「くりぃむナンタラ」と「水曜日のダウンタウン」

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10月17日にスタートした「くりぃむナンタラ」。その初回の企画は「クイズ番組で人間インストールドッキリ!!」。

「人間インストール」というのは、誰かに遠隔操作してもらい、夢や願いを叶えるという企画。

この日の放送では、「くりぃむクイズミラクル9」の収録に目黒蓮とウルフ・アロンを送り込んでいました。

クイズはカズレーザーとクイズ作家の日高大介が回答し、それ以外のやりとりは有田哲平高橋茂雄が行っていました。

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10月20日に放送された「水曜日のダウンタウン」で行われた企画は、「ラヴィットの女性ゲストを大喜利芸人軍団が遠隔操作すれば、レギュラーメンバーより笑い取れる説」。

川島明司会でレギュラーにお笑い芸人が多いため番組内クイズが大喜利のようになっている朝の情報番組「ラヴィット」。

千原ジュニア、くっきー、西田(笑い飯)、春日(オードリー)、粗品霜降り明星)、の考えた答えを「あの」が発言していました。

 

2つの番組とも腹が爆発するくらい大笑いしてしまいましたが、2つの番組が続けて放送されたことで共通することと、異なる点が見えて非常に興味深く映りました。

 

(1)仕掛けられた番組はどうなるのか?

両番組に共通して異様な雰囲気が漂い出すのが仕掛けられた番組に出演するタレントの表情から伝わってきました。番組というのは良くいえばチームプレー、悪くいえば予定調和であることをはっきりとさせてしまいました。

「くりぃむナンタラ」は司会の上田晋也も仕掛け人側であったため番組は進んでいきましたが、場の空気が悪くなり、2人と同じチームの出演者には出番がなくなり、2人対その他のような構図になっていました。

「ラヴィット」でも「ほぐした赤ラーク」や「矢田さんの歯茎のけずりカス」など朝の番組にふさわしくない答えが出てセットのポップな配色に対して異様な雰囲気になっていました。

それを象徴するのが「くりぃむナンタラ」での宮崎美子と「ラヴィット」の矢田亜希子の表情でした。

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予定調和を崩し、番組の成立すら危うくなる雰囲気を察して動いていたのが平成ノブシコブシの吉村とアンタッチャブル柴田でした。

「くりぃむナンタラ」で相手チームのキャプテンだった吉村は敗戦へ向かいあきらめ漂う雰囲気を変えようと奮闘し、「ラヴィット」では

柴田がクイズの正解を出して大喜利合戦を中断させていました。

 

(2)クイズ番組と大喜利の違い

ミラクル9」に限らず、クイズの答えは1つしかありません。そのため仕掛け側では出演者の唖然とする表情を見て笑いが起きていました。一方で、大喜利は正解が1つではなく、きれいな回答も下品な回答のどちらも正解になりうるものであり、幅の広さがありました。

「ラヴィット」では、当初司会の川島も扱いきれず「帰ってもらっていい?」とまで言っていましたが、「カラコン」の言い換えで「目玉おやじの衣替え」という回答には「上手っ」と大喜利の実力を認め、以降はただ者ではないという雰囲気になっていました。

 


(3)ネタばらしのタイミング

「くりぃむナンタラ」はそして、宮崎美子との漢字クイズ対決という最大の場面が終わった時点でネタばらしが行われました。

水曜日のダウンタウン」では「ラヴィット」が朝の生放送だったため番組終了をもってネタばらしが行われていました。

 


(4)それぞれの番組の良さ

「くりぃむナンタラ」はマジメな番組作りをしていることが企画を通してわかりました。クイズ番組としては全うに回答をするということ。仕掛けるタレント2人か操作する側にクイズの問題と解答を渡せば楽なんだけれども、それではカンニングになってしまうためカズレーザーと日高大介というクイズ王がキャスティングされていました。

生放送の「ラヴィット」に女性ゲスト「あの」を一人で向かわせるところに「水曜日のダウンタウン」のぎりぎりを攻める姿勢を垣間見ることができました。

 


(5)終わりに

「くりぃむナンタラ」のためだけに「ミラクル9」を収録するのは初回ゆえの贅沢な予算のかけ方です。

また、4月スタートの「ラヴィット」半年経過して大喜利番組のように変化してきたから「水曜日のダウンタウン」が目を付けたのでしょう。

こういう局を超えた番組のシンクロが起こると、テレビの面白さが増幅されます。たまにしか起きないから、余計に。

 


水曜日のダウンタウン」には日高大介さんの盟友であるクイズ作家の矢野了平さんが構成のメンバーに入っており、ここも胸が熱くなるところでした。