「僕の心臓は右にある」大城文章

f:id:tabun-hayai:20220915232728j:image

本書には何年の出来事かが書いてないので、少し、その辺を補足することから始めたい。

1975年1月22日 生まれる
1989年 NSC大阪校へ8期生として入学(14歳/中学3年)
1994年 NSC大阪校へ13期生として再入学(19歳)
1998年 上京(23歳)
2018年1月 「人志松本のすべらない話」出演(42歳)

 

読み終えてから見返せば、帯に書いてあることは的確に本書の内容を表していたので、引用したい。

 

「こんなオモロいやつが今までどこに潜んでいたのか。地下芸人の壮絶な反省、ここにあり。」ーーー 千原せいじ

 

チャンス大城、いじめられっ子だった尼崎時代、東京での地下芸人時代をはじめて語る」

「あなたの想像を超えてくる実話」

チャンス大城は、いつも明るく、ちょっとせつない」

 

ただ、千原ジュニアによる「即、映画化。」だけは納得できない。

千原ジュニアの座王」出演時に優勝したチャンス大城が本書の宣伝をした際に言ったチャンス大城のネタ帳です」の方が何倍も素晴らしい宣伝文句です。

本書は「チャンス大城のネタ帳」です。

チャンス大城に、もう少しだけ世間的な知名度があれば、「チャンス大城のネタ帳」や「チャンス大城のすべらない話」というタイトルになったであろうと思う。

 

本書は数ページ(短いので2ページ)のエピソードが積み重なっています。

内訳は、尼崎編として43編、東京編として15編。

チャンス大城は上京した足でhideの葬儀が行われていた築地本願寺に行ったとあるので、上京したのは1998年5月のこと。

つまり、本書の3分の2は24歳までに起きた出来事です。

東京編でも椎名林檎の話や夢の話、千原せいじとの再会、起きたら丸刈りにされていた話など印象に残る話もあるのですが、やはり、尼崎編の面白さが凄い。

テレビ朝日「アンタウォッチマン」でチャンス大城が取り上げられた際、地下芸人時代の証言者として永野が出演されていました。しかし、本書に永野さんは登場していません。エピソードが弱かったのでしょうか?)

 

心臓が右にある内蔵逆位だから呼び寄せたのか、それとも尼崎という土地の持つ力なのか。エピソードがいちいち破格で、こんな出来事を経験してるんだから普通に会社員してる場合ではありません。

売れるのに時間はかかったかも知れないが、売れて良かったとつくづく思います。

本書で最高のエピソードは、幼稚園の同級生と10年振りに再会する話。漫画かよ、と思いました。

本書を映画にしても実話とは信じがたいので、CDなど音源化してもらって落語のように繰り返し聞きたい。

そう、これは「現代の落語」。