娘が遠くなっていく

Amazonで鉄棒を買ったのが6月17日で、6月19日(日)に届いた。

DABADAというメーカーの「折りたたみ鉄棒」で6,998円した。

 

いとこ(妻の弟の子)の家、要は妻の実家、には鉄棒があって、妻は娘と実家によく行くから影響されたのもあるのだろう。

5月の誕生日にかこつけてせがまれ、買うことになった鉄棒。

 

買った当初は喜んで上ったり、ブラさがったりしていた。

特に記録していなかったから記憶は曖昧だし、妻も動いているから細部はよくわからないことを前提で進めたい。

折りたたみとはいえ、鉄棒だから鉄製で、それなりの重量もある。なので使うたびに広げるのではなく、1ヶ月くらいは開きっぱなしにしていた。

身体を支えながら前回りをすると「こわい」と言って泣き出したから、鉄棒ができるようになるのは先の話だと考えていた。

その後は、寝室には大きくて寝るのに邪魔だから畳んでいる時間が長くなった。

 

コロナ禍の影響で出かけるのが億劫になったせいもあるのか、家で過ごす時間が長くなったのは我が家も例に漏れない。

家で過ごすとなれば娘がすることをこちらで考える必要がでてくる。娘が小学生になれば宿題でも読書でも遊びにいくでも一人で過ごせるようになるだろうが、まだ何をしているか随時気をつけなくてはいけない。

娘の時間を消費するため、再び鉄棒が復活し、開いて置かれるようになった。

再開して以降も鉄棒に登っては腕を伸ばしてブラブラしており、前回りを手伝えば「こわい」と言って泣き出していた。

 

鉄棒がお腹に当たって痛いと言ったのか、妻が気づいたのかは曖昧だが、9月3日(土)の午前中に妻が鉄棒にタオルを巻いた。妻が見ていたから詳細は知らないが、巻いたとたんに前回りができるようになった。

恐怖心はどこへ行ったのかと今も妻とたびたび話している。

 

前回りができるようになれば、逆上がりをしたくなる。YouTubeの動画を見て教えようともしたが、焦ることはないと教えることはやめてしまった。

繰り返し伝えたアドバイスは「お腹を鉄棒につけるように」くらい。

親に熱意はなくても、本人にやる気があって、寝室に鉄棒が置きっぱなしという環境が整備されている。

保育園で誰かのしているのを見たことがあるのだろう。我流だろうけど、娘は毎日練習をしていた。

 

9月19日(月・祝)に逆上がりができたと2階から声がした。急だな、と思った。結局、その日は3回できたらしい。翌20日(火)も数回出来たらしい。

昨日21日(水)に帰宅すると、庭先で遊んでいたようで「保育園で30回くらいできたらしい」と妻が言う。急だな、と思った。

部屋にはいって逆上がりの様子をみてみれば、蹴ることもできているが、それ以上に腕の力に頼るところが多い気がした。帰宅後は失敗ばかりで1回しかできなかったが、それでも前の日までよりできる雰囲気になっていた。

ついでに怖がっていた「コウモリ」もできるようになっていた。恐怖心はどこへ行ってしまったのか。

 

9月3日(土)、前回りができるようになる。

9月19日(月・祝)、逆上がりができるようになる。

9月21日(水)、「コウモリ」ができるようになる。

急だな、と思う。

 

勉強はまだまだ教えられる時間はあるが、鉄棒についてはこれ以上教えてやれることはない。

そもそも私は鉄棒が苦手なほうで、クラスでもダメな方だったから、逆上がりは鉄棒のゴールだと思っている。これ以上の技は「大車輪」くらいしかしらない。

できたことの喜びと、説明されない不可解と、遠くへ行ってしまう寂しさがある。

費やした時間が全てである、と改めて感じた。

 

タイトルは「湘南が遠くなっていく」(七尾旅人)から。