚いちお「もののえほん」、「かたちのえほん」(3冊箱入り×2種類!)、鈴木康広「ぼくのにゃんた」、えぐちりか「パンのおうさま」、「パンのおうさまとシチューパン」、わたなべちなつ「ふしぎなにじ」、「かがみのサーカス」、谷川俊太郎×佐藤可士和「えじえじえじじえ」、田名網敬一「ハテナちゃんとふしぎのもり」、中村至男「どっとこ どうぶつえん」。

その他に小山健さんがTitterにあげた1ページマンガの余白に記した一言で紹介されていた「ゆびさしちゃん」、新聞広告が載っていた「ぱかっ!」も買いました。

買ってばかりではなく、住んでる自治体ではブックスタートということで絵本のプレゼントがあり、岸田衿子×堀内誠一「かにこちゃん」を選びました(もらったことをFacebookに載せたら堀内誠一さんの娘である堀内花子さんに届き、「いいね!」が来ました)。

今は、山崎ナオコーラ「かわいいおとうさん」、鈴木康広「りんごとけんだま」が気になっています。

絵本と一括りにしても、難易度についてはばらつきがあります。

「ぱかっ!」「ゆびさしちゃん」はそろそろわかってもらえそうで、「アイスクリームが溶ける前に」「クリスマスを探偵と」は大人向け。5段階に分けるとこんな感じでしょうか。


1 「ぱかっ!」「ゆびさしちゃん」
2 「もののえほん」「かたちのえほん」
3 「かがみのサーカス」「パンのおうさま」「かにこちゃん」「どっとこ どうぶつえん」
4 「ぼくのにゃんた」「ハテナちゃんとふしぎのもり」
5 「アイスクリームが溶ける前に」「クリスマスを探偵と」


熱心に色々買って読み聞かせても、7ヶ月の子どもは絵本すぐに舐めようとして慌てて止めて、もっと読んでとせがんではきません。

でも、まぁ、ゆっくりでいいんだ。

おとなになんか ならないで
ぼくのbaby ぼくのbaby

秘密のままで輝いて
ぼくのbaby ぼくのbaby

朝は素敵 いつも
夜は不思議 いつもそう

時はすぐにきみを
つかまえてしまう いつだって

曽我部恵一「おとなになんかならないで」