Creepy Nutsについて思うこと

Creepy Nutsクリーピー・ナッツ)が一番目立っているヒップホップアーティストであることに異論はありません。
楽曲の多くにタイアップが付き、テレビにもよく出ています。「生業」「のびしろ」「バレる!」あたりはよく聴いているが、決して悪い曲ではありません。

とはいえ、ヒップホップ界隈では相手にされていないように見えます。

認められていない雰囲気を感じ取りR-指定は「覇王になりたい」と意識せざるをえないのではないでしょうか?(※「あちこちオードリー」出演時の発言)

R-指定は「ラップスタア誕生」の審査員をしていますが、RYUZO、AKLO、Awich、IO(KANDYTOWN)、T-Pablow(BAD HOP)、YZERR(BAD HOP)といった面々のなかで浮いているようには見えず、的外れなことも言っていません。

Creepy Nutsのヒップホップ村での扱いの低さはどこに起因するのでしょうか?理由を考えてみたいと思います。

THA BLUE HERBとRHYMESTAR、THA BLUE HERBYOU THE ROCK☆のように時間が解決するのかもしれない、と考えましたがCreepy Nutsはアーティストからディスられているわけではないから例えが違いました)

(0)ZORNとの違い

単純に売れているから嫌われているのでしょうか?

Creepy Nutsくらい売れているZORNと比べてみました。

Creepy Nutsのラジオにゲスト出演したり、輪入道とDJ松永の3人でプリクラを撮ったり、MCバトル出身だったり、武道館や横浜アリーナでのライブ経験など共通点の多いCreepy NutsZorn

R-指定は般若からダンジョンのラスボスを引継ぎ、ZORNは般若の主宰する昭和レコードに所属していたので、般若という共通点もあります。

共通点はあるがプロップスという点では大きく差があります。

この違いはなんでしょうか?

出自や見た目はおいておくとして、楽曲へのゲストなど他のラッパーとの交流、テレビ出演あたりでしょうか?

(1)テレビへの出演

フリースタイルダンジョン」以降、継続してテレビに出続けているから、世間的にはCreepy Nutsがヒップホップの代表として見られています。テレビに出て汚部屋を掃除したり恋愛ドラマにコメントしたりをヒップホップの活動として認めたくないという気持ちがCreepy Nutsの低評価に繋がっているのではないでしょうか?

マツコ会議」でテレビ出演については「事務所に任せている」とDJ松永が言っていました。主体性のない発言でガッカリしました。

「ラップスタア誕生」でのYZERRの「ブランディングが大切」という発言をR-指定はどのような気持ちで聴いていたのでしょう。

アメトーーク」で「かまいたちビックリ芸人」が成立するように、お笑い芸人が露出を増やすことは正義とされています。それは芸人とテレビの親和性が高く、芸人のゴールがテレビの冠番組というところに設定されているからです。

ECDは亡くなり、ZEEBRAはテレビと不倫で、K DUB SHINEはあんなんで、宇多丸ラジオDJと年長者の活動が活発ではありません。ラッパーのゴールがテレビに出ることではないのは当然なのに、テレビタレントのような売り出し方をされています。Jay-zカニエほどのロールモデルが日本で定まっていないことにCreepy Nutsの不幸の一端があります。

(2)権威に寄っている

テレビ出演時の肩書は、UMBフリースタイルバトル3連覇、DJ世界一、東京オリンピック閉会式に出演。

これはCreepy Nutsの責任ではないが、わかりやすく括られ、その括られ方が権威に寄りすぎていないでしょうか?

R-指定にもDJ松永にも下積みはあるはずですが、現状の括られ方ではスポーツのように競技

化した大会で優勝し、政治に利用された政府の犬に見えます。

少しずつ支持を広げて名前を大きくするのが理想ですが、現状ではテレビや競技化された大会、政府の力を使って名前を大きくしているように見えます。

(3)他のアーティストとの交流がない

R-指定は「ラップスタア誕生」や「フリースタイルダンジョン」で他のラッパーと共演し、「梅田サイファー」に所属していますが、Creepy Nutsディスコグラフィにフィーチャリングゲストを呼んだ楽曲はありません。

純粋に1MC & 1DJの形を突き詰めようということなのだろうけど、全体でシーンを盛り上げよう、誰かをフックアップするという視点がありません。

Creepy Nutsだけで完結しているから、批判も集中してしまっているのではないでしょうか?
誰かを呼んでいたら、呼ばれたラッパーは「Creepy Nutsを認めている」と認識されることになり、批判も薄れたのではないでしょうか?

(4)芸能関係の交流ばかりが目立つ

ヒップホップ好きを公言する芸人が増えてきています。「フリースタイルティーチャー」という番組が成立していることからも、一定数いることがわかります(誰が出ているかは知らん)。

カミナリ石田(ライブにZORNが出演)、とろサーモン久保田あたりが代表でしょうか?

一方で、ヒップホップを最も聴き込んでいるのは、オードリー若林ではないかという見方があります。若林はヒップホップが好きすぎるあまり、ヒップホップ好きを公言していないらしいので、芸人界隈では最もヘッズなのではないかという見方です。

オードリー若林は「ボクらの時代」でCreepy Nutsと3人で出演し、自身の番組「あちこちオードリー」にもCreepy Nutsを招いていました。

オードリー若林からしたら「リトルトゥース」を名乗り、南海キャンディーズ山里とのユニットライブ「たりないふたり」そのままのタイトルの楽曲を作る若い2人がかわいくないわけがありません。
いまCreepy Nutsの後ろ盾になっているのはオードリー若林と「考えすぎちゃん」の佐久間宣行さんだけになっていないでしょうか?

交流することが悪いわけではないですが、あまりにも芸能に寄りすぎています。

(5)現状認識がずれている

マツコ会議」でダンジョンでのミソジニーにDJ松永が言及したので当事者である椿がなんか言っていました。ダンジョンでのネタを持ち出し、そこをヒップホップの限界を語るということは、ヒップホップ=ダンジョンと考えているわけであり、そんなの支持するはずもありません。

何年も前のやり取りを持ち出す前に、AwichやNENEの活躍をどう思っているのでしょうか?アウトプットばかりでインプットが足りてないのでは?

ろくに活動していない椿に噛みつかれていることに関しては、DJ松永に少し同情するけど。

(6)Creepy Nutsが揃ったときに魅力がない

R-指定は「フリースタイルダンジョン」出演時に毎回Creepy NutsのTシャツを着ていたから「R-指定はCreepy Nutsというユニットを組んでいるらしい」「どんなユニットなんだ?」という期待の高まりがありました。

コンビで活動している以上、個人活動が活発なら余計に、2人揃ったときの輝きをこちらは期待しますが、現状ではCreepy Nuts2人揃ったときに魅力的に映りません。

 

<< 現状の結論 >>

Creepy Nutsに限らず「分かりやすく売れなくても、ダサいことはしてほしくない」とどのアーティストにも望んでいる私からすると「楽曲は悪くないが、事務所主導のテレビタレントになっているのがダサい」と思っています。

テレビとラジオはDJ松永だけが出て、R-指定はバラエティ番組に出ない、とかの戦略があればまた違ったのかもしれませんが、現状は見境なくテレビに出ているように見えます。

横浜アリーナでツアー組めるくらい一般に届いているのだから、私の考えが屈折している可能性は否定できません。

いや、進んでいる方向性はファンモンと一緒だから、たまたま接点があっただけで、私には関係のないアーティストということなのかもしれません。こっちだな、正しい解釈は。

 

前に書いたCreepy Nutsについてのエントリ

tabun-hayai.hatenablog.com