ウェブメディアへの支援の仕方がわからない

 ウェブメディアが収益をあげる方法については、唐木元さんがナタリー在籍時のインタビューで答えています。

 ナタリーの場合、収入源は「広告」と「記事配信」の2つが主要で、「広告」は「バナー」と「タイアップ」に分けられるそうです。

 「バナー」は大概どのサイトにも載っている、クリックしたらその製品のサイトに移行するタイプのもの。ナタリーやヤフー、Real Soundには載っていますが、RO69やthe sign magazineには載っていません。

 「タイアップ」は広告であることがすぐには分かりません。広告と見なされると興味を持たれないため、普通の記事と同化するように工夫されています。例えばコミックナタリーで東村アキコさんがアルバイト経験について語ったのはナタリー独自の記事に見せかけたアルバイト情報誌「an」のタイアップ広告でした。

 「記事配信」というのは他者への記事販売のことです。ヤフートピックスにナタリーやリアルサウンド映画部の記事が掲載されるのは、このためです。

  ウェブメディアの収益構造が理解できたので、ついつい甘えてしまいますが、読者である私がウェブメディアから恩恵を受けたときに対価を支払っていません。

 閲覧することでページビューが増え、広告収入の増加につながる。それは分かるのですが、もっと直接的に支援することはできないのでしょうか?

 出版社の運営するサイトを支援したければ刊行物を購入すればいいのですが、ウェブのみで活動する場合、代わりになるものが思い当りません。

 

 ということを考え始めたのが2015年8月ころ。

 昨年のフジロック中に「Real Sound 映画部」のローンチが発表され、定期的にアクセスするうちに幾ばくかでも対価を支払う必要があるのではないかと思いだして1年が過ぎてしまいましたが、現状なにも思いつきません。

  最近も、サインマガジンの「1組もハズレなし! すべてのアクトが超一流。2016年夏にフェスに行くなら、ホステス・クラブ・オールナイターだけで十分という話」「東京インディが離散した2015年。そして、世代交代が進む2016年、シャムキャッツが夏のラヴ・ソング“マイガール”を世に問う」の記事を続けて読んだ後にも、この記事にも読んだ対価を支払うべきだと考えましたが、現状なにも思いつきません。

  ナタリーを見ても「対価を!」とはならないのですが、「Real Sound 映画部」「the sign magazine」には何らかの対価を支払うべきだと考えております。

  音楽関係のサイトに限った話をしていると思われるでしょうが、私が日常的にアクセスするサイトは、あとは「Web本の雑誌」くらいです。『本の雑誌』は定期購読しているので「対価を!」とは思っていません。

  雑誌は制作費が高い割に売れないし、1ヶ月に1度発行というスパンでは情報が古くなってしまうからということでWebメディアを手段として選んでいるのでしょう。雑誌を発行して欲しいとは言わないけれど、年に1度くらいは年鑑として記事をまとめたものを発行いただけるとありがたいです。